老齢厚生年金を受給している一定の要件を満たした人に、「加給年金」とう上乗せされて支給される年金があります。ひとことで言えば「家族手当」というイメージですが、もらえるには条件があります。
目次
「加給年金」の加算条件
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加給年金は、以下の条件を満たす場合で、原則65歳(65歳前の特別支給の老齢厚生年金が支給される人は、「定額部分」が支給されるとき
)から支給されます。
※1 65歳前の特別支給の老齢厚生年金については、2015年11月18日の記事「65歳前に支給される「特別支給の老齢厚生年金」を受給していますか?」をご参照ください。
(2) 65歳未満の配偶者(大正15年4月1日以前に生まれた配偶者には年齢制限なし)や18歳に達した以後最初の3月末まで(以下「18歳年度末」といいます)の子(障害がある子は20歳未満)がいること
しかし、上記の条件を満たす場合でも以下の場合は支給されません。
(2) 配偶者が障害年金をもらえるようになったとき
(3) 配偶者の前年年収が850万円(前年所得が655.5万円)以上あるとき
「加給年金」の額
「加給年金」の支給額は以下の表の通りとなります。
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「加給年金」には「特別加算」される場合があります
配偶者を対象とする加給年金(「配偶者加給年金」といいます)は、「特別加算」がされる場合があります。
(1) 昭和9年4月2日以後に生まれた人から対象です。
(2) 配偶者が65歳になるまで加算されます。
(3) 配偶者加給年金額は、通常の加給年金と特別加算の合算額となります。
(4) 配偶者の生年月日でなく、「厚生年金をもらっている本人」の生年月日で支給額が変わります。
「特別加算」の支給額は以下の表の通りとなります。
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※平成27年度の金額となります。
配偶者が65歳になると「配偶者加給年金」は「振替加算」になる
加給年金の対象者である配偶者が65歳になると、加給年金はなくなります。しかし、その配偶者の老齢基礎年金に「振替加算」として加算されます。
例)Aさん(Bさんの夫)、Bさん(Aさんの妻)の場合(※Aさんが、Bさんより年齢が上の場合)
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ただし、「振替加算」は、昭和41年4月1日以前に生まれた人(上記の例では、Bさん)に限ります。
昭和61年4月1日に年金大改正が行われ新年金制度(新法といいます)では、すべての国民が国民年金の対象とされました。しかし、国民年金の加入は20歳から60歳までであるため、その当時20歳以上の人は40年間加入することができず、老齢基礎年金の満額を受給することはできません。
そのため、老齢基礎年金が低額になってしまうことが多かったので「振替加算」を昭和41年4月1日以前に生まれた人(昭和61年4月1日当時に20歳以上の人)に限り支給することになりました。
また、注意点として、老齢厚生年金の「加給年金」や老齢基礎年金に加算される「振替加算」は、65歳より支給開始を繰下げしても増額の対象外となります。また、繰下げしている間は支給もされないので注意が必要です。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)