数週間前に西日本新聞のサイトを見ていたら、公立高校の授業料の無償化が始まった平成22年度から5年間に、経済的な理由で高校を中退しなければならなかった生徒が全国で5385人、九州で少なくとも754人に上るという記事が掲載されておりました。
公立高校の授業料が無償化されたのに、このような事態になっている理由のひとつは、高校では授業料以外に教材費、修学旅行費の積み立て、通学費などが必要になるからのようです。
つまり授業料以外の教育費が負担になっているということであり、これは高校生の子供を持つ親だけでなく、小学生や中学生の子供を持つ親も、同様ではないかと思います。
こういった負担を軽減するため自治体は、次のような返済不要の助成金と、割引制度を実施しておりますので、制度の対象者になる方は、積極的に利用したいところです。
目次
就学援助(小中学生の子供がいる世帯が対象)

就学援助
とは小学生や中学生の子供がいる、生活保護を受けている世帯、または所得が一定基準以下の世帯などに対して、次のような授業料以外の教育費にかかるお金を、自治体が助成する制度です。
この「所得が一定基準以下の世帯」とは例えば、児童扶養手当を受給している世帯、または市町村税の非課税世帯などを示します。
ただ自治体(市区町村)が主体になって実施している制度のため、自治体によって基準が変わり、また助成される金額も自治体によって変わるのです。
そのため就学援助に興味を持った方は、「お住まいの市区町村の名前 就学援助」などといったキーワードで検索して、調べてみるのが良いと思います。
なお申請に必要な書類の提出先も自治体によって、「子供が通学する学校」、「市区町村教育委員会担当窓口」、「住所地の市区町村役場」のいずれかになり、また添付する書類も自治体によって若干の違いがありますので、こういった点も併せて確認しておきます。
高校生等奨学給付金(高校生の子供がいる世帯が対象)

高校生等奨学給付金
とは国公私立かを問わず、高校生の子供がいる低所得者世帯に対して、次のような授業料以外の教育費にかかるお金を、自治体が助成する制度です。
この「低所得者世帯」とは例えば、生活保護(生業扶助)を受けている世帯、または市町村民税の所得割が非課税の世帯などを示します。
ただ自治体(都道府県)が主体になって実施している制度のため、自治体によって基準が変わり、また助成される金額も自治体によって変わるのです。
そのため高校生等奨学給付金に興味を持った方は、「お住まいの都道府県の名前 高校生等奨学給付金」などといったキーワードで検索して、調べてみるのが良いと思います。
なお申請に必要な書類の提出先も自治体によって、「子供が通学する学校」、「高校教育課」、「私学振興課」のいずれかになり、また添付する書類も自治体によって若干の違いがありますので、こういった点も併せて確認しておきます。
子育て支援パスポート
子育て支援パスポートとは自治体が、制度の対象となる子供がいる家庭に、子育て支援パスポートを発行し、それを協賛店に提示すると、各店独自の割引や、サービスなどが受けられる制度です。
制度の対象となる子供の年齢は、一般的には「18歳未満」になりますが、「中学生以下」、「小学生以下」、「未就学児」とする場合もありますので、早めに手続きを済ませておきたいところです。
この子育て支援パスポートは、自治体(都道府県)が主体になって実施している制度のため、「お住まいの都道府県の名前 子育て支援パスポート」などといったキーワードで検索してみると、制度の対象となる子供の年齢、協賛店、割引内容などがわかると思います。
ただ子育て支援パスポートという名称ではなく、それぞれの自治体が独自の名称を付けて、同様の制度を実施している場合もありますので、この点には注意が必要です。
また都道府県だけでなく市区町村でも、子育て支援パスポートを実施している場合がありますので、「お住まいの市区町村の名前 子育て支援パスポート」などといったキーワードで検索すると、皆さんが住んでいる市区町村の制度が見つかるかもしれません。
子育て支援パスポートを活用して、授業料以外の教育費の負担を軽減したい場合、例えば協賛店となっている学習塾を利用する、または協賛店で学用品を購入するという方法が考えられます。
ただ子育て支援パスポートによる割引は、こういった教育関連費に限定されず、例えば協賛する飲食店で食事をした時や、レジャー施設を利用した時にも適用されます。
子育て支援パスポートはもともと、住所地の都道府県だけで利用できる制度でしたが、それが他の都道府県でも利用できるようになり、平成29年4月1日からは、全国どこでも利用できるようになる予定です。

自治体が実施する独自の制度
この3つの制度は、ほとんどの自治体で実施しているので、どの都道府県や市区町村に住んでいても、同様の助成や割引を受けることができます。
ただ少子化対策を重視する一部の自治体では、小学校や中学校の入学時にお祝い金を支給したり、ランドセル代を支給したりするという、独自の制度を実施しておりますので、どのような制度があるのかを把握しておき、もらい忘れをなくしたいところです。(執筆者:木村 公司)