保険・貯蓄・ローンの関係について考えてみましょう。
まずは、それぞれの特徴から。
ローンとは、今すぐに「消費」したいときに、つまり、「即効性という時間」を得ることを目的に、「金利負担」というお金を犠牲にします。
その逆に、貯蓄(運用含む)とは、「金利などを得るために」、使うときを先送りするという「消費する時間」を犠牲にします。
目的を達成するために、何かを犠牲にするわけですが、手段にはメリットとデメリットが共存します。時間を得たいのか、お金を得たいのかという、目的が決まれば、おのずと犠牲になるデメリットが明確になります。メリットしかない手段というのは存在しないのです。
次に保険ですが、保険には「今すぐに高額の保障を準備できる」という時間も金額も同時に手に入れるという人類の英知が集約されています。ところが、「使う目的が限定されている」という大きなデメリットがあります。
つまり、時間と金額の両方を得るために、目的を集約するという神業を使っているのです。
例えば、死亡保障は生きている限り使えません。入院保障は通院や自宅療養では使えません。がん保険はがんにならないと使えません。
以上のように、保険・貯蓄・ローンには、必ずメリットとデメリットが共存していることがお分かりいただけたと思います。
また、いずれの仕組みも「助け合いの精神」が基本原理になっています。今お金を使わない人は時間を犠牲にして貯蓄をし、今使いたい人は金利を犠牲にしてローンを組み、万が一といわれるような頻度が低く高額なものは、目的を犠牲にして時間とお金を得るという、相互扶助の精神で成り立っているのです。
自己責任時代に家計や企業の負担を軽減するには、それぞれのメリットを生かし、デメリットを極力抑える「マネーバランス」という金融の相関関係を生かした役割分担が必要になってきます。