
現状、日本に住み日本の証券会社に口座を開設して取引をしている場合、海外に移住される際には、当該口座の閉鎖(保有証券の売却)、または常任代理人の設置を求められます。また、通知をせずに出国し非居住者になったことが判明しますと、当該証券会社は口座を凍結しています。(前回記事)
ところで、日本で複数の証券会社と取引している場合、依頼すれば証券会社間で株式の移管ができます。
では、海外に移住し、その地で証券口座を開設した場合、日本の口座にある、有価証券の移転は可能なのかを、前回紹介した筆者が取引する証券会社に質問いたしました。また、筆者は米国株式も取引していますので、米国で米国の証券口座を取得した場合には、米国の証券会社への移管はできるのかも質問しました。
筆者が取引しているM証券会社からの回答は
という、つれないものでした。
しかしながら、当該証券会社は、常任代理人業務を行っていないのですから、当然の回答とは思いますが、不便です。
この結果から分かることは、日本のネット証券で取引していた場合には、海外に移住する際、保有証券を売却して現金で持ち出すことを検討することになります。
海外に移住する時期によっては、売却で損益が確定いたします。利益が出ている場合はまだしも、含み損の状態の場合には、強制的に損切りさせられるので痛みを感じると思います。ただ、売るタイミングを外された場合の強制損切りは更なる損失を被ることがなくなり、良い機会になるかもしれません。
ところで、当該証券会社は、米国の取引は提携している米国の証券会社のシステムを使用しています。もしかしたら、米国へのロングステイ・移住の場合に、提携先のシステムを継続して使用できないかと考え質問いたしました。
回答は、
また、お客様のおっしゃる通り、当社では米国株取引画面を共同開発しておりますが、海外居住となった場合には、上記理由により米国株の取引もできませんので、何卒ご了承いただきますようお願いいたします。
とのことで、この証券会社のシステムの継続使用もできないことが判明いたしました。
全ての証券会社を調べたのでは、断言できないのですが、非居住者になった場合には、日本の証券会社口座で海外から取引を行うことは、不可能に近いと判断しております。
従い、別途の方法を検討せざるを得ません。次回は、次善の策を紹介いたします。