出産や育児に関する社会保険制度から給付されるものは、法律をまたいで複雑に絡み合っています。
前回は、出産で会社を休んだ時に支給される「出産手当金」について取り上げましたが、今回は育児で会社を休んだ時に給付される「育児休業給付金」についてピックアップしたいと思います。
目次
「育児休業給付金」とは?
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育児休業を取りやすくする目的で雇用保険に加入している方が育児のために会社を休み給与などの報酬の支払いを受けなかった場合に「育児休業給付金」が支給されます
。
今までピックアップしてきた「出産育児一時金(※1)」や「出産手当金(※2)」は健康保険から支給されるのに対して、「育児休業給付金」は雇用保険から支給されることになります。
「育児休業」については、「育児介護休業法」という法律で規定されていますが、給付金は雇用保険から支給されることになります。
※1 「出産育児一時金」は、2016年2月26日の記事「出産育児一時金をしっかりと活用しましょう」をご参照ください。
※2 「出産手当金」は、2016年3月8日の記事「出産で会社を休んだ時に支給される「出産手当金」とは」をご参照ください。
「育児休業給付金」の支給要件
給付が行われる要件は、以下の4つの要件を満たすことが必要です。
(支給対象期間の延長に該当する場合(保育園に入所できないなど)は子が1歳6か月未満まで)
(2) 休業開始前の2年間に雇用保険の加入月(賃金支払基礎日数11日以上ある月(過去に失業保険(基本手当)を受給した場合は、それ以降のものに限る。))が12か月以上必要
(3) 育児休業期間中の各1か月ごとに、休業開始前の1か月当たりの給与の8割未満の給与であること
(4) 会社に出社している場合は、各支給単位期間(※3)おいて、就業している日数が10日(10日を超える場合にあっては、就業している時間が80時間)以下であること
※3 支給単位期間とは、休業開始日から起算して1か月ごとの期間です。
「育児休業給付金」の支給金額及び支給期間
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※4 「支給日数」については、
(1) (2)以外の支給対象期間については一律30日、
(2) 休業終了日の属する支給対象期間については、当該支給対象期間の日数(実日数)
※5 育児休業の開始から6か月経過後は50%となります。
また、支給期間については以下の通りとなります。
(2) 同一の子について配偶者が休業する場合は、育児休業に係る子が1歳2か月に達する日の前日までの期間のうち最大1年間(※6)
(3) 保育園に入所できないなど一定の場合は、育児休業に係る子が1歳6か月に達する日の前日までの期間
となります。
※6 女性の場合は、出産日と産後休業期間と育児休業給付金の受給期間を合わせて1年です。男性の場合は、育児休業給付金の受給期間が1年となります。女性と男性とでは扱い方が異なるので注意が必要です。
また、育児休業期間の延長中などに次の子ができ新たな産前休暇期間に入った場合は、「出産手当金(※2)」を選んだ方が給付額としては多く受給できる場合が多いでしょう。
ぜひ育児休業給付金を理解して無駄なく受給しましょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)