家売却後の税金の発生有無に関わる?購入時の売買契約書の効果と紛失した時の対処法

家売却後の税金の発生有無に関わる?購入時の売買契約書の効果と紛失した時の対処法

家を売却した後に、持っていると大きな効果を発揮する書類があります。

それは売却した物件の「購入時の売買契約書」。

売った後の確定申告で初めて必要となる書類ですが、税金を安くするためにとても大事な書類です。

今回の記事では家売却後の確定申告時に必要となる購入時に売買契約書の効果と紛失した時の対処法についてお伝えします。

株式会社グロープロフィット 代表取締役 竹内英二

【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター

株式会社グロープロフィット 代表取締役

竹内英二

大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。

資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士

1.家などの不動産売却に必要な書類

初めに不動産の売却に必要な書類一式をご紹介します。

引渡時点で必要な書類等は以下になります。

必要書類マンション一戸建て土地
登記済権利書
売買契約書
重要事項説明書
土地測量図
境界確認書
 
図面や設備の
仕様書など
 
固定資産税
納税通知書
マンションの
管理規約
  
マンションの
維持費など
  

これらの必要書類については、通常、仲介を依頼している不動産会社から指示があります。

売却時に必要になる書類については下記記事で詳しく解説しています。

不動産売却に必要な書類一式と取得方法・紛失した時の対処法
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一戸建てやマンション、土地などの不動産を売ろうと思っている際に、準備が必要な書類がいくつかあります。 こんな悩みをスッキ ...

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しかしながら、上記中に「購入時の売買契約書」というのはありません。

そのため不動産会社から購入時の売買契約書については、何の指示もなく売却が終了してしまいます。

ただし、実は購入時の売買契約書が無いと、後に非常に困る事態が発生します。

2.家売却時に購入時の売買契約書がないと困る理由

家を売却した後は、確定申告を行います。

確定申告は所得税を確定するために行うのですが、マイホーム(居住用財産)売却した場合、

  • プラスの譲渡所得が発生した場合には所得税が追加で発生
  • マイナスの譲渡損失が発生した場合には所得税が還付

されます。

マイホームを売却した時の課税譲渡所得は以下の計算式で計算されます。

課税譲渡所得金額 = 譲渡価額(売却額) - 取得費(購入額等) - 譲渡費用(掛かった経費)

ここで上記の計算式を見ると、「取得費」と書かれています。

取得費とは今回売却した不動産の購入額から減価償却費を控除した価格

購入した価格ですので、場合によっては何十年前もの価格になります。

  1. 譲渡価額:今回売却した不動産の売却額。
  2. 譲渡費用:今回売却した不動産の仲介手数料等。

この2つは直近の取引のため正確に把握できます。

ただし、取得費は購入当時の話。

購入当時の昔の契約書がない場合は把握できないことになり、実はこの後の処理が非常に厄介なことになります。

概算取得費にすると税金が発生しやすくなる

取得費が不明の場合は、概算取得費と言われるもので取得費が計算されます。

概算取得費は譲渡価額(売却額)の5%です。

そのため、「譲渡価額 - 取得費 = 譲渡価額×95%」となり、大きく利益が出る可能性が増えます。

バブル崩壊以降は、長期デフレとなっているため、住宅は購入時よりも価格が下がっていることがほとんどです。

本来であれば、所得税を払わなくても良いにも関わらず、購入時の売買契約書がないばかりに所得税を支払わなければならなくなる場合もあります。

それでは、本来は払わなくてもいい税金を払うことになってしまいます。

何らかの対処する必要があります。

3.購入時の売買契約書がない場合の対処法

購入時の売買契約書を紛失してしまっていても、取得費を売買契約書以外の書類で証明できれば、概算取得費を用いなくても大丈夫です。

例えば以下のような方法で取得費が分かれば、取得費の実額を採用することが可能です。

取得費が分からない場合の証明書類

  • 通帳等の出金履歴で証明できる場合
  • 住宅ローンを借りた金銭消費貸借契約書で証明できる場合
  • 購入当時のパンフレット等で価格が分かる場合
  • 全額を住宅ローンで借りて謄本の抵当権制定金額と購入金額が等しい場合

確定申告時には、これらの証拠書類を可能な限り用意して、信憑性を高めてください。

また契約書を紛失した理由を描いた申述書を税務署に提出します。

以上、ここまで売買契約書に変わる証明書について見てきました。

それでは、再度売買契約書があることによる効果をより詳しく見ていきましょう。

4.購入時の売買契約書があることの効果

マイホームは購入時から価格が下がっているケースが多いため、売却すると譲渡損失が発生する可能性が高いです。

価格が下がっているケースでは、売買契約書によって取得費が明確になっていると、譲渡損失がきちんと算出されます。

譲渡損失が発生すると所得税の還付を受けることが可能です。

その特例「マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けた場合で見てみます。

今回、居住用財産を売却したサラリーマンのAさんの例について見ていきます。

【Aさんが売却した不動産】

売却額38,000,000円 (売却時期は平成28年4月)
取得費80,000,000円 (取得時期は平成9年)
減価償却費5,000,000円
譲渡費用3,000,000円
住宅ローン残高63,000,000円

【Aさんの給与所得】

年次給与所得源泉徴収額
平成28年9,600,000円767,700円
平成29年9,800,000円781,000円
平成30年10,200,000円802,500円

ここで平成30年の所得税控除額は2,560,000円です。またAさんには他の所得はありません。Aさんの所得税は下記の様になります。

<平成28年分の計算>

  1. 損益通算
    9,600,000円-25,000,000円=▲15,400,000円
  2. 譲渡所得の計算
    譲渡価格 - 取得費(減価償却後) - 譲渡費用
    =38,000,000円-(80,000,000円-5,000,000円)-3,000,000円
    =▲40,000,000円
  3. 特例の対象となる損失の金額
    繰越控除される金額は損失金額の内、「ローン残高―譲渡価額」に金額が限度となります。よって対象となる損失の金額は以下の式で計算され25,000,000円が上限額となります。
    63,000,000円-38,000,000円=25,000,000円<40,000,000円
  4. 所得税額
    所得税はゼロとなり767,700円全額が還付されます。

<平成29年分の計算>

  1. 損益通算
    9,800,000円-15,400,000円=▲5,600,000円
  2. 所得税額
    所得税はゼロとなり781,000円全額が還付されます。

<平成30年分の計算>

  1. 所得税額合計
    106,500円+2,236円≒108,700円
  2. 所得税額
    (4,600,000円-2,560,000円)×10%-97,500円=106,500円
    ※2,560,000円はAさんの平成30年の所得税控除額
    ※97,500円は所得が1,950,000円超3,300,000円以下の控除額
  3. 損益通算
    10,200,000円-5,600,000円=4,600,000円
  4. 復興所得税額
    106,500円×2.1%=2,236円
  5. 還付額
    以下の式により693,800円が還付されます。
    802,500円-108,700円=693,800円

このように売買契約書があると、源泉徴収額が受けられることを「マイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と言います。

少し漢字が多くわかりにくいですが、国税庁のHPに説明があります。

下記記事に少しかみ砕いて説明しています。

不動産で売却損があった場合に使える「損益通算及び繰越控除の特例」を解説
不動産で売却損があった場合に使える「損益通算及び繰越控除の特例」を解説

個人がマイホーム(居住用財産)を売却した場合、買った時よりも値段が上がっているケースはほとんどありません。 特に新築で購 ...

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売却した後、3年間、源泉徴収額の還付を受けられるため、譲渡損失を明確に示せる購入時の売買契約書の効果は大きいものと言えます。

例えば毎年70万程度の源泉徴収が引かれている人は、譲渡損失によっては3年間源泉徴収額の還付を受けることができるため、トータルで約210万円程度の還付額を受けることになります。

たった一枚の売買契約書が210万円の価値を生むと言っても良いのかもしれません。

以上、ここまで売買契約書があることの効果について見てきました。

それでは次にどの程度還付を受けることができるか知る方法について見ていきましょう。

5.還付額を知るには「売却額」を知ること

購入時の売買契約書が手元にある場合、次に知りたいことは売却額になります。

およその売却額が把握出来れば、源泉徴収の還付額を知ることが可能。

上述の例では3年目に繰越控除額が全額解消される例を示しましたが、売却金額がもっと低ければ3年間、まるまる源泉徴収額の控除を受けることも可能です。

売却額をあらかじめ知りたい場合は、 「 すまいValue 」「 HOME4U などの不動産の一括査定サイトを利用して売却額を調べることが便利です。

無料で6社くらいから査定額を受領することができます。

各社バラバラの査定額が出てきますが、高い査定額で売却できるとは限らないため、保守的に低めの価格で見ておくのが良いでしょう。

一括査定のオススメは 「すまいValue」「HOME4U」

不動産一括査定は筆者が知っているだけでも30はあります。

その中でも

  • 超大手の不動産会社6社に唯一依頼ができる「 すまいValue
  • 【1都3県・大阪・兵庫・京都・奈良】売主専門の数少ない不動産会社「 SRE不動産(※旧ソニー不動産)
  • NTTグループで安心、一番歴史があり実績抜群の「 HOME4U
  • 地域密着の不動産会社にも数多く依頼ができる「 イエウール

の4つを特にオススメしています。

筆者も不動産一括査定(「 すまいValue 」「 HOME4U 」「 イエウール 」)を利用しました。

下記は「 すまいValue 」を利用して「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所ハウスネット」より、査定結果をもらった写真。

とても分厚い査定書を見ながら、3社ともに丁寧に説明をしていただきました。

不動産査定書を3社より入手

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ひよこ生徒 解決
ひよこ生徒
知名度がある大手に依頼すれば問題ないですか?
売却を成功させるなら大手・中堅・中小を幅広く依頼した方がいいぞ!
フクロウ先生
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不動産一括査定の賢い使い方

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売らなくてもOK!簡易的な机上査定&メール連絡も可能

紹介したサイトは、簡易的な机上査定も可能です。

また、イエウール以外は備考欄を設けており「メールでの査定額提示を希望」の旨を記載することで、不動産会社に伝わります。

ご要望・ご質問の欄にメールでの査定額を希望

ひよこ生徒 困り
ひよこ生徒
どの一括査定なら「机上査定」「メール要望」が使えるんですか?
下記に比較してまとめてみたぞ!
フクロウ先生
フクロウ先生
一括査定机上査定備考欄
すまいValue
HOME4U
イエウール  
SRE不動産(※旧ソニー不動産)

一括査定サイトについては下記記事でさらに詳しく解説しています。

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6.まとめ

家売却に必要な重要書類と購入時の売買契約書が紛失した時のデメリットについて見てきました。

売買契約書は税金還付を生み出す価値ある書類。

売却する前に、まずは購入時の売買契約書を探してみましょう。

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