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お勧めマネー書籍 「パーソナルファイナンス」の教科書

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お勧めマネー書籍 「パーソナルファイナンス」の教科書

 私がこれまでの話でお伝えしたかったことは『割引現在価値』を理解してもらうことでした。この考え方が分かれば、数式が入って難しいというイメージで敬遠されがちであった『ファイナンス』が普通に親しみやすく魅力的なものであり、私達の現実の問題を解く手がかりになる有効な方法だと気づいてもらうことでした。

 この私の小さな試みの強力な支援としての書籍が今月初旬に発刊されました。その題名は「パーソナルファイナンス」上下巻の教科書です。今回の寄稿文ではこのことをお話しさせていただきます。

 この本は私が知る限りにおいては国内初のものです。といいますのも、一度手に取ってみていただければわかりますがあらゆる箇所に『割引現在価値』の具体的な計算例が織り込まれています。私はそれをみただけで初めて出逢った恋人に思えました。これが私が待ち望んでいた本だと直感しました。国内初とはこういう意味で使いました。

 今までの教科書、日本FP協会のFPテキスト1「パーソナルファイナンス」では『割引現在価値』の具体的設例として人的資産評価の考え方が半ページ程の小さなスペースで語られているだけで残念でなりません。ここが一番大事なところなのですから十分に理解してもらうためにもできるだけ多くの設例を多用して考え方の魂を入れる必要があると思います。

 この思いが読者に伝わればもっと魅力が増すはずです。通り一遍の金融知識を羅列したところで本当に伝えたいことは理解されません。『割引現在価値』のより詳しい考え方はFPテキスト2「金融資産運用設計」を参照のことと引用はあるのですが・・・。

 今回の新しい教科書は米国のCFPボートの試験のための改訂新版テキスト(2006年11月実施試験用)と紹介されています。こちらのほうがすごくわかりやすくて、実践的に通用するものになっていると私は思います。

 第1の特徴は金融電卓を使って初心者にもわかるように具体的な計算例が用意されていることです。難解な数式を飛び越えた『割引現在価値』の考え方が理解できるようになります。

 日本でもこの試みは「ときめきひらめき金融数学」の著者木村弘之亮先生がHP12Cを用いてやられているのですが、本気で金融リテラシー普及を考えるのでしたら金融電卓は必須ではないでしょうか。

 期しくも今回の出版で実証された通り、教科書に金融電卓は欠かせないということだと思います。この点は森平爽一郎先生の「物語で読み解くファイナンス」という本で指摘されています。

 第2の特徴は独善的な内容になっていないということです。『家計』をファイナンスの考えた方で捉えた場合、どのようにプランニングできるのかを解かりやすく説いていてより実践的です。しかし、実務における修正点も検討されていることでより納得性が高められます。

 「パーソナルファイナンス」が1970年代初頭に米国で誕生したとしたら私たちはそれから約半世紀の期間を過ごしています。この出版が一つのキッカケとなって本当に何が大事なものなのかを改めて考えてみようではありませんか?この学問を実用に供するためには「金融リテラシー」とは何なのかをしっかり問う必要があると思うのです。

 今回の書物出版が良い意味で日本のFPがプロになる足掛かりになることを期待しますし、逆に悪い意味で考えると、金融知識優先の今までのやり方が将来も大勢でしたら米国との発展度合が益々拡大するのではと危惧するのは私一人でしょうか?

 さあ、プロとしてのものではない今回の「パーソナルファイナンス」を初心者であろうともお読みになってください!その際は忘れないでいただきたいのですが、手元に金融電卓を!

《岩永 充》
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岩永 充

岩永 充

岩永FP事務所 代表 学習院大学経済学部経済学科昭和54年卒。金融畑を歩んできた経験を活かし、「金融リテラシー」の普及活動を実践中。 <保有資格>:CFP認定者、宅地建物取引士、統計士 寄稿者にメッセージを送る

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