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住宅ローン『繰上返済のセオリー 』の3つの盲点とは

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住宅ローン『繰上返済のセオリー 』の3つの盲点とは

 住宅ローンの繰上返済とは、決められた返済以外にまとまったお金を随時・任意に返済することをいいます。返済期間の短縮や金利削減効果があり、住宅ローン返済におけるとても有益な手段です。

 繰上返済には、借入残債を全額返済する「全額繰上返済」と借入残債の一部を返済する「一部繰上返済」があります。そして、「一部繰上返済」には、「期間短縮型」「返済額軽減型」があります。

繰上返済のセオリーとは

 住宅ローンの繰上返済のセオリーとして、

1. 繰上返済時期はなるべく早い方がいい
2. 「期間短縮型」のほうが、「返済額軽減型」よりも効果が大きい
3. 借入金額が多いほうが、効果が大きい
4. 返済期間が長いもののほうが、効果が大きい
5. 金利は高い方が、効果が大きい

 とされています。(原則的には確かにこのとおりです)

 しかし、これはあくまで現状の借入状況や経済情勢(景気動向)が変わらず、そして金利削減効果のみを考えた場合の話です。視野をもう少し広くして考えると、実はこのセオリーにも盲点がさまざまあるのです。

「繰上返済のセオリー」の盲点

 具体例をあげますと、

1) 運用するという視点が忘れられていること

 繰上返済をするためのまとまったお金があるのであれば、そのお金を運用し、住宅ローン控除のメリットを最大限受けてから繰上返済したほうが、現在の金利環境下では効果が大きい場合もあり得ます。

2) 1回限りの繰上返済比較しかしていないこと

 「返済額軽減型」をおこなった場合で当初の返済額との差額(返済軽減分)を貯蓄し、再度の繰上返済原資に回し、どんどん繰上返済していけば累計ではさほど金利削減効果は変わらず、家計のリスクに対する抵抗力が高められます。

3) 経済情勢(景気動向)などが変化することも考慮すること

 インフレが進みお金の価値がどんどん下がれば、実質的には借入残債が減っているようなものです。慌てて繰上返済するよりも、貯蓄や資産運用に回した方がいい場合があります。(事実、ここ1年位で株価は1.5倍以上になっており、日経平均株価に連動するような運用をしていた方は金利削減効果よりも利益を得られたでしょう)

 このように、単一的な視点でみれば正しいセオリーにも、多面的な視点でみれば盲点があり、必ずしも“正解”となるわけではありません

 繰上返済の検討段階において、確実に“正解”を選択できるという訳にはいきませんが、多面的にみることによって、結果として“正解”を選択できる確率は高まるでしょう。盲点があるということを考慮して、自分の状況に合わせて検討するようにされるのがいいのではないでしょうか。(執筆者:小木曽 浩司)

《小木曽 浩司》
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執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司 小木曽 浩司

リップ ラボ 代表 1969年生まれ。大学卒業後、新卒で大手住宅メーカーに入社。約10年間、戸建住宅や賃貸住宅の営業に従事。その後、生損保乗合代理店に転職し、生命保険を使った企業の決算対策や退職金準備などを提案・営業する。そして、平成18年(2006年)6月にリップ ラボ(独立系FP事務所 兼 生損保乗合代理店)を開業し、独立する。現在は、生命保険・損害保険・住宅(不動産)・住宅ローンをひとつの窓口で、トータルにご相談に乗らせていただいております。また、専門家のネットワークを構築し、税金や相続、登記などの相談の窓口にもなっております。 <保有資格>:CFP認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、住宅ローンアドバイザー、ライフ・コンサルタント、損害保険プランナー 寄稿者にメッセージを送る

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