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親の介護で会社を辞めない! 「介護休業」「介護休暇」「会社の制度」の賢い利用法

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親の介護で会社を辞めない! 「介護休業」「介護休暇」「会社の制度」の賢い利用法

少子高齢化が進んでいる現在、介護の問題は避けて通れません。

介護のために会社を退職する人は毎年のように増加しています。

5年に一度実施される総務省の「就業構造基本調査」の最新データ(2017年)によれば介護・看護のために離職した人は、9.9万人と10年前に比べておよそ2倍になっています。

特に、40代~50代の介護世代は会社で責任のある地位についている場合が多いため、親の介護と仕事の板挟みで悩むことが多いのではないでしょうか。

その場合には、介護休業や介護休暇を賢く利用して上手に乗り越えましょう。そのポイントを紹介します。

介護休業とは

介護休業とは、「育児・介護休業法」により介護をする労働者を支援するするために作られた制度のことです。

2週間以上「常時介護」を必要とする家族を介護するために休むことができます。

「常時介護を必要とする状態」とは、介護保険制度の要介護2以上であるか、厚生労働省による判断基準を満たしている場合です。

従業員から「介護休業を取りたい」と言われた際に会社が参考とするための要件であり、厳密に決められたものではありません。また、要介護認定を受けていなくても大丈夫です。

この介護休業という休みを利用して、介護保険についていろいろと調べ初めて手続きをするケースが多いようです。

「厚生労働省 育児介護休業制度ガイドブック」

介護休業の期間

介護休業の期間は、原則として「対象家族1人につき一の要介護状態ごとに3回、通算して93日」です。

ここで注意をしてほしいのは、「一の要介護状態ごとに3回」という箇所です。つまり、要介護状態が異なればさらにまた93日の介護休業を取得することが可能なのです。

「初めは、クモ膜下出血で介護状態になった。その後リハビリで回復をしたが、認知症になって物忘れがひどくなった」といったようなケースでは、要介護状態が異なりますのでさらに93日の介護休業を取得できるのです。

介護休業給付金

介護休業を取得した場合には、お給料は支給されません。代わりに介護休業給付金を受給できます

介護休業給付金は、介護休業を申し出た際に会社がハローワークに申請をしてくれます。介護休業給付金の計算式は次の通りです。

介護休業給付金の支給額 = 休業開始時の賃金日額 × 67%

【例】賃金日額1万円の場合

1万円 × 67% = 6,700円

介護休業給付金は非課税ですので、実質的には賃金日額とそう大きな差にはならないことでしょう。ただし、育児休業とは異なり、社会保険料は免除されませんので、注意してください。

介護休暇とは

介護休業とは別に介護休暇があり、法律で義務付けられている制度です。

介護休暇では、要介護状態の対象家族1人につき最大5日(対象家族が2人以上の場合には10日)取得できます

この介護休暇は、介護以外に、役所への手続きや必要な買い物、病院への付き添い等にも利用でき、半日単位の取得も可能です。

ただし、介護休暇については無給の会社が多いため、有給休暇が残っている場合には有給休暇を使うことが多いようです。介護休暇は無給ですが、欠勤扱いにはなりませんので、有給休暇の出勤数の計算や人事評価には響きません。

介護休暇とは

ワーク・介護バランス

「家族の介護が必要な状態になったらどうしよう!」と悩んだ際には、会社を辞めるのではなく、介護休業や介護休暇等さまざまな制度を利用して、仕事と介護の両立ができる環境を整えましょう。

介護休業は通算93日取得できますので、最初の1か月で介護認定を受けてヘルパーさんを頼んだり、施設を探します。しばらく様子を見て、また1か取得します。このように分けて取得することが可能です。

また、要介護状態の家族を介護している従業員は、介護終了までの間、申し出ることで制限時間(1か月24時間、1年150時間)を超えての時間外労働や深夜労働を免除されます。これも法律で決められていることなので、たとえ就業規則に記載されていなくても当然の権利です。

ただし、時間外労働や深夜労働の制限は、一度申し出ればずっと続くというものではなく、時間外労働は最大1年、深夜労働は最大6か月の期間ごとに介護が続く間に申し出ることが必要です。

介護が大変な時には助かりますので、職場の同僚に迷惑をかけないようにその期間だけ申し出るのががよいことでしょう。

さらに会社には、

(1) 短時間勤務制度

(2) フレックスタイム制度

(3) 時差出勤制度

(4) 介護サービスの費用助成

のいずれかの措置を定めて、介護休業とは別に利用させなければならない義務があります。

この制度も大いに活用できます。介護休業を取得するほどでない場合には、

昼間はヘルパーさんにお願いして、短時間勤務制度を利用して8時間勤務を6時間で終えて、早めに自宅に帰り世話をする

ということも可能です。

ただし、短時間勤務の場合には給与や賞与は6/8になりますが、正社員の地位はそのままです。

会社を辞めてしまうと、介護だけで他の人とかかわりもなくなってしまいます。さらに年齢が高くなると再就職も難しく高い給料も望めません。

まずは仕事と介護の両立を図り、どうしても無理であればその時点で退職を考えてもよいのではないでしょうか。

早めの準備が肝要

家族の介護が必要になった場合には、すぐに退職を考えるのではなく、さまざまな制度を活用することが肝要です。

まずは介護制度の知識を深め、介護で利用できる会社の制度を確認してみましょう。介護は、突然必要になる場合が多いので、早くから準備しておくことをおすすめします。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)

《菅田 芳恵》
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執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵 菅田 芳恵

グッドライフ設計塾 代表。大学卒業後、証券会社、銀行、生保、コンサルティング会社勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立開業。その後さらに6つの資格を取得。現在、13の資格に裏打ちされた様々な知識を活かして、企業コンサルティング、研修講演講師、コラム執筆、労働トラブルや資産運用の相談対応、キャリアカウンセリング、心の健康に関するカウンセリング等幅広く活動。 <保有資格>:特定社会保険労務士、1級FP技能士、CFP、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、ハラスメント防止コンサルタント、医療労務コンサルタント、知的財産管理技能士等 寄稿者にメッセージを送る

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