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はじめての資産運用 東芝不祥事から考える会社の価値とは?

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はじめての資産運用 東芝不祥事から考える会社の価値とは?

2015年4月、東芝の会計不祥事が明るみになりました。この不祥事により、東芝の株価は大きく下落。「東芝」という会社の価値が大きく揺らいでいます。


ところで、「会社の価値」とはどのように計測するのでしょうか。そして今回の不祥事を受けて、東芝の価値は、一体どのくらい低下してしまったのでしょうか。

今回は、株式投資をする際や、経済を読み解く上で欠かすことができない「会社の価値の測り方」を勉強してみましょう。

株価だけでは判断できない会社の価値


新聞の株式欄を見てみると、たくさんの銘柄の株価が掲載されていますね。1株100円のA会社もあれば、1株3,000円のB会社もあります。


株価が低いA会社より株価が高いB会社のほうが「価値がある会社」と考えている人もいるようですが、これは間違い。会社の価値(株主価値)は、株価とその会社が発行している株式数を掛け合わせることで計算します。

例えば、A会社の発行済株式数が1万株、B会社の発行済株式数が100株だとすると、A社の会社の価値は100万円(100円×1万株)、B社の会社の価値は30万円(3,000円×100株)となります。

A会社
株価:100円
発行済株式数:1万株
会社の価値:100万円(100円×1万株)

B会社
株価:3,000円
発行済株式数:100株
会社の価値:30万円(3,000円×100株)

株価だけを比べてみると、A社よりB社の方が高いですが、会社の価値は、B社よりもA社の方が高いと判断することができるのです。
 
ここで計算した会社の価値は、「時価総額」と呼ばれています。よくニュースなので「この会社は時価総額◯◯億円ですが~」などと言っているのを聞いたことがあるのではないでしょうか。これは、株主が持っているその会社の価値を表していたのですね。

会社の価値、つまり時価総額は、「株価×発行株式数」で求めることができることを覚えておきましょう。

時価総額が高い会社とは?


2015年11月20日現在、日本の市場において最も時価総額が高い会社は、トヨタ自動車で約26兆円。トヨタ自動車は13年間連続でトップです。2位は三菱UFJフィナンシャル・グループで約12兆円、3位はNTTドコモで約10兆円。


また、東証1部に上場するためには、会社の時価総額は250億円以上、東証2部は時価総額20億円以上でなければならないと決められています。

さらに世界的に見てみると、時価総額が高い会社は、米国アップルの6,651億ドル(約80兆円)やグーグルの5,203億ドル(約63兆円)など。時価総額を見てみると、世界中の会社の価値を知ることができますね。

東芝の時価総額はどのくらい下がったのか?


それでは、会計不祥事が明るみになった東芝の時価総額は、どのように変化したのか見ていきましょう。東芝の発行株式数は、公表されている数字の概数を使って、42億株で計算します。


まず事件発覚前、2015年3月25日に、東芝の株価は今年の最高値の1 株535円をつけました。この時の時価総額は、2.2兆円(535円×42億株)ですね。

そして、不適切会計が次々に明るみになった後、東芝株は急落。5月11日にはストップ安となり、終値が1 株403.3円となります。時価総額は1.7兆円(403.3円×42億株)。

さらに株価は下がり続け11月13日に今年最安値285円となりました。時価総額は1.2兆円(285円×42億株)。

これをまとめると以下のとおりです。

<東芝時価総額の推移>
3月25日 :2.2兆円(株価最高値)
5月11日 :1.7兆円(株価ストップ安)
11月13日 :1.2兆円(株価最安値)

たった8か月弱で、東芝の時価総額はマイナス1 兆円、会社の価値が約半分になってしまいました

この期間中、中国経済への不信感などで日経平均株価も乱高下はしましたが、3月と11月を比べると、日経平均の水準自体は大きく下がっていません。やはり東芝の1兆円のマイナスは、会計不祥事に因るところが大きいですね。

東芝の不適切会計による税引き前利益の修正額は、計2,248億円と発表されています。この利益修正額に加え、東芝への不信感や、今後東芝が払わなければならない課徴金(推定約70億円超)など全ての要素を含め、8か月前と比べて、市場は東芝をマイナス1兆円の価値の会社と判断しているのです。

今の東芝の株価が本当に適正価格なのか、または市場の過剰反応により、適正価格より下がりすぎているのではないかという議論もされており、東芝株は引き続き注目が高まっています

時価総額は、株式投資をする上で確認すべき基本的なポイントのひとつ。そして今回の東芝のように、会社の価値の変化も客観的に計測することができます。投資や経済を読み解く上で、会社の価値=時価総額という指標をしっかり活用していきましょう。(執筆者:下中 英恵)

《下中 英恵》
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下中 英恵

下中 英恵

東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。富裕層向け資産運用業務に従事した後、現在は米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動中。資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています。 <保有資格>:2級FP技能士、第一種証券外務員、内部管理責任者 寄稿者にメッセージを送る

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