65歳から支給される老齢基礎年金。

老齢基礎年金は、国民年金保険料を納めた月数から年金額が決まります。

満額の年金額は、20歳から60歳になるまで40年間(480か月)保険料を払い続けて78万900円(令和3年9月現在)です。

人生100年時代で少しでも年金額を増やしたいと考えるのは当然でしょう。

そこで、どうすれば満額に近い年金をもらうことができるのか紹介します。

国民年金

年金制度の仕組み

公的年金には、国民年金と厚生年金があり、職業によって加入すべき年金制度が異なってきます。

国民年金からは老齢基礎年金、厚生年金からは老齢厚生年金が支給されます。

なお、厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれています。

65歳から受給できる老齢基礎年金ですが、実は10年前と比べると年額で1万円も減っています

では、40年に満たない場合はどうなるかというと満額の年金額から40年(480か月)に足りない分を減らした年金額を受け取ることができます。

これを簡単に計算すると(約78万円 ÷ 40年=1万9,500円≒2万円)となります。

つまり、1年間保険料を支払うともらえる年金は約2万円ということです。

例:国民年金保険料を35年間支払った場合の65歳から支給される老齢基礎年金額

約2万円 × 35年=約70万円

60歳以降は厚生年金に加入しても老齢基礎年金は増えない

定年年齢が延長されて60以降も厚生年金に加入して働く方が多くなりました。

厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれているので60歳以降も働けば、国民年金も増えるのではないかと勘違いされている方が多いのが現状です。

確かに厚生年金は増えますが、国民年金の加入は60歳になるまでなので、加入資格がないため増えません

しかし、厚生年金は加入期間が長いほど年金額は増えていきますので、60歳以降も厚生年金に加入して働くのはよい選択かと思います。

老齢基礎年額を増やす方法(1) ~60歳以降も保険料を払う

満額の年金をもらえない場合、年金事務所に申し込むことによって、60歳以降も保険料を払うことができます

例:35年の加入期間のため満額の年金がもらえないので、60歳以降1年だけ保険料を支払う

1万6,600円(令和3年保険料) × 1年(12か月)=19万9,200円

19万9,200円の保険料を支払っていくら年金額が増えるかというと、年金制度の仕組みで記載したように約2万円増えます。

では、この1年間の支払った保険料の元を取るには、何年かかるのでしょうか。

19万9,200円 ÷ 2万円=9.96年

65歳から約10年間長生きすれば、支払った保険料の元がとれることになります

老齢基礎年金を増やす方法(2) ~65歳からの受給を1年間繰下げる

65歳からもらえる年金を66歳からに繰下げます。

すると1か月0.7%増えますので、1年間では、0.7% × 12か月=8.4%も増えることになります。

例:老齢基礎年金の金額が35年加入で約70万円の場合、1年間受給を繰下げる

約70万円 × 1.084%=約75万8,800円

66歳に繰下げるだけで約5万8,800円増えることになります

ただし、1年間年金を受け取っていませんので、この元を取るためには、66歳から約12年間長生きする必要があります

約70万円 ÷ 約5万8,800円=11.9年

老齢基礎年金を増やす方法(3) ~付加保険料を納める

会社員や公務員等の方(第2号被保険者)は無理なのですが、自営業者等のように第1号被保険者として国民年金だけに加入している人は、毎月の保険料に付加保険料をプラスして支払うことで、65歳から付加年金を受け取ることができます

付加保険料は毎月400円と定額です。

付加年金は、老齢基礎年金にプラスして受け取ることができるもので、厚生年金がない第1号被保険者のために、優遇している制度になります。

例:自営業者が35年間付加保険料を払い続けた場合

400円 × 35年(420か月)=16万8,000円

老齢基礎年金約70万円にプラスされる付加年金は

200円 × 35年(420か月)=8万4,000円

65歳からもらえる年金額は、

約70万円+8万4,000円=78万4,000円

この場合は、支払った付加保険料の元を取るためには、65歳から2年間長生きすればよいことになります。

16万8,000円 ÷ 8万4,000円=2年

この制度は、退職して一時的に第1号被保険者になった方でも利用できますので、たった1か月でも付加保険料は支払った方がお得と言えます。

長生きリスクとして考えよう

長生きリスクを考慮しよう

国民年金を増やす方法は、いろいろありますが、やはり長生きをすることが前提です。

厚生労働省の令和2年簡易生命表によると男女それぞれ10万人の出生に対して75歳まで生存する者の割合は男性76.1%、女性88.4%で、90歳まででは男性28.4%、女性52.5%となっています。

このことから考えると90歳まで生きる男性は、4人に1人、女性においては2人に1人と長生きする可能性は、限りなく高いようです。

参照:厚生労働省(pdf)

このような長生きリスクを考慮すれば、国民年金を増やすということは、非常に重要な選択肢となります。

反対に厚生年金は、60歳以降も働けば自然と増えていきますので、それほど頭を悩ますことはないでしょう。

老後生活を支える大切な年金。

自分らしく豊かに過ごすためには、年金に関してよく考えることが重要と言えるでしょう。(執筆者:特定社会保険労務士、1級FP技能士 菅田 芳恵)