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「法定通貨」と「仮想通貨」
まずは「法定通貨」と「仮想通貨」についてからお話しましょう…
2016年4月27日の衆議院財務金融委員会において、麻生太郎財務大臣は以下の内容の答弁をしており、このことから、政府はビットコインを消費税の課税対象として取り扱うとしています。
つまり仮想通貨は
・ 物
と定義されました。
麻生財務大臣の答弁
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ビットコインというようないわゆる仮想通貨と言われるものについては、現行の消費税法からいきますと、これは非課税として限定列挙されております支払い手段というものは、
御存じのように法定通貨とか小切手とか、そういったような物品切手に該当しませんので、課税対象になるということになるんだと思っております。
大臣の答弁に出てくる「法定通貨」とは何でしょう
「法定通貨(Legal tender)」とは金銭債務などの弁済手段として強制力を持つ通貨と定義されています。「法貨」とも呼ばれます。
強制力とは、契約が成立した後にその通貨による決済を拒絶できないということです。
レストランでの会計の場合
レストラン側はドル紙幣の受け取りは拒否できますが、日本円での受け取りは拒否できないということです。
ちなみに、硬貨の場合、強制力を持つのは同一硬貨20枚までとされています。たとえば、全部1円玉での支払いは店側は拒否することができます。
100円の商品を購入する際に使える1円玉は20枚までで、残りは別の硬貨行う必要があります。店が受け取りを承認すれば別ですよ。
「仮想通貨」の法的定義
ビットコインを含む仮想通貨は「資金決済に関する法律(資金決済法)」において法的に定義づけられています。
・不特定者に対して購入・売却を行える資産である
・仮想通貨取扱事業者を用いて移転することができる
仮想通貨は決済手段として利用できることはもちろん、為替のように仮想通貨自体を取引できる資産であると定義づけられました。
ただ、法定通貨としては認められていません。強制力はないということですね。ビットコインなどの仮想通貨でしか支払わないと主張しても、それは通らないということです。
平成29年度税制改正において
「仮想通貨に係る課税関係の見直し」を実施することが決定されました。これによれば仮想通貨の譲渡において消費税が非課税となります。
この非課税化は2017年7月1日以降に日本の事業者が行う仮想通貨の譲渡や課税仕入から適用されることになっています。
仮想通貨は「商品、物」から「通貨」に
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この間はすごく短いということがポイントです。麻生財務大臣が「物」と定義してから1年しか経っていないのに、もう「通貨・貨幣」になったのです。
それだけ仮想通貨の広がりが急であり、社会において仮想通貨の存在感が急速に増していると言えます。
法改正で、仮想通貨取引所は登録制に
仮想通貨の取引所は登録制とし、金融庁が監督官庁になって、仮想通貨の取引や技術の発展に目を光らせることになります。
「仮想通貨交換業」は、内閣総理大臣の登録を受けた者(仮想通貨交換業者)でなければ行うことは許されません(改正資金決済法63条の2)。
無登録で「仮想通貨交換業」を行った者や、不正の手段により登録を受けた者に対しては、
ことになります(改正資金決済法107条2号、5号)。
利用者保護やマネーロンダリングの観点から、登録制になったようです。
具体的に、仮想通貨の決済方法を見てみましょう
ビットコインという言葉はよく耳にされるでしょう。仮想通貨の中でもっとも流通量が多いのがビットコイン(bitcoin)です。
仮想通貨は投資目的でも取引されていて、ビットコインの価格変動のさや取りで利益を得ることができます。
2017年4月での時価総額(通貨の値段×出回っている通貨の量)順位では
2位 イーサリアム
3位 リップル
4位 ライトコイン
5位 ダッシュ
となっています。このカタカナの名前がそれぞれ仮想通貨なのです。
仮想通貨は「ブリッジ通貨」
法定通貨(いわゆる私たちがいつも使っている通貨)と交換する仮想通貨は、極端に言えばなんでもいいわけです。それは仮想通貨は、法定通貨間の橋渡しをする「ブリッジ通貨」だからです。
ただ仮想通貨を取り扱う取引所の信用は重要です。マウントゴックスの例もありますからね。取引所ごとの
・ 換金の方法
・ 手数料等
比較することは良いことだと思います。
現状では、ビットコインを取り扱うお店が多いようですね。
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「取引所」と言っても…
東京証券取引所のようなものがあるのではありません。イメージではFX取引口座とかネット証券口座のようなものを開くところという感じ、取引所と呼ばれるところは民間会社です。
株取引きだと、証券会社はあくまでも仲介業者で、あくまでも東京証券取引所に上場されている株式を売買することになります。
仮想通貨のやりとりは、仮想通貨を取り扱う口座を開いた会社とのやり取りだけで、その先に取扱市場があるわけではありません。
この直接やり取りする会社を「取扱市場」と呼んでいるのです。まったくの民間会社です。
自分の口座を開設
アカウントを開設し、自分の口座を開きます。この口座を「ウォレット」と表現しています。財布の英語表記ですね。このウォレット間でお金のやり取りをします。
投資もこの「ウォレット」で行います。投資も仮想通貨の売買ですから、決済とやり方は同じです。
今後、仮想通貨コンサルタントなる人が現れるかもしれません。仮想通貨ポータルサイト、手数料比較サイトもできてくるかもしれませんね。
仮想通貨の送金
仮想通貨の送金は、メールを送る感覚に似ています。メールと同じ瞬時に相手の口座(ウォレット)に仮想通貨を送ることができます。
受け取った側は、それを取引所でその国の通貨に換金できます。
さあ仮想通貨でお買い物をしてみましょう
仮想通貨で買い物もできます。
日本ではビックカメラでビットコインが使えます。クリニックでの診察費用として支払えるところもありますし、ホテルの宿泊費をビットコインで支払うこともできます。レストランの精算にも使えるところはあります。
商品やサービス提供側が、仮想通貨での受け取りを許可しているところであれば、通常の紙幣やクレジットカードのように精算することができます。
VISAブランドのプリペイドカード
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ビットコインで入金できるようになりました。これにより、数百万点の店で間接的にビットコインが使えるようになりました。
お店のレジにモニターやタブレット端末があり、そこに精算内容がインプットされたQRコードが表示されます。
スマートフォンで仮想通貨アプリ、たとえばビットコインならビットコイン取引アプリを起動してQRコードにかざすだけで、精算は終了です。
仮想通貨の価値は日々変化する
レートによって、必要なコイン量が変わってきます。
レートが下がっているときに仮想通貨を買って、レートが上がっているときに使えばお得です。
それを苦とみるのか楽しみと思うのか、儲かると思うのかは人それぞれですが、私たちは価格変動にはなれていく必要があります。
これからの金融においては、変動は受け入れなければならなくなってくると思います。
口座開設は、スマートフォンのアプリからもできます。証券口座を開くのと同じような感じです。
仮想通貨を日本円に換金
ビットコインを日本円に換金する方法は複数ありますが、最もおすすめな方法は仮想通貨取引所(または仮想通貨交換所)を利用することです。
日本には複数の仮想通貨取引所や仮想通貨交換所があるので、それらのウェブサイトにアカウントを開設し、あなたの銀行口座を登録しておきます。
さきほどのお店で精算するために口座を開いたところで日本円に換金することができます。
ウォレットを作るのも、海外送金するのも、投資をするのも、一つの取引所で口座を開くことで可能になります。
ビットコインの国内最大の取引所はビットフライヤーで、ここの口座を開いておけば、お店での精算や投資、換金が可能になります。
仮想通貨が普及することで見える、その先のキャッシュレス社会
世の中からキャッシュをなくす、その目的はマネーロンダリングへの対応であり、偽札流通による地下社会への資金源を遮断することにあります。
インドでは偽札対策として高額紙幣を無効にしましたし、欧州やアメリカでも高額単位紙幣の発行を見直す検討がなされています。
電子マネーやプリペイドの普及に力を入れています。携帯電話やスマートフォンがあればお財布を持ち歩かなくても買い物ができますからね。
そういえば、最近銀行はやたらデビットカードを勧めていませんか
1,000円未満お買物は、クレジットカードでは利用しづらいがデビットカードならお財布代わりで気軽に使えるという感覚なのでしょうか。
店側も、手数料から考えると、クレジットカードの機械を入れるよりも、ビットコイン決済をしたほうが安く済みます。クレジットカードの未来が危ういのではないでしょうかね。
LINE-Payのシステムも、三井住友銀行という既存の銀行が発行体ということで仮想通貨とは根本が違いますが、送金の簡素化を実現したシステムと言えます。
紙幣はなくなる??
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キャッシュレス社会と言っても、普段の生活におけるお金のやり取りにおいてであり、世の中から紙幣がなくなるという話ではないでしょうが、いずれ電子マネーですべての商取引が行われることになると思います。
それこそ給料や年金はビットコインで支払われることになるでしょう。
海外ではテロ組織が、身代金をビットコインで求めた例もありますからね。あまり良い例ではないですが、時代の変化を示す例としてご勘弁ください。
最後に
「ブロックチェーンとは」
「仮想通貨での投資は」
などなど、まだまだ疑問点はたくさんあると思います。
今回は仮想通貨が実際に使われている現場の様子と、仮想通貨普及で見えるキャッシュレス社会を意識してもらうコラムとしましたが、引き続き、これらの疑問に答えるコラムを続けたいと思います。(執筆者:原 彰宏)