「老後破綻」を防ぐ、お金の貯め方の順番»マネーの達人

「老後破綻」を防ぐ、お金の貯め方の順番

現役のうちは一生懸命に働き、老後は悠々自適に暮らしたい。だれもが、そう思うことでしょう。けれど、現実には、必ずしもそうならないケースが多いようです。

特に、今働き盛りの40代、50代は要注意。年金が目減りする中で、2つの大きなマイナスが、老後の圧迫要因になってくる可能性があるからです。

その2つとは、「ローンと教育費」。


老後の圧迫要因「住宅ローンと教育費」




住宅ローン


今は、住宅ローンが最長35年まで借りられます。35歳で家を買うと、完済するのは70歳。常識的に考えると、年金生活をしながら住宅ローンを払い続けるのは難しい。

たとえば、3000万円の住宅ローンを、金利3%、35年返済で借りると、ボーナス無しなら月々の返済額は11万5000円。普通のサラリーマン家庭だと、ボーナス無しで11万5000円を払うのは大変なので、月々8万円、ボーナス時20万円ほどの支払いにするのではないでしょうか。

ローンの返済額は月々8万円でも、マンションなら管理費や修繕積立金、固定資産税もかかります。ですから支払いは、月約10万円で、年2回のボーナス月には、この10万円にボーナス払いを加えた計30万円を支払わなくてはなりません。

普通に働いているなら、この金額は返せるかもしれません。けれど、夫婦で20万円ちょっとの年金の中から住宅ローンと年2回の30万円を支払うのは、ほぼ不可能でしょう。

教育費


もうひとつの老後の大きな圧迫要因は、教育費。

子どもを大学まで行かせると、40代中盤頃から教育費が雪だるま式に増えます。大学は、国立でも1人500万円以上かかるので、お金を借りずに大学まで行かせることができるご家庭は少ないかもしれません。しかも、地方の方は、下宿代もかかります。そうなれば、毎月の仕送りで、とたんに家計は火の車に。


安心した老後を迎えるために必要な順番



では、この2つのお金のハードルを上手に飛び越えて、安心した老後を迎えるためにはどうすればていいのでしょうか。

人生には、3つの大きなお金のハードルがあります。それが、住宅ローン、教育費、老後費用です。このハードルは、必ず手前から飛び越えていかなくてはなりません

「住宅ローン → 教育資金 → 老後資金」


まず、35歳でマイホームを買ったら、買ってから10年くらいは、住宅ローンの繰り上げ返済でローン残高を減らすことに専念しましょう。

仮に、マイホームを買ってから5年間、一生懸命に300万円を貯めて繰り上げ返済すれば、住宅ローンは65歳までに終わります。その後の45歳までに300万円貯めて繰り上げ返済できれば、60歳ちょっとで住宅ローンは終わります。

45歳からは、全力で子どもの教育資金を貯めましょう。この頃になると、子どもの手が離れて妻も働けるようになるので、妻が稼いだお金はすべて貯金するくらいの覚悟で、年間100万円くらいは貯金したい。

そうやって、大学用の資金として、1人300万円くらい用意しておきましょう。それだけでは大学を卒業できませんが、足りないぶんは、奨学金を借りたりバイトで稼ぐなどして、子ども自身に用意させましょう。

こうすれば、55歳以降は、子どもの教育費に患わされなくてすむかもしれません。そこからは、自分たちの老後資金を貯めましょう。今まで教育資金として貯めていた貯金を老後資金として年間100万円できれば、60歳からは収入は減るでしょうが住宅ローンの支払いも終えているので、年間100万円くらいは貯められるはずです。

55歳から65歳までに、年間100万円ずつ貯金して1000万円が貯まっていれば、退職金を合わせ年金生活に突入してもそこそこにやっていけるはずです。

「住宅ローン → 教育資金 → 老後資金」というハードルは、順番を無視して飛ぼうとしてはいけません。若いころから老後が心配だと個人年金などの積立をはじめると、ローンも終わらない、教育資金も貯まらないまま老後に突入し、65歳になったらせっかく貯めた個人年金がインフレで大幅目減りしているというようなことにもなりかねないからです

これから家を買う人や、子どもを大学まで行かせるという方は、この順番を忘れずに!

仮に、マイホームを買ってから5年間、一生懸命に300万円を貯めて繰り上げ返済すれば、住宅ローンは65歳までに終わります。(執筆者:荻原 博子)

この記事を書いた人

荻原 博子 荻原 博子»筆者の記事一覧 http://www.ogiwarahiroko.com/

経済ジャーナリスト
1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「どんとこい、老後」(毎日新聞社)、「お金は死ぬまえに使え」(マガジンハウス)、「ちょい投資」(中央公論新社)など著書多数。

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