自己破産をするとクレジットカードが使用できなくなります。
キャッシュレス化が進んでいる現代でクレジットカードを制限されるのは厳しいため、「自己破産後もクレジットカードを利用したい」と考える方は多いのではないでしょうか。
自己破産をしたからといって、一生クレジットカードが使用できないわけではありません。一定期間を過ぎれば再びクレジットカードを作成できます。
今回の記事では、自己破産後にクレジットカードを作りやすくする方法について詳しく解説します。
また、クレジットカードを作成する際の注意点や、クレジットカードの代わりについても紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
自己破産後クレジットカードは使用できなくなる

自己破産の手続きを開始すると、基本的にクレジットカードを使用できなくなります。現在使用しているクレジットカードが利用できなくなるだけでなく、新規発行をすることもできません。
また、クレジットカードに限らず、自己破産後はさまざまな制約が発生します。自己破産後に発生する主な制約は次の4つです。
- クレジットカードが使用できなくなる
- ローンの審査に通りづらくなる
- 投資信託や株の購入がしづらくなる
- 一部の資格・職業が制限される
自己破産をすると、いわゆる「ブラックリスト」に名前が掲載され、クレジットカード発行やローンを組む際の審査に大きな影響を及ぼします。また、投資信託や株といった金融商品の審査にも通りにくくなる可能性が高いです。
さらに、他者の金銭を取り扱う資格には全般的に制限がかけられます。具体的には、弁護士や行政書士、公認会計士、宅建士、警備員などの資格が制限されるため、該当する資格が必要な職業に就けません。
自己破産は借金をゼロにできるメリットがある反面、このようなデメリットがあることも頭に入れておきましょう。
クレジットカードは強制解約となる
自己破産の手続きを開始すると、契約しているクレジットカードが強制解約になります。では、クレジットカードはどのタイミングで強制解約になるのでしょうか。
弁護士に自己破産の手続きを依頼してから、クレジットカードが解約になるまでの流れは次のとおりです。
- 弁護士に自己破産の手続きを依頼する
- 弁護士がクレジットカード会社を含む債権者に「受任通知」を送付する
- クレジットカード会社が強制解約をする
自己破産の手続きは自身で進めることが難しいため、基本的には弁護士に依頼します。弁護士に自己破産を依頼すると、債権者に対して「受任通知」が送付されます。
受任通知とは、債務整理を始めることを知らせるための書面です。受任通知を受け取った債権者は、債務者への請求が一切できなくなります。
クレジットカード会社は、受任通知を受け取った時点で強制解約の手続きを開始します。滞納や利用が一度もないクレジットカード会社であっても同様です。つまり、契約しているすべてのクレジットカードが強制解約となります。
強制解約となった時点でクレジットカードやキャッシングなど、すべての機能が利用できなくなります。また、クレジットカード会社が発行しているETCカードも利用不可となるため、注意しましょう。
ポイントも失効する
クレジットカード会社によくあるのが、カード利用で貯まるポイント制度です。貯まったポイントは、クレジットカードの支払いやショッピングなどに利用できます。
しかし、自己破産の手続きを進めてクレジットカードが強制解約になると、ポイントはすべて失効します。ブラックリスト解除後に同じクレジットカード会社で再度カードを発行しても、ポイントは返ってきません。
そのため、自己破産手続きを進める前にポイントを使い切っておく必要があります。
ポイントの利用方法はクレジットカード会社によって異なりますが、ショッピングに使用する場合はポイントを超過しないよう気を付けましょう。
自己破産をする際にクレジットカード会社の請求が残っていると、手続きが煩雑になる可能性があります。
自己破産後にクレジットカードを作る際の注意点

自己破産の手続きを進めると、現在契約中のクレジットカードはすべて強制解約となります。しかし、自己破産後に一定期間が過ぎるとブラックリスト入りが解除され、再びクレジットカードを発行できるようになります。
自己破産後にクレジットカードを作るときは、主に次の3つに注意してください。
- 信用情報が記録される期間を確認する
- 信用情報機関の事故情報を確認する
- クレジットカードの申し込み履歴も信用情報に登録される
ここでは、自己破産後にクレジットカードを作る際の注意点について解説します。
信用情報が記録される期間を確認
自己破産をすると、信用情報機関に自己破産したことが記録されます。これにより、クレジットカードの発行やローンを組むことが難しくなります。
一般的に、信用情報機関に登録されている内容は次のとおりです。
- 氏名・生年月日・住所などの個人を特定する情報
- ローン・クレジットカードなどの取引内容(借入金額や返済状況)
- 信用情報の照会履歴
- 金融関連の事故情報
自己破産は「金融関連の事故情報」に記録されます。事故情報に記録されることを俗に「ブラックリストに入る」といいます。
ただ、自己破産などの事故情報は一生消えないわけではありません。信用情報機関によって事故情報を掲載する期間が定められており、期間を過ぎると事故情報は削除されます。
信用情報機関ごとの事故情報の記録期間と起算日はこちらです。
信用情報機関 | 期間 | 起算日 |
---|---|---|
JICC (日本信用情報機構) | 5年間 | 免責許可が確定した日 |
KSC (全国銀行個人信用情報センター) | 10年間 | 自己破産の手続きを開始した日 |
CIC | 5年間 | 免責許可決定をした債権者によるコメント登録された報告日 |
3つの信用情報機関の事故情報は共有されるため、最長で10年間クレジットカードの作成ができません。自己破産後にクレジットカードを作りたいときは、信用情報がいつ頃に回復するかをしっかり把握しておきましょう。
信用情報機関の事故情報を確認
事故情報が削除されたかどうか知りたいときは、信用情報機関ごとに事故情報を確認するのがおすすめです。信用情報機関に登録されている事故情報は、開示請求で確認可能です。
開示請求の方法は信用情報機関によって異なります。ここでは、信用情報機関ごとの開示請求の方法を解説します。
JICC(日本信用情報機構)
JICC(日本信用情報機構)は、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などが主に加盟している信用情報機関です。加盟している会社の数が幅広く、年間1.2億件を超える信用情報の照会が行われています。
JICCで信用情報の開示請求をする方法は、「スマートフォンによる手続き」と「郵送による手続き」の2種類があります。
スマートフォンによる手続きの手順は次のとおりです。
- JICCのアプリをインストール
- 利用規約を確認し、メールアドレスを登録
- JICCからのメールでパスワードが発行
- アプリでパスワードを入力し、申し込み情報を入力
- 本人確認書類と自撮り写真を送信
- 手数料の支払い方法を選択
- JICCから開示結果が郵送
続いて、郵送による手続きの手順は次のとおりです。
- JICCの公式サイトで「信用情報開示申込書」を用意し印刷
- 定額小為替証書またはクレジットカード情報で開示手数料を用意
- 本人確認書類のコピーを用意
- すべての書類をJICCへ郵送
- JICCから開示結果が郵送される
どちらの方法で申し込みをしても開示手数料は1,000円(税込)となります。
なお、窓口での受付は現在休止中のため、スマートフォンか郵送かで開示請求の手続きを進めてください。
KSC(全国銀行個人信用情報センター)
KSC(全国銀行個人信用情報センター)は、主に銀行が加盟している信用情報機関です。三井住友銀行や三菱UFJ銀行などのメガバンクを始め、地方銀行やネット銀行まで幅広く加盟しています。
KSCで信用情報の開示請求をする方法は、「インターネットによる手続き」と「郵送による手続き」の2種類があります。
インターネットによる手続きの手順は次のとおりです。
- KSCの公式サイトから開示手続きに進む
- メールアドレスを登録
- 名前、住所、電話番号などの個人情報を入力
- オンライン上で本人確認を行う
- 開示手数料の支払い
- KSCから開示報告書のダウンロードURLがメールで送信される
続いて、郵送による手続きの手順は次のとおりです。
- 公式サイトやコンビニプリントで「登録情報開示申込書」を印刷して記入
- コンビニで「本人開示手続き利用券」を購入
- 本人確認書類のコピーを用意
- 必要書類をKSCに郵送
- KSCから開示結果が郵送される
インターネット手続きの開示手数料は1,000円(税込)となっており、デビットカードやPayPay、キャリア決済での支払いが可能です。
郵送の場合は、本人開示手続き利用券が手数料の代わりになります。金額はコンビニによって異なりますが、インターネット手続きよりやや割高です。
CIC
CICは、クレジットカード会社が主に加盟している信用情報機関です。そのため、クレジットカードを作りたいときはCICから確認するのが良いでしょう。他には消費者金融や保険会社なども加盟しています。
CICで信用情報の開示請求をする方法は、「インターネットによる手続き」と「郵送による手続き」と「窓口での手続き」の3種類があります。
インターネットによる手続きの手順は次のとおりです。
- スマートフォンまたはパソコンを用意
- クレジットカードを用意
- CICの受付番号取得の電話番号に電話を掛け、受付番号を取得
- 公式サイトの開示専用ページから受付番号を入力し、個人情報を登録
- 画面にパスワードの入力方法が表示される
- パスワードの入力後、開示報告書が表示される
続いて、郵送による手続きの手順は次のとおりです。
- 公式サイトから「信用情報開示申込書」を印刷し記入
- ゆうちょ銀行の定額小為替証書での開示手数料を用意
- 本人確認書類のコピーを用意
- 必要書類をCICに郵送
- CICから開示報告書が郵送される
最後に、窓口での手続きの手順は次のとおりです。
- 本人確認書類を用意する
- CICの窓口に訪問する
- セルフ開示端末を操作し、必要な項目を入力する
- 受付カウンターで本人確認書類を提出する
- 窓口で開示報告書を受け取る
インターネット、郵送の開示手数料は1,000円(税込)、窓口の開示手数料は500円(税込)です。インターネットで手続きをする場合はクレジットカードが必要になるため、郵送か窓口のどちらかで開示請求をしましょう。
クレジットカードへの申し込み履歴も信用情報に登録される
信用情報には、クレジットカードへの申し込み履歴がすべて登録されます。
短期間で複数のクレジットカードに多重申し込みをすると、審査に落ちる可能性が高くなります。多重申し込みは「申し込みブラック」とも呼ばれる状況で、クレジットカード会社から嫌われる行為の1つです。
目安としては、1か月に3社以上のクレジットカードに申し込むと、多重申し込みと見なされる危険性が高くなります。
クレジットカード会社への申し込み履歴は半年で削除されるため、多重申し込みをしてしまったときは半年後にあらためて申し込みをし直しましょう。
クレジットカードの審査に通る可能性を高める方法

自己破産後、5年程度はクレジットカードの作成が基本的にできません。信用情報機関から事故情報が完全に削除されるまでには10年掛かるため、最長で10年クレジットカードを作成できない可能性があります。
しかし、都合によってはクレジットカードを作成して利用したいケースもあるでしょう。ここでは、クレジットカードの審査に通る可能性を高める方法を紹介します。
キャッシング枠をゼロにする
キャッシング枠とは、クレジットカードに付帯させられる借り入れ機能です。例えば、キャッシング枠を30万円に設定した場合、ATMで最大30万円の現金を借り入れられます。
急に現金が必要になったときに便利なキャッシング枠ですが、自己破産後はキャッシング枠をゼロにしてクレジットカードを申し込みましょう。キャッシング枠を付帯すると審査が厳しくなるため、落ちる可能性が高くなります。
審査基準の難易度が低いカード会社を選ぶ
クレジットカードは、発行している会社によって審査基準の難易度が異なります。収入証明書が必要なほど審査が厳しい会社もあれば、最短即日で発行できるほど審査が緩い会社もあります。
クレジットカードを早く手に入れたい方は、可能な限り審査基準の難易度が低いカード会社を選びましょう。審査に通りやすいカードは主に次の2種類です。
- スーパーやコンビニなど小売業が発行しているクレジットカード
- 消費者金融系の業者が発行しているクレジットカード
上記のクレジットカードは学生や主婦でも作成できるほど、審査基準の難易度が低く設定されていることが多いでしょう。ただし、カードの種類によって審査基準が異なるため、最も難易度が低いカードを選んでください。
年会費無料で18歳以上から申し込み可能なクレジットカードは、審査基準が低く設定されている可能性が高いです。
参考:即日でお金が欲しい!キャッシング審査が甘い会社について大手と中小を比較
自己破産手続き直後にクレジットカードが必要な場合の対処法
自己破産後は5~10年ほどクレジットカードの作成が難しくなります。しかし、自己破産の手続き直後にクレジットカードが必要になる場面があるかもしれません。
クレジットカードを作成するためには審査に通らなければならないため、別の方法で対処する必要があります。ここでは、自己破産手続き直後にクレジットカードが必要になったときの対処法を紹介します。
家族カードを使用する
1つ目の対処法は、家族に頼んでクレジットカードの家族カードを作成してもらうことです。家族カードは契約者本人が作成して支払いをします。そのため、契約者本人の信用情報に問題がなければ、自己破産直後でも審査に通ることができます。
ただ、クレジットカード会社によっては家族カードを発行していなかったり、独自の審査基準を設けられていたりするため気を付けましょう。
名字と住所が同じ相手でなければ家族カードを発行できない会社もあれば、名字や住所に関係なく家族カードを発行できる会社もあります。
また、契約者本人に延滞やトラブルなどの履歴がある場合も、家族カードの審査基準が厳しくなります。まずは家族カードを発行できそうかどうかを確認し、申し込みの手続きを進めてもらってください。
デビットカード・プリペイドカードを使用する
2つ目の対処法は、審査が必要ないデビットカード・プリペイドカードを使用することです。
デビットカードは、使用した瞬間に銀行口座からお金が引き落とされるシステムのカードです。多くのカードは銀行やインターネットバンキングなどが口座と連動して発行されます。
プリペイドカードは、事前にお金をチャージして買い物などに使用するカードです。コンビニやATMなどからチャージできます。
デビットカードやプリペイドカードはインターネットの決済にも使用できるため、所有しておけば日常の買い物に困ることはないでしょう。どちらのカードも基本的に審査がなく、簡単に発行できます。
自己破産後のクレジットカードに関するよくある質問

最後に、自己破産後のクレジットカードに関することでよくある質問に回答します。
家族が自己破産した場合、自身のカードも強制解約となりますか?
家族が自己破産をしても、本人のクレジットカードが強制解約となることはありません。
例えば、夫婦それぞれの名義でクレジットカードを所有しており夫が自己破産をした場合、夫のクレジットカードは強制解約になります。しかし、妻側は通常通りクレジットカードの使用を続けられます。
また、夫の名義で妻に家族カードを発行していた場合は、妻のクレジットカードも強制解約となるため注意してください。自己破産をした本人が契約しているクレジットカードは、家族カードも含めすべてが強制解約となります。
なお、家族が自己破産をしたからといって、自身がクレジットカードの審査に通りにくくなることはありません。強制解約や審査が厳しくなるのは、あくまでも自己破産をした本人のみです。
審査が通りやすい年会費無料のクレジットカード会社はどこですか?
自己破産後にクレジットカードを作成する際は、なるべく審査に通りやすい年会費無料のカード会社を選びましょう。おすすめのクレジットカードはこちらです。
- ACマスターカード(アコム株式会社)
- 楽天カード(楽天カード株式会社)
- イオンカードセレクト(イオン株式会社)
- JCB カード W(株式会社ジェーシービー)
これらのカードはすべて年会費無料で審査基準が厳しくありません。学生や主婦で所有している方も多いです。
先述したとおり、クレジットカードは複数に申し込みをすると多重申し込みとなり、審査に通りにくくなります。そのため、クレジットカードを作成する際は1社ずつ申し込みを進めましょう。
まとめ
自己破産後にクレジットカードを作りやすくする方法を紹介しました。
自己破産をすると信用情報機関に事故情報が記録されるため、掲載期間の5〜10年はクレジットカードの審査が厳しくなります。最低でも5年経過するまでは、ほぼ通らないと考えておきましょう。
5年経過するとJICCとCICからは事故情報の記録が削除され、クレジットカードの審査に通る可能性が少し上がります。このときにクレジットカードを作成する際は、審査基準が低いカード会社を選んでください。
自己破産の直後にクレジットカードが必要になった場合は、デビットカードやプリペイドカード、家族カードなどで代用しましょう。
自己破産をしても一生クレジットカードが使用できないわけではありません。信用情報が回復するのを待ち、今回の記事を参考に審査に通りやすいクレジットカードに申し込みをしてください。
※本記事の情報は2022年8月時点のものです。
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