「現金の落とし物」がバブル末期を上回る36億円に。「タンス預金」増加と「振り込め詐欺」急増の密接な関係。»マネーの達人

「現金の落とし物」がバブル末期を上回る36億円に。「タンス預金」増加と「振り込め詐欺」急増の密接な関係。

なぜ、ゴミの中から次々と大金が発見されるのか



8月14日、石川県加賀市のゴミ集積場で、重箱に入った現金2,000万円が発見されて大騒ぎになりました。

実は、このところ立て続けにゴミの中から現金が見つかっていて、4月には群馬県沼田市で収集された廃棄物の中から4,251万円、5月には奈良県でゴミの中から1,000万円が発見されています。

また、6月には、福島県田村市で回収されたごみと一緒に捨てられていた現金の中から1,000万円を清掃員が自宅に持ち帰っていたことが発覚して大騒ぎになりました。

実は、昨年4月も、京都市の収集ゴミの中から現金2,300万円が見つかっていて、それほどの額でないなら、東京都江東区で家庭ゴミの中から現金120万円、諫早市で鉄くずの中から現金300万円と、かなり頻繁に現金が見つかっています。

それもそのはずで、警視庁によれば、昨年の現金の落とし物は36億円

バブル末期でも35億円だったそうなので、それを上回っているということです。

マイナス金利で「タンス預金」が急増


バブルの時のような景気の良さはないのに、なぜ、こんなにゴロゴロ現金が落ちているのかといえば、日銀のマイナス金利の影響が大きく、どうせ銀行に預けても利息がつかないのだからという人が増えたからではないでしょうか

中には、マイナス金利と聞いて、自分の預金が目減りするのではないかと思った方もいたようです。

結果、「タンス預金」が急増しています。

日銀によると(資金循環統計・2016年9月速報値)、個人のお金は1,752兆円あり、そのうち78兆円が1万円札として市中に出回っています。

ただ、このお金の中にはみなさんが買い物をするためにお財布に入れているお金も含まれているので、こうしたお金を差し引くと、第一生命経済研究所によれば今年2月末で43兆円が「タンス預金」になっているようです。

しかも、「タンス預金」は、ここ3年で約3割も増加しているのだそうです。




「タンス預金」急増で、減らない振り込め詐欺

「タンス預金」が増えているいっぽうで、振り込め詐欺やオレオレ詐欺などの特殊詐欺も増えています。

検察庁によると、今年上半期の特殊詐欺による被害は、6月までで8,863件。

昨年の同じ時期と比べると、約37%も増えているとのことで、被害額も約187億円とかなりなものになっています

特殊詐欺は、14年をピークに減少傾向ではあったのですが、ここにきてまた急に増えています。

被害者は高齢者に集中していて、約72%が65歳以上

中でも発生数の最も多い「オレオレ詐欺」は、被害者の96%が高齢者とのことです。

あんなに、あっちでもこっちでも「オレオレ詐欺に気をつけろ!」といっているにも関わらず高齢者だとコロコロ騙されているというのは、私は、「タンス預金」と振込詐欺が増えていることと関係があるのではないかと思います。

なぜなら、「タンス預金」だと手元にお金があるので、ついつい口車に乗せられ、右から左にお金を出してしまうケースが増えるからです。

「タンス預金」にせず、貸金庫だと思ってしっかり預入


お金を銀行に預けていると、わざわざ銀行まで行っておろさなくてはいけない。

老人が銀行で大金をおろそうとすると、今は必ずと言っていいほど「何にお使いになるのですか?」と窓口の係員に聞かれます。

また、高齢者のATMでの現金の引き出しについては、制限をかける銀行も増えています。

昨年7月に、いち早く70歳以上の利用者に振り込み制限を導入したのが愛媛銀行。

以来、現在、約4割の銀行が高齢者に対しての引き出し制限を始め、振込額の制限をするところも出てきています

結果、今年上半期だけでも約9,000件の詐欺が、銀行の窓口で未然に阻止されています

ですから、確かに銀行にお金を預けてもほとんど利息はつきませんが、「タンス預金」にせず、ただの貸金庫だと思ってしっかり預入しておきましょう。


銀行は、タダで預けられる金庫です。



年配の方の中には、2000年前後に多くの金融機関が破綻した記憶があって、銀行不信に陥っている方も多いかもしれません。

けれど、今はそんなに簡単に銀行を倒産させない仕組みになっているし、もし倒産したとしても、預金保険機構で銀行(信用金庫等も含む)一行あたり、預金1,000万円プラス利息までは、確実に守られることになっています。

ですから3,000万円あってどうしても破綻が心配というなら、1,000万円ずつ3つの銀行に分けて預けておけばいいでしょう。

「もし詐欺にあったらどうしよう」と考える事


今年3月発表の内閣府の調査では、「自分は詐欺被害にあわない」と回答した方が39.6%。

「どちらかといえば、被害にあわない」を含めると80.7%と、約8割が、自分が騙されるということは想定していないようです。

年代別に見ると、30代以上では高齢になるほど騙されない自信のある方が増えていて、70代では50.7%の人が「自分は被害にあわない」と思っているようです。

けれど、現実問題としては、「オレオレ詐欺」の被害者の96%が高齢者。

「詐欺に合わない」と自信を持つよりも、「もし詐欺にあったらどうしよう」ということを考えたほうか良さそうです

詐欺を防ぐ手段としては、まず、大金は「タンス預金」ではなく銀行にしっかり預ける

そして、大金が必要になるような誘いが来たら、念のために身内や、身内がいなければ最寄りの消費者センターに連絡し、詐欺でないことを確認しましょう。(執筆者:荻原 博子)

この記事を書いた人

荻原 博子 荻原 博子»筆者の記事一覧 http://www.ogiwarahiroko.com/

経済ジャーナリスト
1954年生まれ。経済事務所勤務後、1982年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。女性では珍しく骨太な記事を書くことで話題となり、1988年、女性誌hanako(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌で女性向けの経済・マネー記事を連載。難しい経済やお金の仕組みを、生活に根ざしてわかりやすく解説し、以降、経済だけでなくマネー分野の記事も数多く手がけ、ビジネスマンから主婦に至るまで幅広い層に支持されている。バブル崩壊直後からデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛、家計運営を提唱し続けている。新聞、雑誌等の連載やテレビのコメンテーターとしても活躍中。「どんとこい、老後」(毎日新聞社)、「お金は死ぬまえに使え」(マガジンハウス)、「ちょい投資」(中央公論新社)など著書多数。

【寄稿者にメッセージを送る】

荻原 博子の著書

本サイトの更新情報をfacebook・Twitter・RSSでチェックしましょう

この記事が気に入ったら、いいね!しよう

このページの先頭へ