日本における同性カップル(パートナー)の相続対策 4つの方法と問題点»マネーの達人

日本における同性カップル(パートナー)の相続対策 4つの方法と問題点

2015年にアメリカの最高裁において、「同性結婚は合憲である」という判決が下りました。

これを契機にいっきにアメリカ全土で同性結婚ができるようになりました。

日本の「同性結婚」についての考え



結論から言えば、日本においての同性結婚は認められていません

そもそも日本国憲法に、「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し…」という条文があり、この「両性」が「男性と女性を指していると解釈されているからです

憲法の解釈については、
両性とは「男性と女性」を指すのではなく、「それぞれ独立した個々の性のこと」を指していると解釈されるから、男性同士または女性同士の婚姻も認められる
というような考え方も確かにあります。

徐々に認める動きはあるが…


渋谷区や世田谷区などで「パートナーシップ宣誓書」受付が開始されるようになったりなど、徐々にではありますが「同性カップルを夫婦として認めよう」という動きになってきていることも事実です。

しかし、実際の生活の場においては、ご本人たちはさまざまな悩みや心配をお持ちです。
住居をどうするか?
生活費は?
片方が病気になった時に適切な手続きができるか?
数え上げればきりがないですが、今回は「相続」についてお話しします。


同性パートナーの相続について

将来、パートナーのうちのお一人が病気などで亡くなった場合です。

いまの日本の法制度の下では、亡くなった方の財産をもう一方が受け取る事はできません。

財産が多いとか少ないとかは関係なく、例えAさんの財産が100万円くらいであったとしてもBさんには1円のお金も財産も相続されません。
「配偶者ではない」からです。
ですので、事前にある程度の対策が必要です。そのいくつかをご紹介します。

1. 養子縁組をする


年上のAさんを親、年下のBさんを子とする養子縁組(普通養子縁組)をします。これによりBさんは、実子と全く同じ扱いの相続権を有することになります

いくつかの条件をクリアする必要はありますが、Bさんは実の両親との親子関係を継続したままAさんの子供になることもできるのです。

市町村役場に書類を提出して、大体2~3か月くらいで認められます。

養子縁組は双方の合意があればいつでも解消することができます。もっともポピュラーな方法のうちの一つです。

2. 遺言書を書いておく




AさんとBさんのあいだに婚姻関係がない場合、Aさんの財産はAさんの血族(実の両親、兄弟姉妹など)に相続されます。Bさんには「1円も相続されない」のです。

それを避けるためにAさんが元気なうちに遺言書を書いて、Bさんにも財産が相続されるようにしておきます。

問題点

・ 遺言書の書き方

・ Aさんの血族の権利を侵害できない

・ 必ずしも遺言書どおりに相続されるとは限らない

など、乗り越えなくてはならない「壁」もいくつかあります。

3. 生命保険に加入する


生命保険の死亡保険金受取人をBさんにする方法です。かつては保険金受取人は、「配偶者か、極めて近い親族」にしか認められていませんでした。

昨今においては、この条件を緩めている保険会社もいくつか出てきました。

問題点

・ 病院側が死亡証明書をBさんに渡してくれるか

・ 希望する保険金額が受け取れる生命保険に加入できるか

・ Aさんは生命保険に加入できるか(一般的に、健康でないと生命保険に加入できない)

いくつかのハードルがありますが選択肢の一つとして考える価値はあるでしょう。

4. 別に「養子」をとる


(1) の養子とは異なります。AさんとBさんは現在の関係を維持したままで、全く別の子供を養子として迎える方法です。

Aさんの財産を直接Bさんに相続することはできませんが、養子に相続することで間接的にBさんの生活を支えることができます


問題点



・ 家庭裁判所が審判を行う、養育に関して最低6か月の試験期間がある

・ 養父母が結婚している(AさんとBさんが夫婦である)こと

今の日本においては実務上かなり難しいかもしれません。

Aさんが財産の一部を生前にBさんに渡す方法


住宅ローンなどの一部をBさんがAさんに「貸し付け」したとする「金銭消費貸借契約書」を組んで、ローン返済終了とともに住宅の一部または全部をBさんに名義変更する、という方法です。

住宅でなく現金を渡す(返済する)ことも可能ですが「贈与」との絡みもあるので慎重に対処する必要があります


パートナーの存在を家族に伝える重要性

いくつか述べたすべての場合について言えるのは
「Aさんの親族、つまりAさんの実の両親や兄弟姉妹などに最大限配慮した」
対策でなければ実現性が乏しい、ということです。

逆の立場で考えれば容易に想像ができますが、Aさんが亡くなった後にいきなり「Bさん」という人が現れると、「財産を横取りされる!」という気持ちになるのはある意味当然かもしれません。

事前にパートナーである「Bさん」の存在を家族に話しておくのが一番です。



それが難しければ遺言書に「付言事項」をつける


・ Bさんとのこれまでの関係やいきさつ

・ Aさん自身の「思い」

などを書き加える周りを気遣う気持ちが必要だと言えるでしょう。(執筆者:長谷川 泰且)

この記事を書いた人

長谷川 泰且 長谷川 泰且»筆者の記事一覧 http://kurashinodesign.jp/

くらしのデザイン研究所 代表
国内系証券会社、外資系保険会社で26年間の営業経験を持つ。首都圏を中心に(日本橋、池袋、青山、吉祥寺、八王子)個人と法人合わせて2000件を超えるクライアントを担当する。証券や保険商品の営業だけでなく資金調達や不動産流動化、事業承継など様々な業務を経験するなかで、リタイア後に待ち受ける「年金対策」及び「相続対策」が今後最も取り組むべき課題であると確信し、この2分野に特化したコンサルティング事務所を開業する。
<保有資格>:
CFP、シニアライフコンサルタント、一種証券外務員

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