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住宅ローンの借り換え 何パーセントの金利差で実行すべきか?

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  現在の住宅ローン金利はかなり低い水準で推移しています。昨今のアベノミクスのインフレ誘導政策により将来的には、国内景気の好況、物価上昇、為替円安などの要因から長期金利の上昇も見込まれています。よって住宅ローンの借り換えは、今の金利水準が現在返済中のローン金利と比べ低くなっている場合、今が借り換えを検討するタイミングかもしれません。

  一般的に借り換えの目安とされる金利差は1%です。一体、金利差が何パーセントあればその効果が期待できるか、それは借り換えパターン(「フラット35から民間ローン」、「民間ローンからフラット35」等)によっても異なります。そこで、どのパターンが有利なのか、モデルケースを基に借り換え時の諸費用に相当する金利差を比較した損・得の分岐点を次に試算してみます。

  次の3項目は一般的に借り換えの目安とされています。

(1)返済期間が10年以上残っている

(2)借換え予定のローン金利と現在借りているローン金利差が1%以上ある

(3)ローン残高が500万円以上ある


設定条件: 返済10年目(最初の住宅ローンは金利2%、元利均等払い、返済期間は30年)に借り換えを実行すると仮定したケース

借り換え直前の住宅ローン残高:1,000万円、借り換え後の返済期間:20年

(諸費用額は融資額に組入れていない)

  借り換え効果が期待できる金利差は、下記の表-1(諸費用に相当する金利差の損・得の分岐点)のとおり最大で0.7%以上となります。またパターン別では「フラット35→民間ローン」にスイッチする場合が0.1%以上と最も大きく効果が表れます。その理由としては、借り換え後の民間ローンは保証料が発生するものの、フラット35で掛っていた団体信用生命保険(以下団信)の特約料が未発生となるためです。

  現時点で有利と考えられるパターンは、金利差にもよりますが「フラット35→フラット35」です。その理由は、現在の低い金利水準や将来的な金利上昇リスク等の状況下で有利となる固定金利タイプ、それも全期間固定金利(借入時に返済額が分るので返済計画が立て易いことが利点)を適用しているからです。民間ローンにスイッチする場合でも、可能な限り長期間の固定金利で金利差を比較し、検討することが得策です。

  また、この試算は借り換え後の融資額を1千万円としていますが、2千万円、3千万円と仮定しても保証料や団信の特約料等の諸費用が融資額に比例しているため金利差はほぼ同じ水準となります。

  借り換えは、現在の住宅ローン契約を解除し新たにローンを組むことになるので改めて融資審査を受けなければなりません。この際、年収や融資物件の資産価値などが下がった場合は通らない可能性もあります。またフラット35の団信も健康状態によっては加入できない場合もあります。この点は注意が肝心です。

  借り換えの検討に際しては、金融機関によって扱う金融商品や融資条件等が異なりますので、事前に金融機関で確認し、借り換えの損・得について試算してもらうことをお勧めします。

表-1 【ローン1千万円当たりの諸費用に相当する金利差の損・得分岐点】(単位:千円)

費用項目

(フ)⇒(フ)

(民)⇒(民)

(フ)⇒(民)

(民)⇒(フ)

※融資事務手数料

定率:210



定率:210

定額:40

32

32

定額:40

※保証料

 -

※55<200

148<200

△93

団体信用生命保険料

 -


△379

379

※その他費用

162

162

162

192

諸経費合計

202<372

249<394

-37<15

518<688

金利差 損・得の分岐点

0.3%,

0.3%<0.4%

0.1%

0.6%<0.7%

※諸費用の数値は、借り換えによる費用の発生および未発生(△)で比較。

※数値は概算のため目安とされたい。 ※(フ);フラット35、(民):民間ローン

※融資事務手数料:定率の場合は融資額x2.1%で試算。

※保証料:民⇒民の場合、一括前払い(55):未経過分の返金額を相殺すると仮定。

:民⇒フの場合、民間ローンの未経過分の返金額を含めると仮定。

    (保証料の返金については、返金額や返金の有無について銀行等に確認要)

※その他費用:抵当権設定登記;融資残高x0.4%で試算、登記手数料(司法書士等

 に支払う報酬額)、印紙税、物件検査費用(フラット35のみ)等を含む。

※融資審査に関わる諸費用は含んでいない。


表-2【1千万円当たりの金利差毎の節約金利額】(単位:千円)

金利差

金利総額

金利差

金利総額

1.0%

1,037

0.5%

510

0.9%

931

0.4%

407

0.8%

825

0.3%

304

0.7%

719

0.2%

202

0.6%

614

0.1%

101

※借り換え直前のローン残高は1千万円、返済期間は20年間


《小林 仁志》
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小林 仁志

執筆者:CFP、1級FP技能士 小林 仁志 小林 仁志

オフィスアセットポート 代表 山梨県生まれ。電器メーカーに入社後本社および米国・シンガポール・マレーシア等の事業所に勤務。在職中は財務経理を中心に総務人事・経営戦略・内部監査等の職種を経験したほか、同社の子会社監査役を務め2011年退任、2012年4月より独立系FPとして事業活動を開始。専門分野においては、特に団塊世代の年金・医療保険・税金等のリタイアメントプランや旅行とお金のプラン、住宅ローンや保険の見直し、株式・投資信託等の資産運用など。 <保有資格>:CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、総合旅行業務取扱管理者、登録ロングステイアドバイザー(ロングステイ財団)、他 寄稿者にメッセージを送る

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