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がん治療と仕事の両立の厳しい現実 自分が現在利用できる可能性のある制度を調べよう

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がん治療と仕事の両立の厳しい現実 自分が現在利用できる可能性のある制度を調べよう

がんかも知れない」ということを告げられた時、大きなショックを受けると同時に

・ どれくらい悪いのか
・ 生存率は
・ 仕事はどうなる
・ これからの生活は
・ 治療費は
・ 生活費は

といった様々なことが頭をよぎります。

頭をよぎるなら落ち着いている方で、もしかするとパニックで頭の中は真っ白という人のほうが多いかも知れません。


がん制度ドック

ほとんどの人がインターネットなどを使って情報を得ようとしますが、これまではがんそのものの症状については検索しやすくても、そのほかの仕事やお金などの生活に直結することについて調べるのは大変でした

しかし「がん制度ドック」というウェブサイトを見れば、今までは分かりにくかった制度などを簡単に把握することができます。

まずはこのサイトにアクセスし、性別・年齢・がんの部位・現在の体調・加入している年金や健康保険・生命保険・雇用形態などの質問について入力します

最後に「制度を検索する」という箇所をクリックすると、自分が現在利用できる可能性のある制度が一覧になって表示されます。

健康保険に関する制度

・ 高額療養費制度

・ 傷病手当金

・ 退職に伴う健康保険制度

・ 国民健康保険税の減免、徴収猶予

公的年金に関する制度

・ 障害基礎年金

・ 障害厚生年金、障害手当金

・ 退職に伴う年金制度~年金保険料免除制度、猶予制度

・ 遺族基礎年金

・ 年金の繰り上げ受給

雇用保険に関する制度

・ 退職に伴う雇用制度~基本手当の受給期間延長、雇用保険の失業手当

・ 介護休業給付金

障害に関する制度

・ 障害者手帳

・ 日常生活用具給付券~ストーマ(人口肛門・人口膀胱)関連の給付、人口喉頭関連の給付

税に関する制度

・ 所得税~医療費控除

職場の制度

・ 退職に伴う制度

・ 介護休暇、介護休業制度

民間の制度

生命保険

リビングニーズ特約、高度障害保険、がん保険、契約者貸付制度、死亡保険金、団体信用生命保険

個人年金保険

契約者貸付制度、一時金、死亡給付金

子ども保険、学資保険

満期保険金、契約者貸付制度、保険料免除特約

慈善活動

・ 公益信託、奨学金

・ 遠距離介護割引

などといった内容を詳しく、また分かりやすく知ることができます。

厳しいのが現実! がんの治療と仕事の両立


NPO法人がん患者団体支援機構とニッセイライフが共同で行ったアンケートでは、がんと診断される前の平均年収が約395万円だったのに対し、
      ↓
診断後は何と約167万円! と半分以下になっているという結果が出ています

それだけ思うように働けなくなっていることが良く分かります。

また厚生労働省の資料を見るとがん患者は増加傾向にあり、そのうち3人に1人は就労可能な年齢で罹患しており、仕事を持ちながらがんの治療で通院している人は32.5万人にものぼるという調査結果が出ています

「がんになる人」(平成23年 国立がん研究センターがん情報サービス)

【年間約58万人】

男性…49万6304人 
1位 胃がん  
2位 前立腺がん  
3位 肺がん

女性…35万5233人 
1位 乳がん  
2位 大腸がん   
3位 胃がん

「生涯がん罹患リスク」(平成23年 国立がん研究センターがん情報サービス)

男性… 62%

女性… 46%

「がんの医療費」(厚生労働省 平成25年国民医療費)年間3兆3,792億円…医療費全体の11.8%

がん患者や経験者の就労問題では、がんの診断後、勤務者の34%が依願退職や解雇となっており、自営業者では13%が廃業しています。決して少ない数字ではありませんよね。

そんな中、がんの治療中の社員が働きやすくするための職場環境を作ろうとする企業の取り組みがスタートしています

がん対策推進企業アクション

2人に1人ががんになる時代。現代の日本はがん大国と言っても過言ではないでしょう。がん患者の約1/3は労働者という現実があります

これは企業にとって人材損失の大きなリスクにも繋がっています。

がん対策推進企業アクションでは、

・ 職域において「がん検診受診率」を向上させ、企業が連携して推進・呼びかけを積極的に行ない、受診率50%を目指す

・ 職域におけるがん検診実施状況やがん患者、経験者の就労状況の把握と報告

・ 社内における勉強会の開催

などで、がんになっても働き続けられる社会を目指します

企業にとって「人」や「労働力」は最大の財産であるととらえ、がんの早期発見・早期治療、がん検診の啓発やがんという病気への理解促進を行っていきます

第1ステップ

主治医ががんの診断を行い、本人に告知、情報収集を行う

・ がんの診断・告知

・ 勤労者の職場復帰に対する意志の確認

・ 治療内容・勤務状況・社会保障制度等の情報収集

第2ステップ

職場復帰の可否の判断、職場復帰支援情報の作成・提供を行う

・ 診療スケジュール・治療計画の作成

・ 化学療法等の治療の副作用及び注意点

・ 復職時に配慮されるべき事項の整理

・ 職場復帰の可否の判断

・ 職場復帰予定日

・ QOLや労働能力の評価

第3ステップ

職場復帰後の経過観察、フォローアップを行う

・ 体調や精神的症状の確認・フォローアップ
       
・ 勤務状況の確認・就業上配慮されるべき事項の確認

・ 職場復帰支援情報の評価と見直し

これらのステップを経て治療と就労を両立する支援を行なっていきます


それぞれの取り組み

現在は2,172の企業・団体が「がん対策推進企業アクション」に賛同し、それぞれに様々な取り組みが行われています。

・ 1時間単位での有給休暇制度
・ 復職支援制度の充実
・ 通院治療での半日休取得
・ 本人の希望による時差出勤や配置転換、在宅勤務
・ 社員のがん体験記を社内報などで紹介

こういった取り組みが更に広がり、社会に出来るだけ早く浸透していくことが、今後の日本を支える上で非常に重要な役割となってくることは間違いないでしょう。(執筆者:藤 なつき)

《藤 なつき》
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執筆者:FP2級 藤 なつき 藤 なつき

保険・マネー・健康・医療・福祉・教育・伝統工芸・伝統行事等、幅広い分野の記事を執筆。お仕事をさせて頂きながら、自分自身もたくさんの発見と新しい知識を身に付けさせてもらっていると感じる毎日。2013年FP2級取得。東京育ち、福岡在住。 寄稿者にメッセージを送る

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