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投資家をこっそり誘導する金融機関の3つの「営業トーク」

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投資家をこっそり誘導する金融機関の3つの「営業トーク」

ベストな営業員やFPを見抜くには…



初めて資産運用にチャレンジする人や、退職金や相続などでまとまったお金ができた人は、どのように運用を始めたら良いか分からず、

銀行や証券会社の無料相談窓口に話を聞きに行く人が多い


しかし、

金融機関の相談員や営業員のアドバイスを全て鵜呑みにするのは、実はとても危険

ということをご存知だろうか。

残念ながら、金融機関の営業員は、ビジネスで相談に乗っているため、彼らのアドバイスがあなたにとって必ずしも最適であるとは限らないのだ。

今回は、なぜ金融機関の営業員をそのまま信用してはいけないのか、経済学の考え方である「インセンティブ(動機付け)」から解説し、彼らの言葉の裏に隠された真意を説明する。

私たち顧客にとって、ベストな営業員やFP(ファイナンシャルプランナー)を見抜くにはどのようにしたら良いのかを一緒に考えてみよう。

なぜ金融機関の営業員は信用できないのか

経済学の考え方に「インセンティブ(動機付け)」というものある。

これは、私たちの日々の行動や選択を決定付ける要因のこと。

例えば、ある人が、最寄りの店ではなく、セールを行っている遠いデパートまでわざわざ足を運んで買い物に出かけるのは「少しでも安く商品を買いたい」という消費者のインセンティブが働いているからである。

それでは、資産運用をする投資家と、金融機関の営業員のインセンティブを比べてみよう。

投資家のインセンティブ

私たち投資家が資産運用をする時の一番のインセンティブは、「運用利益を最大化したい」というものである。

できるだけ安い手数料で取引を行い、将来値上がりが予想される金融商品を購入して、高値で売却することが目的だ。

金融機関の営業員のインセンティブ

一方、営業員にとって、顧客が儲かるかどうかかは、実はあまり関係ない。

彼らのインセンティブは、「会社の利益を最大化したい」というものである。金融機関の利益源は、顧客から得られる手数料。

言い換えると、営業員のインセンティブとは、「顧客から得られる手数料を最大化したい」というものなのだ。

よって彼らは、顧客の利益を最大化することよりも、金融機関により多くの手数料が入るような商品や提案を行う可能性がある

私たち投資家にとって、インセンティブが異なる営業員がお薦めする商品は、必ずしもベストであるとは限らないことをきちんと認識しておこう。

営業員トークの意図を探る

営業員が投資家に持ちかける営業トーク。

中には、投資家をこっそり誘導するような危険なものが含まれている

その内容をいくつかピックアップして、営業員の意図を探ってみよう。


1. 「今この商品はとても人気で、売れているんですよ」

よく聞くフレーズ。

すでに人気が出ており、たくさんの人が購入している金融商品は、実質的な価値よりも値段が高騰している可能性がある。

みんなに人気がある商品は、ついつい手を出したくなるが、高い市場価格で買わされてしまうリスクがあるのだ。

2. 「この投資信託は最近入ってきた新しい商品です。」

新商品アピール。

新しい商品と聞くと、「何だか良さそう」と根拠もなく思ってしまうのだが、実は危険なトークのひとつ。

新商品は、顧客からの預かり資産(運用資産)がまだ十分に集まっておらず、さらに運用実績がないので、本当に儲かるかどうか判断することが難しい

20~30年以上前から販売され、繰上げ償還されず着実に運用資産を増やしているベテランの投資信託の方が、安心して投資できる場合が多いことを覚えておこう。

3. 「我が社はアフターケアが充実しています…」

「我が社はアフターケアが充実しています。定期的に保有商品を見直し、アセットアロケーションを組み替えましょう。」

という言葉。

特に、運用資金が十分にある高齢者が、銀行の立派な応接室に呼ばれて営業員からこのような話をされると、特別待遇を受けているような気持ちになり、ついつい営業員の「商品見直し」に乗ってしまう人が多い。

しかし、金融商品の売買を繰り返すと、その分手数料がかかってしまう。

資産運用は、生活における大きな変化(退職、入院、相続など)や経済情勢の変化がない限り、自分のリスク許容度やライフプランから最初に決めたアセットアロケーションを変更せず、長い目で運用を続けていくスタイルが基本

顧客の手数料を最大化したい金融機関の言葉を鵜呑みにして、無駄な売買を繰り返すと、手数料がかさみ、投資家にとっては大きな痛手となるのだ。

自分にぴったりのアドバイザーを選ぶポイントとは


それでは、私たち投資家は、資産運用について誰に相談したら良いのだろうか。

大切なのは、中立的な立場から運用のアドバイスをしてくれる、自分とインセンティブが同じFPや税理士を探すことである。

顧客が商品を売買することで手数料を得る金融機関の営業員ではなく、相談1回につきいくらという、相談料を支払う独立系FPは、顧客にとって不利益になる商品を勧めてくる可能性は低い。

「ロボアドバイザー」

また、昨今のFinTechの流れで話題となっている「ロボアドバイザー」を利用してみるのも手だ。

ロボアドバイザーとは、投資家のライフステージや運用目的などに合わせて最適化したポートフォリオを自動で提供してくれるサービスのこと。

人間の判断ではなく、コンピューターが自動で計算をしてくれるので、客観的な立場から、アセットアロケーションについてアドバイスをもらうことができる。

人(独立系FP)に頼むよりも安い手数料で利用することができ、時間も節約できるので効率的だ。

最後に…

資産運用は、自分自身の金融リテラシーを高めて、誰かに相談することなく、ネット証券を利用して、自分の力で行うことが理想的。

しかし、経済情勢が大きく変化した時や、急にお金が必要になった時など、疑問点や不安が出てくることもあるだろう。

そのような時は、中立的立場からアドバイスをしてくれる独立系FPや税理士、そしてロボアドバイザーを利用するようにしよう。

また、都合により銀行や証券会社の営業員に相談する場合は、彼らの言うことを鵜呑みにするのではなく、私たち投資家にとって本当にメリットがあるアドバイスかどうか、しっかり判断することが重要だ。(執筆者:下中 英恵)

《下中 英恵》
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下中 英恵

下中 英恵

東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。富裕層向け資産運用業務に従事した後、現在は米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動中。資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています。 <保有資格>:2級FP技能士、第一種証券外務員、内部管理責任者 寄稿者にメッセージを送る

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