日本は世界に類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。

人間は加齢や疾病に伴い心身の状況は徐々に低下していくため、高齢になればなるほど認知機能は低下し、それに伴い日常生活を送るために必要な判断能力が低下する方もいます。

そのように判断能力が低下した方をサポートするための制度の1つである「日常生活自立支援事業」について、利用するメリットと合わせて紹介していきます。

「日常生活自立支援事業」とは

厚生労働省ホームページに記載されている内容によれば、「日常生活自立支援事業」とは、認知症等が原因で判断能力が不十分な方に対して「福祉サービスの利用援助」「苦情解決の利用援助」「住宅改造、居住家屋の貸借、日常生活上の消費契約及び住民票の届出等の行政手続に関する援助」を行うとなっています。

実施主体は都道府県社会福祉協議会が担っており、利用を希望した場合、その事業を利用できるかどうかを調査、審査会の審査を経て利用可能と判断されることが必要です。

「日常生活自立支援事業」は判断能力が不十分な方を支援するための制度ですが、この制度を利用するには、この事業の内容を理解したうえで契約を結ぶことが必要です。

そのため、事業内容が理解できないほど判断能力が低下してしまっている場合には、この事業の対象にはなりませんので注意が必要です。

では、「日常生活自立支援事業」を利用するメリットがどこにあるのか見ていきましょう。

「日常生活自立支援事業」利用のメリット

金銭管理を依頼できる
≪画像元:社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「地域福祉権利擁護事業 (pdf)」≫

メリット1. 金銭管理を依頼できる

判断能力の低下とともに、身体能力に低下の見られる高齢者の方は少なくありません。そのため、銀行などの金融機関に出向くことができない場合もあります。

また、金融機関に行くことができたとしても、お金の出し入れを自分1人でできない方もいます。

同居している家族がいる場合は本人に代わって行っている人もいますが、独居生活でその役割を担ってもらう人がいない方もいます。

日常生活を支援する介護保険サービスの1つに「訪問介護」がありますが、訪問介護員は預貯金等の出し入れをサービスとして行う事ことが認められていないため、この役割を担うことはできません

このような困り事を解決するために役立つのが「日常生活自立支援事業」です。

「日常生活自立支援事業」では、支援計画書の中に日常生活費の金銭管理支援を行うことが謳われている場合、担当の生活支援員が銀行等に出向いて金銭の出し入れを行うことができます。

その他にも、家賃や光熱費の支払いなど、支払いを忘れてしまうと生活に支障が出るライフラインを確保するための支払いなども行うことが可能な事業です。

独居などが理由で家族等の関わりが希薄な方にとっては、特に「日常生活自立支援事業」を利用するメリットだと言えることでしょう。

金融機関に同行してもらえる

利用の際の注意点

金銭管理をしてもらうためにはその都度お金が必要です。実施している地域によって金額に若干の差はありますが、1回あたり1,000円~1,500円程度の費用を設定している地域が多いようです。

ただし、生活保護を受給している方には費用が掛からないとされています。

メリット2. 必要な社会資源につないでもらえる

日常生活を送ることに支障が出た場合、家族等その役割を担ってくれる人が近くにいない場合には、それを支援してくれる人を見つけたいと考えることでしょう。

しかし、判断能力の低下からその情報を見つけることが難しかったり、利用したいサービス事業所を見つけても利用方法が分からないという方は多くいるものです。

反対に情報が多すぎる中で、自分の利用したいサービスなのかどうかの判断に迷うという方もいます。

「日常生活自立支援事業」では、専門員と呼ばれる職員が、

・ 利用者の求めに応じてサービス内容や事業目的の説明

・ 利用手続きを一緒にするなどの支援

をしてくれます。

利用者の生活に必要なサービスを本人の希望をもとに一緒に考えてくれるため、安心して事業所を選べるのです。

なんでも相談できる

信用できる人や事業所などのサポートを受ける

判断能力は加齢とともに徐々に低下してしまうこともありますが、判断能力が低下したとしても住み慣れた地域で住み続けたいという希望を持つ人は多いものです。

判断能力が多少低下したとしても住み慣れた地域で生活し続けたいと希望する場合には、信用できる人や事業所などのサポートを受けることが大切です。

高齢者の金銭トラブルは深刻な被害にもつながる恐れがあります。

介護の状況は変わることもありますので、介護サービスの情報は安心材料としていくつあっても無駄にはなりません。

参照:厚生労働省

少しでも心配があるという方は、選択肢の1つに検討してみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)