介護保険制度は2000年から開始され、介護サービスは介護保険法に基づき運営されています。

介護保険法は5年に1回改正されますが、介護サービス利用料に反映される「介護報酬」は3年に1回改正されています。

2021年の介護報酬改正のテーマの1つには「自立支援・重度化防止」が掲げられており、それに関係する加算として「排せつ支援加算」の内容と金額が見直される事となりました。

今回は、改正された排せつ支援加算の内容と、加算を算定している事業所を選ぶメリットについてご紹介します。

「排せつ支援加算」

排せつ支援加算とはどんな内容?

排せつ支援加算は、施設入居者または利用者に対して排泄の自立に向けた支援を行い、それに伴った成果が見られた場合、支援を行った事業所に対して与えられる報酬の事を言います。

排せつ支援加算自体は、2015年の介護保険法改正の際に誕生した比較的新しい加算です。

しかし、2015年に誕生した時点では排泄の自立に向けた支援を行っていれば取得できていた排せつ支援加算は、2021年の介護報酬改正の際に支援プロセスだけではなく、改善が認められた場合に報酬がアップするような仕組みに変更となりました。

また、2015年に創設された当時は介護老人福祉施設等の入居型施設のみが算定できるとされていましたが、2021年4月からは看護小規模多機能型居宅介護サービスもそれに加えられました。

排せつ支援加算は支援経過やその結果によって加算金額が異なりますが、ひと月につき約10~100円程度が自己負担割合の目安となり、基本の金額に上乗せされて請求される事となります。(負担割合が1割の場合)

≪画像元:厚生労働省(pdf)

続いて、排せつ支援加算を算定している事業所を選ぶメリットについてみていきましょう。

【メリット1】質の高い介護を提供している可能性が高い

排せつ支援加算を算定するためには、さまざまな専門職が連携し排泄の自立に向けた計画を策定する事が必要となります。

その計画に基づいて支援を行う事となるため、行き当たりばったりの支援にならず、利用者に関わる職員全員が統一した支援を行う事にもつながります。

根拠に基づいた支援を行うという事は質の高い支援の実践につながっていくと言えます。

質の高い支援を実践している事業所は、排泄支援だけではなく日常的な支援全般において質の高い介護を実践している可能性が高いと言えます。

質の高い介護の提供は、利用者本人の身体状況の向上や生活の質の向上にもつながっていくと考えられるため、利用者にとっては特に大きなメリットと言えます。

【メリット2】排泄用品の使用量を削減できる可能性がある

排泄用品として広く使われる物としては、オムツやリハビリパンツ、尿取りパットなどが代表的です。

それらの排泄用品は使い捨てであり、繰り返し使用する事は基本的にはできません。

そのため、トイレで排泄ができなくなった方は毎月一定の金額を排泄用品購入のために使用する必要があります。

金額は排泄用品の使用量によってさまざまですが、トイレの使用ができず紙おむつや尿取りパットでの排泄支援を受ける場合は月に1万円以上の支払いをする事も珍しくありません。

しかし、排せつ支援加算を算定している事業所においては、排泄機能の向上が見込まれる方に対しては、自立した排泄ができるよう支援していくため、排泄用品の使用頻度が減少する可能性も十分考えられます。

特に2021年から排せつ支援加算の算定対象施設として含まれた「看護小規模多機能型居宅介護サービス」においては、排泄用品の料金を別途で設定している事業所が多いです。

そのため、利用者の排泄機能が向上すれば排泄用品の使用頻度が下がり、結果サービスの利用料金が下がる事にもつながっていくと考えられます。

結果的に負担の減少へ

日常生活の介護において大きな負担感を感じるものの1つとして、排泄支援があります。

その支援の頻度が減れば、支援者である家族の方の負担感は減り、支援を受ける本人にとっても尊厳が保たれた生活を送れる事につながると言えます。

「加算」と聞くとサービスの利用料金が上昇するため、不満を感じてしまう方もいる事でしょう。

しかし、その加算を支払う事で結果的に金銭的な負担、精神的な負担の減少につながると考えれば負担をしても良いという考え方もあります。

排せつ支援加算について正しく理解し、利用者やその家族にとっても負担の少ない介護生活を送れるようぜひ利用していきたい内容といえます。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)