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「健康診断の結果に『異常あり』があった…」 そんな時に覚えておきたい労災保険の給付

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「健康診断の結果に『異常あり』があった…」 そんな時に覚えておきたい労災保険の給付

私のまわりでは、春もしくは秋に、会社の定期健康診断を受診される方が多いように感じます。

皆さんは定期健康診断の受診の予定はありますか。もしくは、今年度は既に受診された方もいらっしゃるかもしれませんね。

定期健康診断の結果に「異常あり」の項目がついた時、どのように対応していますか。

指示に従って再受診される方、「まずい。」と思いながら放置してしまう方等、様々だと思います。

今回は、健康診断の結果に「異常あり」となった場合、労災保険を使って受けることのできる健康診断・保健指導をお知らせします


どうして、労災保険が病気等の予防である健康診断をカバーするの?

「労災保険は、業務上や通勤上での怪我や病気などについてカバーする保険でしょう。病気や怪我が発生する前は関係ないのでは?」

と思われる方が多いと思います。

確かに、労災保険は、業務上や通勤上での怪我や病気などに対する給付が大部分となっています。

但し、日ごろの過労の蓄積等によって生じる「過労死」等(業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生)に関連する項目について「異常」の所見が認められる場合には、「先回りして予防策を取りましょう」という方針のもと、労災保険から給付が行われます。

この、労災保険の給付を、二次健康診断等給付といいます。

どのような人が、二次健康診断等給付を受けられるの?

定期健康診断で受診する、次の4項目全てに「異常あり」がついた方です。

(1) 血圧の測定
(2) 血中脂質検査
(3) 血糖検査
(4) BMIの測定、もしくは腹囲の検査

また上記4項目の検査結果に関わらず、次の方は二次健康診断等給付の対象外です。

・労災保険に特別加入されている方
・定期健康診断等の結果により、既に脳血管疾患及び心臓疾患の症状を有すると認められる方

二次健康診断等給付の内容は?

ご自身が費用を負担することなく、次の給付を受けることができます。

(1) 二次健康診断

脳血管及び、心臓の状態を把握するための必要な検査です。受診回数は、1年度につき1回が上限です。

(2) 特定保健指導

二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を目的として、栄養指導・運動指導・生活指導の保健指導が面談形式で行われます。

特定保健指導を受けられるのは、二次健康診断ごとに1回が上限です。

尚、特定保健指導は脳血管疾患及び、心臓疾患の発生の予防が目的です。

従って、既に二次健康診断で、脳血管疾患及び心臓疾患を有していると認められた方は受けられません

手続はどのようにすればいいの?


二次健康診断等給付は、現金支給ではなく、診断や保健指導等の現物支給です

そのため、費用の給付や要した費用の立替払い等は対応しておりませんので、受けられる前に準備が必要です。

注意点も含め、手続は次のとおりです。

■(1) 二次健康診断等給付を受けられる病院は限られています。

 あらかじめ、医療機関に問い合わせをしてください。

■(2) 最寄りの都道府県労働局又は労働基準監督署で、二次健康診断等給付の請求書を貰い、必要事項の記入・会社の代表者等の証明を受けて下さい。

 その上で、定期健康診断の結果を添付し、二次健康診断等給付を受ける医療機関へ持参します。

■(3) 二次健康診断等給付を受けることができる期限は、「異常あり」との結果が出た定期健康診断の受診から3か月以内です。

 勘違いされる方が多いのですが、結果が出てから3ヶ月以内ではありません。ご注意下さい。

■(4) 1年度に複数回の健康診断を受診する場合であっても、二次健康診断等給付を受けることができるのは、1年度に1回限りです。

健康診断の結果は「異常」が無いに越したことはありません。

それでも「異常あり」となってしまった場合には、制度を上手に利用して、起こってはいけない「万が一」の予防を図ってください。(執筆者:岡村 ひろ子)

《岡村 ひろ子》
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岡村 ひろ子

岡村 ひろ子

岡村社会保険労務士事務所 所長 大手電機メーカー、弁護士事務所での勤務を経て、2014年9月社会保険労務士事務所を開業。個人の依頼者向けに障害年金の申請・取得のサポート、法人に対してはメンタルヘルス対策を主軸に採用・退職・人事制度・従業員のケア・就業規則の作成等を通じ、労使中立の立場に立ったコンサルタントを行う。 <保有資格>:社会保険労務士 寄稿者にメッセージを送る

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