「勤労奨学金」という制度をご存知でしょうか? まだ一般的にはなっていませんが、一部の大学で実施されており、最近注目されつつある奨学金制度です。
これは資格条件を満たし、選考で採用された奨学生が、大学内で勤労作業を行うことにより受けられる奨学金で、返済が不要な「給付型」の奨学金制度です。
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明星大学の勤労奨学金制度を見てみると、給付額は月額3万円(年間36万円)で、実務体験時間は年間240時間となっています。主な実務内容は資料の準備やデータ入力といった職員の補助業務のようです。
つまり、年間240時間働くことによって36万円の奨学金を受け取ることができるわけですから、単純に時給に換算すると1,500円となり、平均的なアルバイトの時給と比べればよい条件といえます。
加えて学内で働くということで、安心して働くことができる、学業への理解と配慮が得られる、移動時間が省ける、大学の職員・教員とのコミュニケーションが深まるといったメリットもあります。
社会人としての実務を体験することができれば、就職においても役立つかもしれません。
また学生のアルバイトでよく問題になるのは、いつの間にかアルバイト中心の生活になって、本来やるべき学業が疎かになってしまうことですが、勤労奨学金であればその心配はなさそうです。親の立場としても安心なのではないでしょうか。
この勤労奨学金ですが、明星大学のほかには兄弟校であるいわき明星大学や東海大学などでも導入されています。話題が広まれば今後はさらに導入する大学が増えるかもしれませんので、今後注目の奨学金制度です。
また勤労奨学金に限らず、最近は各大学が独自で様々な奨学金制度や学費の減免制度などを導入しています。日本学生支援機構の奨学金だけでなく、大学独自の制度もよくチェックしてみてください。(執筆者:長尾 真一)