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サンダルよりもメリットが大きい草履
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夏は、水あそびと泥あそびの季節です。小さな子どもがいる家庭では、水あそびをさせていたつもりが、いつの間にか靴も服も泥だらけになってしまっているのではないでしょうか。
靴の生地の折り目に入り込んだ砂粒は洗いにくく、なかなか乾きません。子どもの靴は「洗って乾かすと、すぐに汚す」の繰り返しで、夏休み中は洗濯にかかる水道代も急増します。
洗濯が簡単なサンダル
洗濯の苦労を回避するためか、最近はスリッパに形が似ているサンダルを履いている子どもを多くみかけます。合成樹脂で作られているため、泥だらけになっても水で洗い流すだけで、簡単に洗うことができるのです。
しかし、サンダルはつま先でサンダルを押し出しながら歩くようになるため、かかとを引きずりながら歩く癖がついてしまうことがあります。
「草履」は足の指に力が入る
そこでおすすめする履物が「草履」です。草履は、鼻緒を足の指ではさんで履きます。そのため、歩くときに足の指で鼻緒をつかみながら歩くようになるのです。
「足の指に力を入れる」ことは、土踏まずを作るためにとても大切なことになります。最近は、土踏まずができていない子どもも増えているのです。
普段の生活に草履を取り入れることで、意識せずに足の指先を使い、土踏まずを作ることができます。
最近の注目は「洗える草履」
草履といえば、わらで編んだ「わらじ」をイメージする人もいるかもしれません。わらで編んだわらじは、通気性がいいため暑い夏でも快適に履くことができました。
また、昔の人は日常的に草履を履くことで、土踏まずをしっかりとつくることができ、長時間歩いていても地面からの衝撃をやわらげることができていたのです。
土踏まずは、地面からの衝撃を吸収するため、腰への負担も抑えることができます。
しかし、わらは天然素材のため水でジャブジャブと洗うことはできません。また、最近はコンクリートの床がほとんどになっているため、わらや化学繊維で織られた底面では滑ってしまう可能性もあるのです。
そこで最近は、わらと似た肌触りでありながらも、水で洗える化学繊維で作られた草履が登場しています。
奈良県のぞうり工房「福路屋」
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昔ながらの草履を現代の生活スタイルでも草履を取り入れやすいように改良した「やまとっ子草履」を販売しています。
やまとっ子草履は、底面がゴム張りで滑りにくい工夫がされています。プールサイドなど多少濡れている程度ならば問題なく履くことができ、ビーチサンダル代わりに使うこともできるのです。
合成樹脂のサンダルは、デザイン性が高いこともあり1足3,000円程度で販売されています。やまとっ子草履は約2,500円です。
靴に比べると、サイズによる買い替えも少なめです
子どもの足は、成長が早いため靴のサイズは3か月から半年ごとに見直す必要があると言われています。運動靴を3か月ごとに買い替えていると、年間相当の出費になります。
草履ならば、多少サイズが小さくなったとしても足を圧迫する心配はありません。むしろ草履はかかとが1㎝程度飛び出した状態で履くことが「粋」と言われています。
自由研究にも使える草履
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草履は、履くだけでなく「作る」こともできます。
小学校では、生活科の授業で「昔の人の生活体験」を取り入れていることもあり、手作りの草履は夏休みの宿題にも適しているのです。
草履を作る材料は、わらではなく布が便利です。着古したTシャツを幅3cm程度のひも状に裂いて代用します。
編み方は、インターネットの無料動画サイトでもたくさん紹介されているため、参考にするといいでしょう。
鼻緒をつける工程は多少難しいですが、大人に手伝ってもらいながら行えば、小学生でも簡単にできるでしょう。
Tシャツのほかにも、サイズが合わなくなった浴衣や日本手ぬぐいでも代用できます。化学繊維よりも綿素材のほうが肌触りよく、吸汗性に優れています。
ひも作りは大変なので…
いずれにしても布地を裂いてひも状にするときには、かなり長くなるまで縫い合わせる必要があり、草履を編むよりもひもを作るほうが手間と時間がかかります。
節約の観点からいえば、ひもも手作りにしたほうがよいのですが、子どもがチャレンジするときにはズパゲッティを購入してもいいかもしれません。
ズパゲッティとは
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最近はやっている編み物に使う毛糸です。毛糸とはいっても、Tシャツのようなやわらかな布でできていて、太いひも状になっています。
ズパゲッティは、オランダの女性が衣料品の生産過程で大量の生地が破棄されることを知り、再利用目的として考え出した商品です。
破棄されるはずだったものに最小限の手を加えることで、新たな商品として生まれ変わらせた「節約」、「エコ」の考えから生まれた毛糸なのです。
手作りの草履をスリッパ代わりにしている人も多いようです。
フローリングの床の上をスリッパで歩くと、パーンパーンと足音が出てしまいますが、手作りの布草履ならばフローリングの床でも足音の心配はいりません。(執筆者:式部 順子)