会社員の大崎芽依さん(仮名・37歳)は、「老後が不安なので資産形成をしっかりしていきたい」と私の主催するセミナーに参加されました。

1990年生まれの人が90歳まで生存する確率は男性が44%、女性は69%です。

女性が100歳まで生きる確率は20%、5人に1人だそうです

参照:厚生労働省「完全生命 表」「簡易生命表」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017年推)」

「長生きリスク」は確かに存在します。

末長く、幸せに安心して生きていくために、お金の問題をどう解決していけば良いのでしょうか。

人生のお金について不安を抱く人が共通している「誤解」があります。

それは、

「将来公的年金はもらえないじゃないか」

「もらえたとしてもほんの少しに違いない」

と信じ込んでいることです。

大崎さんも、「年金がもらえなくなるかもしれないじゃないですか。個人年金保険を勧められたのですが、保険料が高いし、iDeCoやつみたてNISAで運用した方がいいのかなと思って」とおっしゃいました。

私は、「年金がもらえないということはありません。長生きリスクをヘッジするための1番いい方法は、公的年金を増やすことですよ」と伝えました。

年金制度は、少子高齢化を見据え、将来にわたって制度を維持できるように作られています。

年金の財源は保険料だけではなく、基礎年金の2分の1は国庫負担です。保険料の一部は積立金として運用し、将来の給付に充てるようになっています。

若い世代が払う保険料率は固定され、負担がどんどん増えることはありません。

そのうえで、今の年金の給付水準は財政に合わせて自動的に調整され、若い世代も将来一定以上の年金が受け取れる仕組です。

年金がもらえなくなるということは絶対にありませんから安心してください。

ZOOM越しで大崎さんが「そうなんですか?!」というような顔をしています。大崎さんだけではなく、このような反応は多いです。

お金の人生設計

スタートラインでしっかりと見極める

「お金の人生設計」のスタートは、生活の基盤となる公的年金を正しく理解することです。

人生を安心して、なるべく豊かに過ごすための「お金の人生設計」は、

1. 公的年金制度を正しく理解し、将来受け取る年金を計算に入れて計画的に考えること。

2. 自分がこれからいくら貯めていくべきか、自分の「必要貯蓄率」を知ること

3. 税制上の優遇措置の大きい「確定拠出年金」と「つみたてNISA」を優先的に使い、合理的に老後資金を作っていくこと

4. 両方の制度では、コストの低い投資信託を利用し、投資対象を広く分散し、長期的に積立投資を行うこと

5. 終身で受け取れる年金額を、長く働く、賃金を上げるなど自分の稼ぎ力をアップしながら増やしていくこと

老後の生活設計の柱

老後の生活設計の柱は終身で受け取れる国民年金や厚生年金などの公的年金保険ですので、今の働き方が将来の年金にどのように紐づいているのかをしっかり理解することが大切です。

会社にお勤めの方なら、毎月お給料から厚生年金保険料は天引きされています。

自営業の方は、国民年金保険料をコンビニなどで払い込んだり、口座引き落としなどをされていると思います。

受給資格期間

年金を受給するには、10年(120月)以上の受給資格期間が必要です。

すべての人が対象になる老齢基礎年金は、年収に関係なく加入期間1年ごとに約2万円増えて、20歳から60歳になるまでの40年間(480か月)保険料を納めれば、満額の78万900円(令和3年度)です。

厚生年金保険は働けば働くほど、賃金が高いほどメリットがあるように制度設計されていますので、長く働き続けることによって受け取る年金額も増えていきます

毎月保険料を納めることで、給付を受ける「権利」を得ているとイメージしておいてください。今後、結婚して出産育児をすることになっても仕事をやめないで続けることが大切です。

会社員や公務員が加入する老齢厚生年金は、加入期間、給与、賞与の額に応じて人それぞれ違います。

年金受給額を知るのには、毎年、誕生日の月に送られてくる「ねんきん定期便」をみてみましょう。

通常、葉書で送られてきますが、35歳、45歳、59歳の時には、封書で全加入期間の年金記録情報が届きます。

50歳未満は、「これまでの加入実績に応じた年金額とこれまでの保険料納付額(累計額)」が記されています。今後働き続けると年金額も増えていきます。

一度、「ねんきんネット」で将来の金額を試算してみてください。

50歳以上は、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定しての、「受け取れる老齢年金の種類と見込み額(年額)」が記されています。

年金は「公的保険」

自分でしっかりと積み立てていきましょう

「公的年金保険」は、自分だけでは準備しきれないことを社会全体で支え合い備えていく制度です。

たとえ何歳まで生きようが、亡くなるまで年金は受け取れます。けがや病気(障害年金)、死亡(遺族年金)もカバーされます。だから公的年金制度は「保険」なのですね。

民間の「個人年金保険」は「保険」と名前がついていますが「貯蓄」です。自分で積み立てた保険料を一括して、あるいは10年間などの期間で受け取ります。

コストが高い分、割りの悪い貯蓄場所と言えるでしょう。

年金だけで老後生活しようとすると、買いたいものを我慢しなくてはいけないかもしれません。豊かさをキープするために自助努力も必要です。

iDeCoやつみたてNISAを使って自助努力で資産形成をしていきましょう。

今の収入は将来の自分の生活を支えるためのお金でもありますので、計画的にお金を貯めていけば、「老後不安」は解消します。

「人生100年時代」の資産形成は、

「長く働いて受け取れる公的年金をなるべく増やす」

「自助努力で資産形成をする」

の両輪がポイントです。(執筆者:岩城 みずほ)