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自己破産すると連帯保証人はどうなる?与える影響・迷惑をかけない対処法を解説

自己破産は、借金の返済を全額免除できる債務整理です。

しかし、連帯保証人をつけている債務の場合「自己破産すると連帯保証人はどうなるの」「迷惑をかけずに自己破産できるの」このような疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、連帯保証人がついている債務を自己破産する場合、連帯保証人に返済義務が生じます。

任意整理であれば手続きをおこなう借金を選べるため、連帯保証人がついていない債務を任意整理して、迷惑を最小限に抑えられるかどうか、検討しましょう。

本記事では、保証人と連帯保証人の違いや自己破産による連帯保証人への影響、自己破産された場合の対処法などを解説します。

連帯保証人がついている借金があるものの、自己破産を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

保証人と連帯保証人の違い

連帯保証人が受ける影響を確認する前に、保証人と連帯保証人の違いを理解しましょう。名前は似ていますが、異なる部分も多いため確認してみてください。

分別の利益

保証人と連帯保証人は、分別の利益の有無に違いがあります。保証人には分別の利益があり、連帯保証人にはありません。

分別の利益とは、債務者で支払い義務を分けられる仕組みです。

たとえば、債務者が400万円の借金をしており、4人の保証人がいるとします。

上記の場合、分別の利益がある保証人は、400万円の借金の支払い義務を一人100万円に分けられるため、一人一人の負担が少ないです。

連帯保証人の場合は分別の利益がないため、一人ずつ全額400万円の返済義務が生じます。

しかし、連帯保証人の全員が支払うわけではありません。複数の連帯保証人がいる場合は、債権者から請求を受けた方が返済する必要があります。連帯保証人には、検索の抗弁権や催告の抗弁権がないため、債権者からの請求を拒否できません。

催告の抗弁権

保証人と連帯保証人は、催告の抗弁権の有無も異なります。保証人には催告の抗弁権がありますが、連帯保証人にはありません。

催告の抗弁権とは、債権者に借金の返済を求められた際に、保証人ではなく債務者に請求してほしいと主張できる権利です。

たとえば、友人が500万円の借金をしており保証人になった場合を想定しましょう。

債権者が保証人に借金の支払いを請求した場合、保証人には催告の抗弁権があるため、債務者である友人に請求してほしいと主張できる権利が催告の抗弁権です。あくまでも保証人は、債務者が支払えなくなった場合に支払う役割を担うため、正当な主張として認められます。

連帯保証人は催告の抗弁権がないため、債権者に友人の借金500万円の支払いを求められた場合、拒否できません。

債務者である友人にお金があり、返済できる状態で債権者が連帯保証人に返済を請求してきた場合も、返済を拒否できないと理解しておきましょう。債権者は、基本的に債務者に返済の請求をおこないますが、連絡が取れなくなったり返済するお金がない状態だったりすると、連帯保証人に請求します。

連帯保証人は、保証人よりも大きな影響を受けやすいと把握しておきましょう。

検索の抗弁権

保証人と連帯保証人は、検索の抗弁権の有無も異なります。保証人には検索の抗弁権がありますが、連帯保証人にはありません。

検索の抗弁権とは、債権者に借金の支払いを請求された場合に、債務者の財産を差し押さえて返済に充ててほしいと請求できる権利です。

たとえば、500万円の借金をしている友人の保証人になった場合に、債権者から500万円の返済を請求されたとします。

上記の場合、友人に返済に充てられる財産を所有していると証明すれば、保証人が返済する必要はありません。証明できない場合は、保証人であっても検索の抗弁権を主張できない可能性があるため、注意しましょう。

一方、連帯保証人には検索の抗弁権がないため、債権者から支払いを請求された場合でも、友人の財産を差し押さえて返済に充ててほしいと主張できません。

連帯保証人は、債務者に十分な財産や預金などがあっても、支払いを拒否できないと理解しておきましょう。

自己破産をした際の連帯保証人への影響

自己破産すると、連帯保証人に次の影響が及びます。

  • 債務の一括請求をされる
  • 求償権がなくなる
  • ローンの一括返済の請求をされる

把握せずに自己破産すると、想定以上に迷惑をかける可能性があるため、把握しておきましょう。

債務の一括請求をされる

債務者が自己破産すると、連帯保証人として契約した方に借金が一括請求されます。

連帯保証人とは、債務者が返済できなくなった場合に、債務者の代わりに債権者に返済する役割です。

また、保証人とは異なり、連帯保証人には分別の利益がないため、他の連帯保証人と借金の負担を分けられず、全額を一括返済する必要があります。催告の抗弁権や検索の抗弁権もないため、連帯保証人ではなく債務者に請求してほしいと主張したり、債務者の財産を差し押さえて返済に充ててほしいと主張したりできません。

連帯保証人が返済を滞納すると、遅延損害金が発生したり金融ブラックの状態になったりするため、大きな影響を受ける可能性があります。

また、最悪の場合連帯保証人の給与や財産が差し押さえられて、返済に充てられる場合もあるため、連帯保証人に迷惑をかけたくない方は自己破産以外の方法を検討しましょう。

求償権がなくなる

債務者が自己破産すると、連帯保証人の求償権がなくなります。求償権とは、返済した金額の返金を債務者に請求できる権利です。

たとえば、400万円の借金をしている友人の連帯保証人になり、債務者の請求によって代わりに400万円を支払った場合を想定してみてください。

上記の場合、友人の代わりに支払った400万円を返金してほしいと主張できる権利が求償権です。自己破産すると、連帯保証人の求償権がなくなるため、債権者の請求によりお金を支払っていたとしても、債務者に返済を求められません。

しかし、債務者が連帯保証人へ返金する法的な義務がなくなるのみで、任意の返金は可能です。連帯保証人との関係を崩したくない方は、求償権がなくなるからといって連帯保証人への返済を拒否せず、任意で返済しましょう。

ローンの一括返済の請求をされる

住宅ローンや自動車ローンを返済している最中に自己破産すると、連帯保証人はローンの一括返済の請求を受ける可能性があります。

連帯保証人は、債務者が返済できなくなった場合に、代わりに債権者への返済義務を負う役割です。そのため、債務者がローンを返済できずに自己破産すると、連帯保証人が返済義務を負う流れは自然といえます。

しかし、すべての場合においてローンの全額を一括返済するわけではありません。

たとえば、住宅ローンの返済中に自己破産する場合、住宅ローンの残りの返済額から、住宅を売却して得た利益を引いた金額を請求される場合もあります。売却した住宅に価値がある場合は、一括返済される金額が低くなるでしょう。

また、自動車ローンも同様です。自動車ローンを返済している最中に自己破産する場合、車を売却して得た金額をローンから引いて請求される可能性もあります。

場合によっては、ローンの返済中に自己破産すると、連帯保証人が高額請求される可能性があると理解しておきましょう。

連載保証人に迷惑をかけないためには任意整理がおすすめ!

連帯保証人に迷惑をかけたくない方には、任意整理がおすすめです。任意整理とは、債務整理の中の一つで法的な手続きといえます。

任意整理と自己破産の違いは、次のとおりです。

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特徴手続きの期間費用財産への影響連帯保証人への影響
任意整理将来の利息をカットしたり借金を減額したりできる約2〜4か月約3万円〜影響なし影響がない可能性がある
自己破産借金が全額免除できる約6か月〜1年約20万円〜価値のある財産は差し押さえられる一括請求を受ける
※料金はすべて税込表示です。

表のとおり、任意整理は自己破産と異なり、借金を全額免除する手続きではなく、利息のカットや借金の減額を目指す手続きです。そのため、借金をすべて免除したい方にとってはメリットに感じない場合もありますが、連帯保証人への影響は最小限に抑えられます。

任意整理は、あくまでも利息のカットや借金の減額を目的とする手続きであり、場合によっては連帯保証人が支払う借金を、分割払いに変更できる可能性もあると理解しておきましょう。

任意整理によって借金を減額すれば、債務者も返済しやすくなるため、検討してみてください。

任意整理の4つのメリット

任意整理を実行するメリットは、次のとおりです。

  • 借金利息のカットが可能
  • 財産の強制処分がない
  • 官報に記載されない
  • 任意整理する借金を選択可能

一つずつ解説します。

借金利息のカットが可能

任意整理を実行すると、借金の利息をカットできる可能性があります。利息をカットできると、完済できる可能性が高まる方も多いのではないでしょうか。

任意整理でカットできる利息の種類は、次のとおりです。

  • 将来利息
  • 経過利息
  • 遅延損害金

任意整理を実行すると、現在借りている借金に対して将来発生する利息をカットできます。

たとえば、高金利のカードローンからお金を借りて、利息が高額になり、元本がなかなか減らずに困っている方も多いのではないでしょうか。

上記のような方は、将来利息をカットできると、完済できる可能性が高まるため、おすすめです。

また、任意整理は経過利息もカットできます。経過利息とは、これまで発生しているものの未払いの状態の利息です。任意整理の場合、最後に返済した日から和解契約成立日までに発生した利息をカットできる可能性があります。

遅延損害金も任意整理の対象です。遅延損害金とは、借金の返済が遅延した際に支払う必要がある賠償金を指しています。遅延損害金は、多くの場合で法律上の上限である20%に設定されているため、返済の負担になっている方も多いでしょう。

任意整理で借金の利息をカットして、完済を目指しましょう。

財産の強制処分がない

任意整理は、財産を強制処分されません。自己破産する際は、不動産や車などの価値がある財産を強制的に処分し、返済に充てる必要があります。

しかし、任意整理は財産を強制処分されないため、不動産や車などの財産を手元に残したまま手続きを実行できると認識しておきましょう。

自身の財産を処分せずに、債務整理によって借金を返済しやすくしたい方は、自己破産ではなく任意整理を実行しましょう。

官報に記載されない

任意整理は、官報に記載されないメリットがあります。官報とは、国が発行する唯一の機関紙です。国の政策や法律の改正情報などが記載されています。

自己破産を実行すると、官報の裁判所公告に記載されるため、官報を購読している方には発覚すると理解しておきましょう。

一方、任意整理は官報に任意整理を実行した情報が記載されないため、知り合いや家族などに発覚する心配がありません。

官報は、裁判所で決定した内容が記載される機関紙です。任意整理は債務整理の一種ですが、自己破産や個人再生のように裁判所を通して手続きしないため、官報には記載されないと理解しておきましょう。

官報に記載されても、官報を購読しないと確認できないため、発覚する可能性は低いものの、絶対に掲載されたくない方は任意整理を選択しましょう。

任意整理する借金を選択可能

任意整理は、整理する借金を自身で選べます。

自己破産や個人再生は、裁判所を通して手続きし、債権者を平等に扱う必要があるため、複数の借入先がある場合はすべての借金が対象になります。

しかし、保証人がついていない借金のみを任意整理すれば、連帯保証人に迷惑をかけずに借金の完済を目指せると認識しておきましょう。

任意整理のデメリット

自己破産ではなく任意整理を実行すると、財産を処分されなかったり、官報に記載されなかったりするメリットがあるとお伝えしました。

しかし、次のとおりデメリットもあります。

  • 3~5年で完済する義務がある
  • 個人信用情報に傷がつく
  • 債務の減額幅が小さい

一つずつ解説します。

3~5年で完済する義務がある

任意整理は、3〜5年ほどで完済する義務があります。任意整理の目的は、利息や遅延損害金をカットして、完済を目指す手続きです。

しかし、何年も返済を続けてよいわけではなく、3〜5年で完済する必要があります。例外的に、5年以上の返済計画が認められる場合もありますが、一般的には3〜5年で完済できるように返済する必要があると理解しておきましょう。

3〜5年で完済できない場合は、任意整理ではなく借金の返済を免除する自己破産を検討してみてください。

個人信用情報に傷がつく

任意整理を実行すると、個人信用情報に傷がつきます。信用情報に傷がつくと金融ブラックの状態になるため、各種審査を伴う申し込みに落ちる点が大きなデメリットです。

  • クレジットカードの新規発行
  • カードローンの新規借入
  • 住宅ローンの申し込み
  • 自動車ローンの申し込み

上記のような審査に申し込んでも、信用情報に傷がついていると落ちます。

たとえば、カードローン会社の立場で考えると、返済を長期遅延したり返済できずに債務整理を実行したりした方を審査に通しても、返済されると考えるのは難しいでしょう。

しかし、任意整理後、いつまでも信用情報が原因で各種審査に落ちるわけではありません。任意整理をおこない、完済してから5年ほど経過すると、いわゆるブラックリストから解除されるため、審査に通過できます。

5年以内に住宅ローンや自動車ローンを申し込む可能性がある方は、債務整理以外の方法で返済を考えましょう。

債務の減額幅が小さい

任意整理は、債務整理の中でも債務の減額幅が小さいです。任意整理は、将来の利息や遅延損害金のカットが一般的といえます。

債務整理には、任意整理の他に個人再生と自己破産があるため、それぞれの借金額の減額幅を確認してみましょう。

  • 個人再生:借金の5分の1程度まで減額
  • 自己破産:借金を全額免除

借金額や資産額などによって変動はありますが、個人再生の場合は借金の70〜80%を減額、自己破産の場合は全額が免除されます。任意整理は利息のカットにとどまるため、個人再生や自己破産と比較すると、減額幅が小さいとわかるでしょう。

利息のカットのみで完済を目指せる方は、任意整理が最適ですが、完済できそうにない方は個人再生や自己破産も検討しましょう。

自己破産されたときの連帯保証人・保証人の対処法

連帯保証人や保証人は、自己破産されたときに次の対処法を試してみてください。

  • 保証人の権利の使用
  • 債務整理を検討

一つずつ解説します。

保証人の権利を使用する

自己破産された保証人は、保証人の権利を使用しましょう。連帯保証人と異なり、保証人には次の3つの権利があります。

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分別の利益債務者で支払い義務を分けられる権利
催告の抗弁権借金の返済を求められた際に、保証人ではなく債務者に請求してほしいと主張できる権利
検索の抗弁権借金の支払いを請求された際に債務者の財産を差し押さえて返済に充ててほしいと請求できる権利

たとえば、債務者の代わりに借金の返済を求められた際に検索の権利を主張すれば、債務者の財産を差し押さえて返済に充てられます。

上記3つの権利は保証人が利用できる正当な権利のため、自己破産された際は使用を検討してみてください。

債務整理を検討する

自己破産された連帯保証人が返済は難しいと感じる場合は、債務整理を検討しましょう。連帯保証人も債務整理できます。

どの債務整理を実行するのかによってどれほど返済が楽になるのかが異なるため、それぞれの特徴を理解しましょう。

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簡単な内容
任意整理利息をカットして完済を目指す
個人再生借金を5分の1程度に減額する
自己破産借金を全額免除する

債務整理は利息のカットにとどまりますが、個人再生は借金の5分の1程度まで減額できたり、自己破産は全額免除できたりします。

自己破産は借金を全額免除できますが、財産を差し押さえられる大きなリスクがあるため、慎重に検討しましょう。

利息のカットで完済できる可能性がある方は、財産を手元に残して手続きできる任意整理がおすすめです。

まとめ

今回は、連帯保証人と保証人の違いや自己破産した際の連帯保証人への影響、任意整理のメリットやデメリットなどについて解説してきました。

連帯保証人と保証人は名前は似ていますが、使用できる権利が全く異なるため、次の表で確認しましょう。

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分別の利益催告の抗弁権検索の抗弁権
連帯保証人なしなしなし
保証人有り有り有り

上記のとおり、保証人にある3つの権利が連帯保証人にはありません。そのため、連帯保証人は債権者から支払いを請求された場合従う必要があったり、他の連帯保証人と借金を分けたりできません。

家族や友人に連帯保証人になってもらいお金を借りている方は、自己破産すると、大きな影響を与えると理解しておきましょう。

また、自己破産された保証人や連帯保証人は、次の対処法を検討してみてください。

  • 保証人の権利の使用
  • 債務整理を検討

保証人であれば、分別の利益や催告の抗弁権、検索の抗弁権などの権利を行使できます。

権利を行使しても請求が続き、返済できない状況になったら、債務整理を検討してみてください。債務整理にはいくつか種類がありますが、任意整理であれば自身の財産を手元に置いたまま手続きを実行できるため、おすすめです。

※本記事の情報は2023年2月時点のものです。
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