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老後資金として活用される「リバースモーゲージ」の是非と注意点

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老後資金として活用される「リバースモーゲージ」の是非と注意点

「リバースモーゲージ」とは?

 老後の生活資金が不足した時の資金調達方法の1つとしてリバースモーゲージを利用される方が増えているようです。リバースモーゲージとは、所有している自宅(土地建物)を担保にすることにより、金融機関より毎月一定額の借金をし、生活資金等に充てるというシステムで、簡単に言えば、自宅を担保にした年金のようなイメージです。

 これまでは、老後の生活資金が年金だけでは補えず、生活苦になると、自宅を売却し、その資金を生活費に充てるケースが多くありましたが、リバースモーゲージを利用することにより、愛着のある慣れ親しんだ、住まいを手放さずに生活費を確保することができます。

 苦渋の決断で自宅を売却し、纏まった大金を手にしたとしても、実のところ、高齢者の場合、現役を引退していることから、継続的な収入が難しいことや、ご年齢等も原因となり、新居となる賃貸物件の審査が通り辛い方も多く、不動産賃貸市場の実情としては、お子さんご夫婦と同居するという体裁で賃貸借契約を締結し、実体としては、ご両親だけがお住まいになるというケースが多くみられ、そのような観点からも、1つの選択肢として組み込むことはできると思います。実際に、海外では、ごく一般的に普及しています。

リバースモーゲージ利用の注意点

最大の懸念点は「期間満了時の自宅売却」

 しかしながら、リバースモーゲージも金融商品の1つなので、気を付けるべき点が多々あります。

 そもそもリバースモーゲージは、ご自宅の土地・建物を担保とするため、建物についての評価がされないケースがほとんどです。また、貸し付ける側の金融機関としては、将来的に担保とするご自宅の価値が下落するリスクを考慮する必要があることから、実際の市場価値よりも3~4割程目減りさせた評価が貸付の限度額となります。

 この限度額を契約期間年数で割ることにより、言わば「年金」の額が確定するため、当初、リバースモーゲージという商品の概要を聞いて、バラ色の余生を想定している方がほとんどですが、上記のようなシステムで年金額が確定するため、契約期間も必然と短くなるか、或いは、契約期間を優先し、年金額を減らすか…という苦渋の決断が迫られる、断念される方も多くいます

 また、最大の問題は、リバースモーゲージにおける契約期間の満了を迎えた場合の問題です。平均寿命が延びる昨今において、この問題が最大の懸念材料となります。金融機関は、期間満了とともに、貸付金を回収するため、担保としていたご自宅を売却するため、その後の住まいが失われてしまうという恐れがあります

厳しい利用条件

 さらには、リバースモーゲージを利用する際の条件の厳しさもあります。各金融機関によって多少の違いはありますが、具体的には、上記のような契約期間満了を超えられた場合の住まいの問題もあることから、ご利用できる方の年齢制限があったり、ご自宅に抵当権等の設定がないこと(ローン等の残債がないこと)、推定相続人の承諾を得ていること、賃貸併用住宅のような賃借人が存在しないこと、配偶者が連帯保証人になること等が挙げられます。

相続発生時にリバースモーゲージ利用が発覚…

 相続等のアングルから言えば、ご両親からリバースモーゲージを利用していることを聞かされておらず、同居していたものの、実際に相続が起きた時に、その事実を突きつけられ、お子さん達の生活が一転されるというケースも耳にします。

 ただ、このようなケースについては、そもそものご自宅は、ご両親が築いてきた財産であり、お子さん達は、そのような意味からも、1つの家計として独立すべき等という意見もあり、それは最もだとも思いますが、いざ、親が亡くなり、気持ちが沈んでいるにもかかわらず、そのような事実が突きつけられると、どん底に落とされたような気持になるのではないでしょうか。

 とはいえ、相続対策等でもそうですが、全てにオールマイティな対策は皆無に等しいと思いますが、選択肢を沢山持つに越したことはありません。お子さん達の事まで考えられればベストなのかもしれませんが、このようなご時世、そんな余裕のある方ばかりではありません。自らの財産は、自らが人生をかけて必死の思いで築いてきた代物であり、その活用・選択は、ご自身が、それぞれのメリット・デメリットをきちんと把握したうえで、決めて然りだと思います。(執筆者:佐藤 雄樹)

《佐藤 雄樹》
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佐藤 雄樹

一般社団法人東京都相続相談センター 理事 学習院大学卒業後、財閥系不動産会社にて6年半勤務。企業をはじめ、地主・富裕層へのコンサルティングに従事。平成19年以降、会社更生・民事再生・破産案件に対して法律事務所と一体となり企業再生業務に従事。平成23年に相続コンサルティングに特化した(株)brandsを設立。平成25年には相続の実務家と(一社)東京都相続相談センターを設立。法律・税金・不動産等の各専門分野における垣根を超えた相続コンサルティングは各士業から絶大な支持を得ている。 <保有資格>:NPO法人相続アドバイザー協議会 上級アドバイザー、公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士、不動産証券化協会 認定マスター、AFP、宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、土壌環境リスク管理者、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー、終活カウンセラー 寄稿者にメッセージを送る

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