「寡婦年金」は、「遺族年金」の一種です。
「遺族基礎年金(※1)」は、「子」のいない「妻」は、「夫」が亡くなった場合は支給されません。
しかし、「夫」が国民年金の第1号被保険者(自営業をしている方など)だった場合、「寡婦年金」と「死亡一時金」を選択することができます。
その中でも今回は、「寡婦年金」を取り上げたいと思います。
※1「遺族基礎年金」の詳細は、2016年3月31日の記事「手続き忘れのある「遺族基礎年金」について」をご参照ください。
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目次
「寡婦年金」とは
「寡婦年金」は、「子」がいなくても一定の支給要件を満たせば60歳から65歳までの間に支給される年金です。
「寡婦」であるため受給できるのは女性に限ります。「寡夫」である男性には支給されませんので注意が必要です。
「寡婦年金」の支給要件
「寡婦年金」は、以下のような時に支給されます。
(イ)第1号被保険者(自営業をしている方など)として保険料を納付した期間(保険料免除期間も含みます)が原則25年以上あること (ただし、平成29年4月より10年へ短縮される予定となっています)
(ロ)障害基礎年金の受給権者でないこと
(ハ)老齢基礎年金(老齢基礎年金の繰上げ受給も含みます)を受給していないこと
(イ)「夫」が亡くなった当時、「夫」によって生計を維持されていたこと
(ロ)「婚姻関係」が10年以上続いていたこと(内縁関係も含みます)
(ハ) 65歳未満であること 「夫」が亡くなった時に「遺族基礎年金(※1)」を受給していた場合でも、その後において「寡婦年金」の支給要件に合えば支給されます。
「寡婦年金」の年金額 について
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「寡婦年金額」は、「夫」が亡くなった時の保険料納付済期間(保険料免除期間も含みます)より計算されます。
年金額については、「夫」が生きていればもらえる「老齢基礎年金」の4分の3となります。
例えば、「夫」が第1号被保険者として国民年金の保険料を30年掛けており亡くなった場合の「寡婦年金」は、
となります。
「寡婦年金」は、高齢寡婦(未亡人)に対する所得補償としてある年金となります。
しっかりと申請し、もらい忘れの無いように注意しましょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)