※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

個人型確定拠出年金へ伸ばす手に「待った!」 私が恐れているデメリットはっきり言います

税金 ふるさと納税
個人型確定拠出年金へ伸ばす手に「待った!」 私が恐れているデメリットはっきり言います

2017年1月より拡充されて、公務員や専業主婦でも加入できるようになった個人型確定拠出型年金制度。その桁違いな節税効果が喧伝され、早くも各証券会社の顧客争奪合戦が始まっています。

「こりゃあもう、やらなきゃ損!」と思っている人は多いのでしょうか?

しかし、きちんと理解せずに始めてしまうのは、何事であっても褒められたことではありません。今回は、30歳代専業主婦が感じる、この制度の怖さを指摘したいと思います。

まずは確定拠出年金のメリットを確認


この制度のリスクを指摘する前に、まずはこの制度のメリットを確認しましょう。「桁外れの節税効果」と書きましたが、それは次の3重の節税を意味しています。


・毎月の掛金が全額所得控除される。
・運用益が非課税
・受取時の控除額が大きい(一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が受けられる)

アンパンマンもびっくりのトリプルパンチですね。この効果は大きい。他の節税制度と比べてみてもその差は歴然です。

・個人年金保険:年間8万円以上の保険料支払で4万円(上限)が所得控除。
・NISA:年間120万円までの投資について、運用益が非課税。

来年1月からは、公務員なら掛金上限月額1万2000円、専業主婦なら月額2万3000円までという条件のもと、利用できるということなのです。

確かにオイシイ話です。

よく言われているデメリット

オイシイ確定拠出年金ですが、盛んに言われているデメリットとは次のものです。

・投資信託などで運用するのだから、資産が目減りするリスクがある。

しかしこれ、私は大したリスクだとは感じません。そもそもスルガ銀行のように元本保証商品(定期預金)も選べるし、分散型投信なら長期積立運用すれば安定的に資産が殖えるでしょう。

何より多少資産が下落したところで、先ほど触れた節税効果が相殺します。それに、変動リスクをとらなきゃインフレリスクは回避できません。銀行預金など他の資産とバランスよく利用すれば、怖くないです。

私が恐れているデメリット


私が注意したいデメリットは、運用リスクではありません。それは、


途中退会が(ほとんど)できず、60歳になるまで資産が現金化できない

これです。

「拠出期間が3年以下」や「資産が50万円以下」などという条件でなら脱退一時金を受け取って脱退することができるとのことなのですが、これってようするに「始めたばかりの人なら逃げられる」ってことですよね。

ずっぽりはまり込むと抜け出せません。

1万2000円、2万3000円という金額ですから、長く続けて節税効果を大きくしたいとは誰もが思いますよね。ですが、長く続ける(=若いうちから始める)ようとすると、子どもの教育費・住宅費という人生三大支出のうち2つを待たずに始めることになるでしょう。

ですが例えば、子どもは成長すると「どうしても海外留学したいから、お金を出してほしい」なんて突然言い出すかもしれません。

そんな時、資産はある、だけど使えないなんていうことになると、歯がゆいことこの上ないですよね。だってそれ以外の資産形成方法なら、お金を出せるんですから。

保険での運用

元本割れする可能性があるが解約返戻金が受け取れる。また利息が発生するが解約返戻金を担保に契約者貸付を受けられる。

株式や投資信託での運用

いつでも時価で現金化できる。

定期預金

途中解約すると利率は不利になるが、いつ現金化しても元本保証される。

ですから私は、よっぽどの余剰資金で利用するか、子育てと住宅ローン支払いを終えてから老後までの期間でないなら、確定拠出年金制度の利用には慎重になった方が良いと思うのです。

毎月の給与明細を見て、「なんでこんなに社会保険料がとられるねん!」と手取りが目減りすることを嘆いておられるのなら、なおさらのはずです。賦課方式と積立方式との違いはありますが…。

途中退会は難しいが、掛金額は自由に調節できる


ところで、確定拠出年金は60歳まで現金化はできなくても、毎月の掛け金の金額は1年(4月~3月)に1回変更できます。


ですから「子どもが大学へ入学したから、家計が厳しくなりそうだ」なんて時期には、掛け金を2万円から1万円または5000円(1000円単位)へ減額したり、何だったら0円にしたりということもできるのです。

それまで蓄えた資産の現金化はできないが、これからの拠出額は調整できるということですね。

ちなみに個人型確定拠出年金に掛け金を拠出している人を「加入者」、掛け金が0円(掛金の拠出を停止)の状態になった人のことを「運用指図者」と呼ぶそうです。後者はもはや資金は出さずに運用の指図だけするからなんでしょうね。もちろん再加入も可能です。

4種類の手数料が発生する

さて。いつでも支払いをストップできるなら安心、と思ってはいけません。なぜなら、個人型確定拠出年金には4種類の手数料が発生するからです。

(1) 国民年金基金連合会へ:月額103円

(2) 資産管理手数料として:月額64円

(3) 運営管理機関へ:月額0円~数百円

運営管理機関とは、証券会社や銀行などの金融機関で、自由に1つだけ選ぶことができます。月額手数料0円のところもありますが、一定額以上の拠出が必要だったり、還付や移管時に手数料が多めだったりして採算を合わしているようです。

また運営管理機関によって選べる投資商品も異なりますので、ここは無難に最多の月額300円台を採用します。もっと高額なところもあるのですが。

(4) 特別法時税:年間資産の1.173%(凍結中)

これは厳密には手数料じゃないですね。しかも現在は凍結されており発生しません。しかし、いつ課税開始するかは分かりません。

年6000円+資産の1%以上のランニングコスト

となると、(1)~(3)の合計は月額約500円。年間だと6000円+資産の1%以上のランニングコストが発生するのです。

もちろん毎月の拠出を続けていれば、節税効果と相殺されて十分にプラスになるのですが、拠出ゼロの運用指図者でも(2)(3)(4)の手数料はキチンと発生するのです。…ジリ貧じゃあありませんか。

それに一時的ですが、加入時・移管時・還付時などにも数千円規模の手数料が発生するのです。

神様じゃないと…


それらをすべて将来的なプラスマイナスまで計算して…、保険など他の運用法や住宅ローンの繰り上げ返済または借り換えと比較して…、最善のものを選ぶ…。なんて神様にしかできません。

やはり、個人型確定拠出年金は安定的に拠出し続けられる、きわめて余剰な資金で実施すべきだと感じています。

ふるさと納税も!

そして最後に、私がもっともお得だと感じているふるさと納税が、この確定拠出年金によって制限されることにも触れておかねばなりません。

確定拠出年金は、毎月の拠出金の全額が所得控除されるため、その分所得が圧縮され、とばっちりを喰らってふるさと納税額可能額も圧縮されるのです。(執筆者:徳田 仁美)

《徳田 仁美》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

徳田 仁美

徳田 仁美

関西地方都市在住の30歳代主婦。某私立大学文学部卒。「良いものを長く使う」「不健康が最大の損失」「家族円満は無料で最大の幸福」を心がけて、主婦業を営む。夫の収入で家計を管理する、現在は2児の母。子だくさんでも成立する家計を模索。家計とは別に、結婚前の貯金を株式投資やFXなどで運用する。投資歴は8年程度。最近は新しい時代を作ってくれそうな企業に注目している。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集