10月に入ると地域別最低賃金が改定されます。
しかし、現在、就業形態の多様化が進み所属している会社の地域と実際働いている地域が違う場合どのように最低賃金が適用されるかなどのような質問を受けることがあります。
どのように最低賃金が適用されるか解説いたします。

目次
「最低賃金(※1)」とは
最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が最低賃金額を定めています。年齢に関係なく、そして雇用形態も正社員、派遣社員、契約社員、パートタイマーやアルバイトといった働くすべての人を対象に賃金の最低額を保障する制度です。
※1「最低賃金」の詳細等は、2015年11月2日の記事「働く人は最低賃金額をチェック 会社も助成金を活用しよう」をご参照ください。
地域別最低賃金は、「働く地域」によって最低賃金が適用される
働く人が「住んでいる地域」ではなく、「働く地域」によって最低賃金が適用されることになります。
県境などで、隣の県の方が最低賃金が高い場合は、高い給与になる可能性が大きいのでパート先を変更するなど、一度検討してみるとよいかもしれません。
【最低賃金】 A県:820円
B県:840円
この場合は、B県の840円が最低賃金として適用されます。
事業所間を移動してそれぞれの地域で働いている場合
原則として、他の事業所へ応援などで他の地域に行く場合であっても、自身の「本来の所属先の事業所の地域」について最低賃金が適用となります。
しかし、労働契約上はA県の支店所属になっていることにもかかわらず、実際はB県の本社所属で働いている場合は、B県の最低賃金が適用されますので、労働契約を締結しなおしましょう。

派遣労働者は取り扱いが異なります
派遣労働者は、派遣元企業に所属して派遣先企業で働くことになります。この場合は、派遣先企業の地域の最低賃金が適用されることになります。
【最低賃金】 A県:820円
B県:840円
この場合は、B県の840円が最低賃金として適用されます。
最低賃金の取り扱いは、場合により異なりますので、しっかりと確認いたしましょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)