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住宅ローン ~金利タイプ選択における“選択分岐点”を探る~

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  今年(2013年)1月頃から住宅ローンの金利タイプ選択において、以前よりも固定金利選択型10年や完全固定金利型を選択する傾向があり、変動⇒固定への流れが強まっているようです。

  これは、インフレによる金利上昇懸念が現実味を帯びてきたと感じてみえる方が増えたためと思われます。また、一部のFPの方のなかにも、変動金利から固定金利への変更を勧める発言なども多くみかけるようになりました。

  しかし、本当に変動金利より固定金利を選ぶべきなのでしょうか?

  結論からいいますと、条件や状況によって変わるものであると考えます。

金利タイプ選択における“選択分岐点”を探ってみよう

  では、その“選択分岐点”なる基準をどのように考えたらいいのでしょうか?今回は、ひとつの事例を用いて、過去のデータなども勘案し、金利タイプ選択における“選択分岐点”を探っていく様子をご紹介したいと思います。

≪事例≫
借入金額3,000万円 35年返済 元利均等返済 月々返済のみ
(1) 変動金利型0.875%、(2) 固定金利選択型10年1.40%、(3) 完全固定金利型1.81%で比較。
物価上昇率2%を達成し、金利上昇が4年目もしくは、6年目から起きると想定して比較します。
(なお、下記数値は端数処理や四捨五入の関係で誤差があります。目安としてお考えください)

  シミュレーションしてみますと、月々の当初返済額は、

(1) 変動金利型 82,949円
(2) 固定金利選択型10年 90,392円
(3) 完全固定金利型 96,478円

  になります。

3年目終了時点の残高は

 (1) 変動金利型の場合、        約2777.3万円     (2) 1.446% (3) 1.892%
  3年目終了時点で返済差額分を繰上返済したと仮定   (2) 1.512% (3) 2.016%
 (2) 固定金利選択型10年の場合、  約2796.5万円       
 (3) 完全固定金利型の場合、     約2810.6万円

5年目終了時点の残高は

 (1) 変動金利型の場合、        約2625.6万円     (2) 1.482% (3) 1.957%
  5年目終了時点で金利差分を繰上返済したと仮定     (2) 1.606% (3) 2.19%
 (2) 固定金利選択型10年の場合、  約2655.9万円
 (3) 完全固定金利型の場合、     約2678.5万円  

注) 赤字で示した金利は、変動金利が上昇後その金利となったときに、(2) 固定金利選択型10年や(3) 完全固定金利選択型の月々返済と同等程度になることをあらわしております。また、どの金利タイプでも月々返済が問題のない方であれば、変動金利型とそれぞれの金利タイプの月々返済差額を繰上返済に回せるものと考えて繰上返済後の同等返済金利も計算してあります。

  変動金利が、実質1.446%となるには、一律優遇金利の場合、店頭表示金利が3.046%程度、そうなりますと短プラが2.046%程度、変動金利が、実質2.19%となるには、一律優遇金利の場合、店頭表示金利が3.79%程度、そうなりますと短プラが2.79%程度ということになります。

  これは、過去データからすると、平成7年(1995年)4月~9月の短プラ2.75~2.0%程度に近似します。(約18年前)現状の短プラが1.475%程度ということからすると、0.57~1.315%程度の差になります。金利が上がるときは、下がるペースよりも早いものですので、微妙とも思えるでしょう。そうなると、状況次第となるのではないでしょうか?

ポイント
・変動金利型の月々返済と返済可能上限額との差はどの程度あるのか。
・住宅ローン控除分(現金給付措置が決定すればその分も含め)を繰上返済にどの程度まわせるのか。
・副収入や配偶者などの収入アップは見込めるのか。
・年齢や勤務先等の状況から所得アップが見込めるのか。
・ライフプラン的に今後5~10年程度の支出の増減はどうなのか。
・贈与や相続によって援助は見込めるのか。

  これらを加味して繰上返済した結果、短プラ想定が3%前後まで引き上げれれば(現状との金利差1.5%程度)、変動金利型でも問題は生じにくいでしょう。

  今回は、ひとつの事例でお話しておりますので、参考にならない方もおみえになるかもしれませんが、重要なのは、金利という割合で考えるのではなく、金額で考えるということです。金額で考えたうえで、金利に割り戻してみてください。そうすると、判断がしやすくなるのではないでしょうか。

  最後に、インフレにも大きく分けて2種類あります。ひとつは、「ディマンド・プル・インフレ」もうひとつは、「コスト・プッシュ・インフレ」です。どちらが起きるのかによっても、状況は様変わりすることもお忘れなく!!

《小木曽 浩司》
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執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司 小木曽 浩司

リップ ラボ 代表 1969年生まれ。大学卒業後、新卒で大手住宅メーカーに入社。約10年間、戸建住宅や賃貸住宅の営業に従事。その後、生損保乗合代理店に転職し、生命保険を使った企業の決算対策や退職金準備などを提案・営業する。そして、平成18年(2006年)6月にリップ ラボ(独立系FP事務所 兼 生損保乗合代理店)を開業し、独立する。現在は、生命保険・損害保険・住宅(不動産)・住宅ローンをひとつの窓口で、トータルにご相談に乗らせていただいております。また、専門家のネットワークを構築し、税金や相続、登記などの相談の窓口にもなっております。 <保有資格>:CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、ライフ・コンサルタント、損害保険プランナー 寄稿者にメッセージを送る

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