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喫煙者天国の日本は「前世紀並み」に時代遅れ お勧めしたい老後準備のための「禁煙」

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喫煙者天国の日本は「前世紀並み」に時代遅れ お勧めしたい老後準備のための「禁煙」

受動喫煙対策が遅れている日本

筆者は非喫煙者である。

学生時代の一時期にタバコを吸っていたことはあるが、今ではすっかり「嫌煙家」になっていて街中でタバコの煙や臭いを感じると非常に不快になってしまう。

喫煙者を悪者扱いして完全否定をするつもりはないが、喫煙マナーの不徹底や受動喫煙問題への意識の高まりを鑑みれば、公共の場での全面禁煙義務化を心から望みたい

折しも、政府は健康増進法改正法案の国会提出を目指していたが、規制への慎重姿勢を崩さない自民党側と意見集約ができなかった。


課題は飲食店での喫煙

焦点となったのは飲食店での喫煙である。

厚労省は「屋内禁煙を原則」とし喫煙専用室を設置する案を示したが、自民党は一定の面積以下であれば飲食店は「喫煙・分煙の表示などを条件に喫煙を認める」という案を出したため、意見対立の溝は埋まらなかった。

塩崎厚生労働大臣(2017年8月3日の内閣改造で退任)は次期国会に改正案提出を目指したいとしていたが、支持率が低迷している安倍政権は憲法改正にかかる自民党案提出にご執心なので、健康増進法改正への動きが弱まっていくのではないかと懸念してしまう。

とりあえずは、加藤新厚生労働大臣のお手並み拝見といきたいところだが、国に先んじて受動喫煙対策を進めている東京都の政策にも期待したい

依然日本は「喫煙者の天国」

今の日本は、小規模な飲食店はもちろんのこと屋内でも喫煙可の場所はいまだに多いことから、たばこの吸える場所の多さでいえば、まさに「喫煙者の天国」といえる環境と言えるだろう。

WHO(世界保健機関)の調査によれば、公衆の集まる場所で屋内全面禁煙を義務付ける法律がある国は49か国あるとのこと。

驚くべきことに日本にはそういった法律はなく、ただ「屋内全面禁煙に努力します!」と言っているだけなのが現状である。

WHO幹部からは、日本の受動喫煙対策は先進国の中でも「前世紀並みに時代遅れだ」と酷評されている

屋内全面禁煙の機運が高まらない背景に、日本ではどこでも手軽にたばこを買える環境があると筆者は考えている。

taspoカードの効果も限定的


≪画像元:taspo≫

かつては、街中のいたる所にタバコの自動販売機があったが、近年は自販機の数は年々減少している。

この理由に、未成年者による自販機でのタバコ購入と喫煙の防止を強化する目的で2008年に導入されたtaspo(タスポ・成人識別ICカード)の効果があったと思われるが、たとえ成人であってもtaspoの申込手続きが煩雑で面倒であることから、taspo対応自販機でタバコを購入しづらくなったことが自販機の減少に繋がった可能性もあろう。

ただし、taspoカードの貸し借りの問題が存在する以上、未成年者の喫煙防止の効果は限定的と言わざるをえない

日本全体ではタバコの販売量は減少していない

たとえ自販機でのタバコ購入が減ってきていても、残念ながら日本全体ではタバコの販売量は減少していない

なぜなら、スーパーやコンビニのレジ横で手軽にタバコを購入できるからだ。

スーパーやコンビニでタバコが簡単に購入できてしまう環境こそが、公共スペースでの喫煙防止や受動喫煙問題対策が遅々と進まない最大の理由なのかもしれない。このことに政府や政治家は気づいて欲しいものだ。

余談だが、大手コンビニ各社は店舗売上全体に占めるタバコ販売の比率は相当に高く、20~30%位と言われている。

しかも、多くのコンビニでは店舗の前面などに灰皿が用意されており、さながら「簡易喫煙所」の様相を呈している。

悲しいかな、日本全国にあるコンビニが喫煙者の「受け皿」となっているのだ

お勧めしたい老後準備のための「禁煙」

冒頭より、喫煙者の読者には耳の痛いことばかり話してきたが、筆者は喫煙者の皆さんに「老後準備のための禁煙」を是非勧めたい!

あらためて言うまでもないことだが、タバコには4,000種類以上の化学物質が含まれていて、そのうちの60種類に発がん物質が含まれていることが明らかになっている

また、喫煙が関係していると確認されている病気は実に多く、がん以外にも、ぜん息や慢性閉塞性肺疾患、肺炎といった呼吸器に関わる病気さらには、

・ うつ病
・ 動脈硬化
・ 高血圧
・ 糖尿病
・ 胃潰瘍
・ 骨粗しょう症
・ 脳卒中
・ 心筋梗塞

などなど具体的な病名を挙げればきりがない。


さらに、喫煙していると寿命が約10年短くなるというデータもあるようだ。

喫煙によってシワや白髪、脱毛といった老化現象を早め、歯の着色や口臭などの症状も引き起こしてしまう。

「喫煙は百害あって一利なし!」である

老化していくのにともない病気のリスクが高まる中、喫煙によりそのリスクを加速させてしまうことをしっかりと認識しよう

喫煙で自分の健康を害するだけなら「自己責任だけで済む」という意見もあろうが、家族の健康にも受動喫煙という悪影響がある。

シニア層の喫煙者であれば、お孫さんがいる方もおられることだろう。同居している乳幼児へのタバコの悪影響(乳幼児突然死症候群など)は深刻だ。

喫煙にはお金もかかっている

また、喫煙にはお金がかかる。

代表的なタバコ銘柄の「メビウス」は1箱440円する。

旧銘柄の「マイルドセブン」が、かつて1箱220円だったことを考えると、約20年で価格が実に2倍になったことになる。

メビウスを1日1箱ペースで吸うと仮定すると、価格440円がこれからも変わらなかったとして1年間で約16万円をタバコ代として支出する計算になる

もちろん、タバコ価格は政策的判断で今後も上昇していく可能性が高く、実際の年間支出額はもっと多いと予想されるが。

喫煙者の読者が今50歳代で、老後生活に入るまでの10年間禁煙を続けるとすると、単純計算で約160万円の節約効果が見込める

10年間のタバコ代は決してバカにならず、老後資金準備の一助になるのだ。

また、禁煙が成功して先にあげた疾病にかかるリスクが下がれば、医療費支出が減る可能性もあるのでさらなる節約効果が期待できよう。

最後に

「喫煙者の天国」と揶揄される日本だが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催で「たばこのないオリンピック」を謳うIOCの働きかけを追い風にして、日本における喫煙率のさらなる低下、そして屋内外問わず公共スペースでの全面禁煙が法制化されることを期待したい。

また、筆者は、東京オリンピック開催を契機として、老後のために禁煙を決意される人が増えていくことも願っている。(執筆者:完山 芳男)

《完山 芳男》
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完山 芳男

完山 芳男

独立系FP事務所 FPオフィスK 代表 米国公認会計士(ハワイ州)、日本FP協認定CFP(国際上級資格)、1級ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格) 慶応義塾大学商学部卒業。大手自動車メーカーや外資系企業等の経理財務部勤務を経て、カリフォルニア大学バークレーへ1年間留学し、ファイナンスを履修。帰国後、米系・欧州系企業において経理責任者を務める。2004年愛知県名古屋市にて、独立系FPとして事務所を開所し現在に至る。 寄稿者にメッセージを送る

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