身近な方に介護が必要になった際に、まず気になるのはやはり利用料金のことですよね。

実際に、「施設にいきなり問い合わせるのは怖いから」と、知り合いに利用料金を聞いてから相談に来る方は少なくありません。

相談を受ける中で利用料金を説明すると、

「〇〇さんに聞いた料金より高い!」

と、お叱りを受けることがよくあります。

介護サービスにおいては同じサービスを利用する場合でも、利用者によって料金が異なるということが多くあるのです。

今回はその理由についてお伝えします。

利用者によって介護費用が異なる3つの理由

利用者によって介護費用が異なる3つの理由

理由1. 要介護度の違い

まず始めに考えられる理由は、要介護度の違いです。

介護保険が適用されたサービスの利用を希望する場合には必ず要介護認定調査を受け、要介護度をつけてもらう必要があります。

要介護度はその方の身体状態や精神状況、その方の主治医の意見を総合した結果で決定します。

要介護度は、調査の結果で比較的介護の手間のかからない「要支援1」から、最も介護を必要とする「要介護5」の7区分に分けられ、介護サービスを利用する際にはその方の要介護度に応じた料金を負担するのです。

介護サービスは、介護の必要性が高ければ高いほど料金が高額になりますので、同じ施設の同じサービスを利用したとしても料金が異なるということになります。

要介護度が異なると、同じ種類のサービスであっても料金が異なる

ということを覚えておきましょう。

理由2. 負担割合が違う

次に考えられる理由は、介護サービス料金の負担割合が違うということです。

介護サービスの利用料金には、介護保険が適用される部分とは別に「自己負担」が発生します

介護サービスの「お世話代」に当たる部分の多くは介護保険から支払われますが、利用者が自分で支払わなければならない自己負担部分が「1~3割」発生するのです。

この負担割合は、介護サービス利用者が属する世帯の収入状況によって決定されますが、課税対象となる収入が多ければ多いほど介護サービスを利用した際の自己負担の割合が増えます

自己負担分の割合が大きくなればなるほど、自己負担の金額は増加するため、たとえ同じ要介護度で同じサービスを利用していたとしても支払金額は異なることになります。

利用者負担の判定の流れ
≪画像元:厚生労働省「介護サービス負担割合リーフレット (pdf)」≫

自分が介護サービスを利用した際に負担する割合は「介護保険負担割合証」に記載されています

「介護保険負担割合証」は要介護認定調査を受け、要支援・要介護認定を受けた方または「事業対象者」と認定された方に交付されます。

介護保険証が交付された時に合わせて確認しておくとよいことでしょう。

「介護保険負担割合証」
≪画像元:厚生労働省「負担割合証(見本)(pdf)」≫

理由3.「介護保険負担限度額認定証」の所有

介護保険負担限度額認定証
≪画像元:奥多摩町

3つめに考えられる理由として挙げるのは、「介護保険負担限度額認定証」を所有しているかどうかということです。

短期入所生活介護等の宿泊系サービスを利用する際には「居室料」と「食費」が必要です。居室料と食費は介護保険の保険給付対象外であるため、原則として全額自己負担です。

しかし、一定の条件を満たしていて市区町村から認められている方については、その一部が減額になる場合があります。そのための証明書が「介護保険負担限度額認定証」と呼ばれる証書です。

「介護保険負担限度額認定証」の交付は、介護サービスの利用を希望している方が属する

・ 世帯の市県民税課税状況

・ 世帯の収入

・ その方自身の預貯金額(配偶者がいる場合は配偶者分も合算)

によって決定されます。

交付を希望する場合には必要書類を添えて市区町村に申請をする必要があります。その申請が認められた場合には、食費や居住費が証書に記載された金額に減額されるのです。

場合によっては、食費や居住費が半額以下になることもありますので、証書を持たない方と比べると利用料金が格段に安くなります。

同じサービスを利用して請求金額が異なる場合には、「介護保険負担限度額認定証」を所有しているかどうかが大きく関わる

ということを覚えておくと良いでしょう。

サービス利用前に利用料金を施設に確認

介護保険サービスは他のサービスとは異なり、その方の収入などによって大きく利用料が変わるサービスです。

知り合いから聞いた情報をそのまま信じてサービスを利用するのではなく、利用前に必ず施設の担当職員や担当ケアマネジャーに利用料金について確認してから利用しましょう。

皆さまが満足のいく介護サービスに出会え、負担の少ない介護生活を送れるようにお祈りしています。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)