返礼品が不作の場合、どうなるの?
今年も台風15号の被害が記憶に新しいですが、九州を中心とした6月や8月の豪雨も大きな被害をもたらしました。
最近ではふるさと納税が災害支援に注目され、活用されています。
すぐに行動に移せる点と目的に特化している点で使い勝手の良い印象ですね。
また家屋の倒壊など大きな災害につながらなかったとしても地場産業に大きな被害が出る場合は多いものです。
返礼品の多くは農作物や畜産物のため、天候や不測の事態によって予想通りに収穫や配送ができない場合もあるはずです。
その場合、返礼品はどうなってしまうのでしょうか。実体験をもとにご紹介します。
幻のブドウ「ハニービーナス」
返礼品を通して知らない食材に出会うことができるのも「ふるさと納税」の魅力の一つですね。
ハニービーナスもその1つでした。ハチミツのような甘さのぶどうと説明がありました。
しかも1万円の寄付で2kgとボリュームも満点です。
≪画像元:JA尾鈴 初出荷&目揃え会≫
ふるさと納税のサイトで目にして、すぐに申し込みをしてしまいました。2019年5月に申し込みをし、発送予定は8月上旬から。
楽しみして待っていましたら、7月2日に都農町から「天候に恵まれたので、収穫が早くなりました。
7月中旬から順次発送いたします」とのメールがきました。おいしいぶどうに期待が高まった瞬間です。
現場の混乱が伝わるメール
しかしその1週間後、またもや都農町からメールが届きました。
「7月中旬から発送するものの、お盆期間中にまでずれ込む可能性があるので、お盆期間の受け取り可否を尋ねたい」とのことでした。
発送時期の変更に手間取っているのかな? と受け止めて、「受け取り可」のメールを返信して届くのを待っておりましたが、8月に入ってもブドウは届かず、お盆を過ぎても届きませんでした。
台風10号が直撃
さすがに大丈夫かしらと心配していたところ、8月16日に都農町からメールが届きました。
発送の連絡かと思いましたが、「台風8号の影響により、別途メール連絡を行った一部返礼品ご選択の寄付者様へ返礼品の出荷が困難になりました」という内容で、ハニービーナスについては記載がないものの出荷が危ぶまれる内容でした。
追い討ちを掛けるように8月20日には「ハニービーナスについて、8月14日(水)に上陸しました台風10号の影響により、作物に大きな被害を受けてしまい、商品をお届けすることができなくなりました。」というメールが届き、とどめを刺されました。
代わりにピオーネが到着
最後のメールにはハニービーナスが出荷できないので、「代替品として (期間・数量限定)尾鈴産ピオーネ2kgをお送りします」と記載されておりました。
辞退することも考えましたが、応援メールを都農町の「ふるさと納税課」にお返しして返礼品を受け取ることにしました。
台風被害が出ている状況で、代替品を選んでいただいて恐縮いたしました。
届いたピオーネは非常においしいものでしたが、一連のやり取りがあったため都農町を強く意識することになりました。
返礼品が台風被害などにあって届かない経験は初めてでしたが、出荷時期が変更されることはよくあることです。
その場合、ほとんどの自治体は連絡がありません。
今回の都農町のように頻繁にメールを送ってくれる自治体はほとんどない印象です。丁寧な対応に感心しました。
訳あり品として支援する方法も
2018年9月4日に台風21号が直撃した坂井市では特産品の梨が収穫前に落果してしまいました。
9月5日14時に「ふるさとチョイス」に限定80セットで掲載することができ、落果した約6,000個のうち約1,800個を救うことができたそうです。(参考元:マイナビニュース)
また、同台風で被害を受けた長野県須坂市では傷が付いたリンゴをふるさと納税の返礼品として提供していました。
傷があって市場に出せないものの、腐敗の進行性はなく、果肉にほとんど問題ない状態でした。(参考元:須坂新聞)
面白いところでは、埼玉県深谷市の機転を効かせた戦略です。
2017年10月に発生した台風21号の直撃により、折れてしまったと思われたねぎ。
結果として曲がったまま成長したため、そのままでは市場に流せないと判断し「ウェ~ブねぎ」として返礼品に登録されました。
≪画像元:ふるさとチョイス≫
アイデアで規格外を乗り越えたのですね。
こうした各自治体やふるさと納税サイトの取り組みは食品ロスを防ぐとともに被災企業への支援にもつながり、理想的な形と言えます。
生産者や自治体のストーリーを実感しながら応援ができる仕組みが今後も拡大していただければと思います。
災害をきっかけとして出会った自治体に毎年継続して寄付をしていくことは立派な被災地支援です。
ふるさと納税の素晴らしい一面ですね。