皆さん、こんにちは。今日は「相続財産の評価」というテーマで述べたいと思います。相続税を計算する時の基礎となるのが、相続財産をどう評価するか? という事です。つまり前回述べた相続対策の一つである相続税対策(節税対策)を考える場合、相続財産がどれぐらいあるか? 又相続税はどれぐらい課税されそうか? が出発点になるからです。
前置きはこれぐらいにして、税法の「財産評価基本通達」では、’財産の評価は時価によるもの’と定められており、資産の種類毎に評価ルールが決められています。つまりこの基準に沿って評価しなければ、税務署に認められないという事です。
それでは順に述べていきますね。
目次
1.預貯金
=預入れ残高+既経過利子の額(但し源泉所得税相当額を除く)つまり、相続発生時に解約した時の金額で評価されます。
2.土地
土地は、「路線価方式」、又は「倍率方式」等により評価されます。
(1)路線価方式とは、宅地の面する路線毎に定められた路線価を基礎として、その宅地の形状や道路との位置関係に応じて、「奥行価格補正率」や「側方路線影響加算率」等の調整率を使って、評価額を求める方式です。
こうして求められた価格を「自用地評価額」といい、借地や貸家の敷地等についてはこの自用地評価額をベースに、一定割合が減額されます。
(2)倍率方式とは、宅地の固定資産税評価額に国税庁が定めた一定の倍率を掛けて算出する方法で、路線価が設定されていない土地の評価に使用されます。
又土地には、「小規模宅地等の減額特例」という特例があり、一定の条件を満たすと宅地の評価額(自用地評価額)が、50%~80%減額されます。
3.家屋
建物は、土地と異なり、固定資産税評価額にもとづいて評価されます。
(2)貸家の評価額=固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
皆さん、毎年春頃(4~5月頃)に市役所等から送付されてくる固定資産税の納税通知書は、過去数年間ぐらいは保存しておいた方がいいですよ! だって、いざ相続が発生すると、家屋は納税通知書に書かれた固定資産税評価額で評価されますからね。
4.上場株式・J-REIT・ETF
次の4つの価格の最も低い価格で評価されます。
・課税時期の属する月の毎日の最終価格の平均額
・課税時期の属する月の前月の毎日の最終価格の平均額
・課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の平均額
注)「課税時期」とは相続が発生した日の事です。
5.投資信託
=課税時期の1口当りの基準価格×口数-解約等した時に徴収される源泉徴収税相当額-信託財産留保額 つまり、相続発生時に解約・売却した時の金額で評価されます。
6.生命保険契約に関する権利
相続発生時にまだ保険事故が発生していない保険契約で、保険料の全部又は一部を被相続人が負担していた保険を「生命保険契約に関する権利」といいます。この場合は、相続発生時に保険契約を解約したと仮定した場合に、支払われる解約返戻金の金額で評価されます。
7.相続発生前3年以内に贈与された財産、又相続時清算課税制度の適用を受けた贈与財産
贈与財産の評価は、相続が発生した日ではなく、贈与された日に取得した価格で評価されます。この他にもまだまだたくさんありますが、肩が凝ってきたので、これぐらいにしておきます(笑)。
かなりおおざっぱに述べましたが、概略ぐらいはイメージできましたでしょうか?
本番では、相続税申告書の作成等詳細は税理士さんに任すにしても、概略ぐらいは理解しておいて下さいね! だってそうしないと、相続対策なんかできませんからね。又、専門家に相談するにしても、ある程度は自分で勉強して理解していないと、相手の言う意味がチンプンカンプンで理解できないという事になりますよ。今日は、ここまでです。(執筆者:大川 正吾)