皆さん、こんにちは。今回は「相続税の申告と納税」というテーマで述べたいと思います。前回は、「相続対策のプロセス」というテーマで述べましたが、その中で「納税資金対策が、特に重要ですよ!」と、強調したつもりですが、皆さん覚えていますでしょうか(笑)?
目次
相続税の申告が必要なケース
ではもう一度、相続税をどのようにして納付するか? というのが納税対策です。
というのも、いくら公平に相続財産を分割したとしても、ある相続人が相続税が支払えないとなると、相続人全員に連帯納付義務がある為、又振り出しに戻って遺産分割のやり直しにつながりやすいからです。
その為、今日は相続税の申告と納税について、もう少し掘り下げて述べたいと思います。まず相続税の申告が必要な場合は、
・ 基礎控除額を超えない場合でも、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」等の規定の適用を受ける場合
とされています。
相続税は納付期限を過ぎると「延滞税」が発生
所得税の納税義務者が死亡した場合には、相続人はその相続の開始があった事を知った日の翌日から、「4ヵ月以内」に被相続人に係る所得税の確定申告を行い、所得税を納付しなければならない、とされています。この申告の事を「準確定申告」といいます。
それはさておき相続税の申告・納税ですが、これは期限内申告書の提出期限、つまりその相続開始があった事を知った日から「10ヵ月以内」に納付しなければならない、とされています。つまり相続税申告書の提出と同時に、相続税の納税も行わなければならないという事です! 相続税を納付期限までに納付しなかった場合は、別途「延滞税」が課税されますので、要注意です。
又、相続税の納税は、「金銭で一括納付する」事が原則です。但し、相続税は一度に多額の納税資金を必要とする為、一定の要件を備えた場合には「年賦延納(年払い)」が認められています。延納の場合、年1回の元金均等払いとなり担保の提供が必要で、延納期間中は利子税(利息)がかかります。
延納と物納の要件
延納の要件は、下記の通りです。
2. 相続税額が10万円を超える事
3. 担保を提供する事
4. 申告期限までに延納申請書に担保関係書類を添付して提出して、所轄税務署長の許可を得る事
さらに、延納でも相続税の納税が困難な場合は、「物納」が認めれています。この場合、物納財産の収納価格は、原則として相続税申告書に記載された財産の価格になります。
物納の要件は下記の通りです。
2. 申告期限までに物納申請書、及び物納手続関係書類を提出し、所轄税務署長の許可を得る事
3. その財産が物納適格財産である事
注意点は、物納できる財産には要件がある事と、物納順位が決められている事です。物納できる順位は下記の通りです。
第2順位:社債、株式、証券投資信託・貸付信託の受益証券、株式の物納劣後財産(未公開株等、市場で売却困難な株式)
第3順位:動産
又物納を行う場合は、国が売却して現金に換える事が前提となりますから、事前に権利関係等を整理しておく事が必要になります! そうしないと、物納不適格財産と見なされ、物納が認められませんからね。
以上、相続税の申告と納税について、ざっと述べましたが、概略ぐらいは把握できましたでしょうか? 相続税対策の一つである納税対策の重要性が理解できましたでしょうか(笑)?
「相続人全員が、相続税を問題なく支払える」これが遺産分割時の大前提ですから、これを忘れて私利私欲に走って相続分割すると、後でえらい目に合いますよ! 今日は、ここまでです。(執筆者:大川 正吾)