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公的医療保険の支払いが困難になった時に備え、手続きすれば自己負担が「0割」まで下がる制度の概要を覚えておこう。

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公的医療保険の支払いが困難になった時に備え、手続きすれば自己負担が「0割」まで下がる制度の概要を覚えておこう。

健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度などの公的医療保険に加入している方が、医療機関などの窓口で支払う自己負担の割合は、年齢によって次のようになっております。

・ 70歳未満の方… 3割(ただし小学校就学前の乳幼児は2割)

・ 70歳以上75未満の方… 2割(ただし現役並み所得者は3割)

・ 75歳以上の方… 1割(ただし現役並み所得者は3割)

ここまではご存知の方は多いと思うのですが、この自己負担の割合は手続きにより、最大で「0割」にまで下がる場合があるのです。


1. 公費によって自己負担を軽減する「公費負担医療制度」

自己負担の割合が下がる例としては、国または地方公共団体(都道府県、市区町村)が実施している、「公費負担医療制度」があります。

この公費負担医療制度を受けられる要件を満たした方が、所定の手続きを行うと、医療費の全額が公費で賄われる場合があり、そうなると自己負担を支払う必要がなくなります

また公費負担医療制度によっては、自己負担が発生する場合がありますが、その全部または一部が公費で賄われるため、自己負担の支払いがなくなったり、少なくなったりするのです。

国の公費負担医療制度は、幅広い目的のために実施されている

国が実施している公費負担医療制度は、種類が多いうえに、制度内容が複雑なため、詳細まで覚えておくのは大変です。

そこで次に記載するように、どういう目的のために公費負担医療制度が実施されているのかだけを覚えておき、要件に該当する可能性がある時に、インターネットなどで調べてみるのが良いと思います。

・戦傷病者や原爆被爆者などに対する、国家補償的な目的で実施

・結核などの感染症の、感染拡大の防止を目的に実施

・治療法が確立していない難病の、治療や研究を目的に実施

・障害のある方などに対して、社会福祉的な目的で実施

・大気汚染や水質汚濁などの公害の被害者を、救済する目的で実施

条例を制定して実施する、地方公共団体の公費負担医療制度

国だけでなく地方公共団体(都道府県、市区町村)も、独自の条例を制定して、公費負担医療制度を実施しております。

ただ国が実施している公費負担医療制度と同じように、制度内容が複雑なため、詳細まで覚えておくのは大変です。

そこで次のような制度の名称を参考して、

どういった方を対象に公費負担医療制度が実施されているのか

だけを覚えておき、要件に該当する可能性がある時に、住所地にある市区町村役場や保健所、現在かかっている医療機関などに、聞いてみるのが良いと思います。

・乳幼児医療費助成制度

・ひとり親家庭医療費助成制度

・障害者医療費助成制度

・小中学生医療費助成制度

なお地方公共団体が実施する公費負担医療制度は、地方公共団体によって制度の名称に少しだけ違いがあり、また実施していない地方公共団体もあるので、例えば

「制度の名称 住所地の市区町村の名称」

というキーワードで検索しても、出てこない場合があります


2. 自己負担の支払いが減免や猶予される「一部負担金減免制度」

自己負担の割合が下がるもうひとつの例としては、災害や失業などにより、自己負担を支払うのが困難になった時に、その支払いが減免されたり、猶予されたりする、「一部負担金減免制度」があります。

それぞれの公的医療保険によって、または市区町村によって、減免や猶予を受けられる要件に違いがあります。

例えば国民健康保険の場合には、世帯主が次のような要件に該当すると、減免や猶予を受けられる場合が多いようです。

・ 震災、風水害、火災、その他これらに類する災害により、死亡または障害者となった、あるいは資産に重大な損害を受けた時

・干ばつ、冷害、凍霜害などによる農作物の不作、不漁その他これらに類する理由により、収入が著しく減少した時

・事業または業務の休廃止、失業などにより、収入が著しく減少した時

免除を受けられる場合には、自己負担は「0割」まで下がる

一部負担金減免制度には

「免除」
「減額」
「猶予」

の3種類があり、いずれを受けられるかは、収入や資産などを元に判断されるようです。

「免除」を受けられる場合

3か月程度の期間に渡って、自己負担を支払う必要がなくなります。

「減額」を受けられる場合

同様の期間について、自己負担の一部を支払う必要がなくなります。

自己負担が減額される割合は、例えば国民健康保険であれば、市区町村によって違いがありますが、5割程度としている場合が多いようです。

また3か月程度の期間が経過しても、収入などが改善されていない場合には、更に3か月程度の免除や減額を認める市区町村もあるようです。

「猶予」を受けられる場合

一定期間(例えば6か月程度)に渡って、自己負担の支払いを猶予されますが、後日にその全額を支払う必要があります。

自己負担の支払いが困難になった時に備え、制度の概要を覚えておく


減免や猶予を受けるには、次のような機関に対して、医療機関にかかる前に申請を行います。

健康保険

協会けんぽは「全国健康保険協会」、組合健保は「健康保険組合」

国民健康保険

住所地の市区町村役場にある国民健康保険の担当窓口

後期高齢者医療制度

住所地の市区町村役場にある後期高齢者医療の担当窓口

このように一部負担金減免制度も、公費負担医療制度と同じように、手続きをしなければ利用できません

また制度が存在しても、誰かがその存在を積極的に教えてくれるわけではありませんので、自己負担の支払いが困難になった時に備えて、制度の概要だけでも覚えておきたいところです。(執筆者:木村 公司)

《木村 公司》
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執筆者:社会保険労務士 木村 公司 木村 公司

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。 【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種 寄稿者にメッセージを送る

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