せっかく買った家が、競売にかけられてしまった…等という話を聞いた事はないだろうか。住宅ローンの返済が出来ず、気に入ったマイホームを手放さなくてはならないは当然避けたい。これから住宅ローンを組む人にとって、月々の返済額はどの位を目安にすればよいのか。営業マンに進められるままに借りれるだけローンを組み、将来返済が出来なくならないよう、適正な返済額を知っておきたい。
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住宅ローンの借入可能額は?
まずは借入額についてだが、金融機関によるが、住宅ローンの場合には試算金利を4%程度とし、住宅ローンの年間返済額が総収入に対して35%~40以内となる借入年数に対応する金額が借入可能額となる。他に借入がある場合には、その返済額も含む。
年収が500万円で35年払いなら借入可能額は3,200万円~3700万円、年収700万円で4,600万円~5200万円である。(但し、フラット35の場合には実質の金利で試算するため、借入可能額が異なる)
年収700万円の人が4,600万円の住宅ローンを35年払いで組んだ場合、月々の支払いは金利が1%で129,851円/年、金利が2%で152,380円となる。それぞれ収入に占める「返済比率(又は返済負担率)」は22.2%、26.1%となる。
一般的に収入に対する返済比率はどの位なの?
総務省による【平成24年家計調査年報】によれば、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の住宅ローンの返済世帯の平均年収は718万円、住宅ローンの世帯収入に対する返済比率は15.7%(94,295円/月)である。
但し、これは世帯主の平均年齢が46.0歳とこれから住宅ローンを組む世代に比べて年齢層は高めのデータであり、変動金利を選択している層も一定程度いる為、返済比率は少なめである。
では、これから住宅ローンを組む世代はどうか。
住宅金融支援機構の【平成24年度フラット35利用者調査】によると、注文住宅融資利用者(平均年齢40.8歳)の世帯収入に対する返済比率は20.7%、中古戸建融資利用者(平均年齢40.4歳)で18.8%、マンション融資利用者(平均年齢40.6歳)で21.1%である。
全体の割合を見ると、返済比率が15.0~19.9%の割合が全体の22.3%、20~24.9%の割合が26.0%、25.0~29.9%の割合が26.1%であるが、返済比率が30.0%以上の世帯も9.3%存在する。概ね返済比率20.0~29.9%の世帯が全体の半数以上を占める事がわかるが、同データはフラット35利用者である為、民間の金融機関で変動金利を選択した人に比べて金利は1%程度高く、返済比率が高くなっている事に留意すべきである。
又、実際の支払いは、総収入から社会保険料や税金を差引いた可処分所得(手残り収入)から行われる事にも注意が必要である。
年収700万円の会社員の夫、専業主婦の妻、小学生の子一人のモデル世帯では、表面上返済比率が25%ならば月々の支払いは約145,800円であるが、可処分所得は約540万円程度であり、住宅ローンの返済に占める割合は32.4%にのぼる。
住宅ローンの返済は年収の”20~25%程度”に抑えるのが理想
年収や子の数、共働き世帯か否か、子の進学志望等、車の所有の有無等によるが、自宅を購入すれば維持管理費も必要になる為、出来れば年収に対する返済比率は2~2.5%の固定金利で20~25%程度で抑えるのが望ましい。又、住宅ローンに加えて、固定資産税や管理費などを含めて、住居費を30%程度に抑えたい。
とは言え、都心で家を購入するのか、地方で購入するのか、マンションか戸建か、又、これから年収が上がっていくのか、下がっていくのかにより予算は大きく変わってくる。
特に都心部で購入する場合には、多少返済比率高く設定しないと購入出来ないという現実もある。自宅の購入と共に生命保険契約の見直しを行ったり、家計の無駄が無いかを見つめ、無理の無い予算で家を購入する事をお勧めしたい。(執筆者:櫻井 定治)