8日、小野薬品工業(4528)がブリストルマイヤーズと共同開発している抗がん剤「オプシーボ」が臨床試験に失敗したという発表をした後、ストップ安となりました。
3500円台だった株価は1日で700円のストップ安になりましたが、期待での買いは改めて恐ろしいなと感じました。
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「期待」から株価が急騰
なぜこの薬が話題になっていたかといいますと、薬価がものすごく高く、さらにこの薬が適用される肺がん患者は日本で約10万人もいるのです。
薬価はおそらく数百万からそれ以上するらしく、少なく見積もっても売上高が1000億円も上乗せされる計算です。
利益への貢献も年間数百億円規模のため、投資系雑誌だけではなくビジネス系の雑誌でも取り上げられて有名でした。
しかし、株価はこの薬が販売されることを前提とした株価になっており、2016年度の1株利益で計算したPERは70倍台と、とんでもない数値になっていました。
(通常、割安株といわれる株でPERは1桁台から15倍程度、日経平均採用銘柄の平均で15倍くらいです。)
日経平均採用銘柄平均を大きく上回っており、かなり割高であったことがわかります。
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そのため、薬の販売が先延ばし、もしくは他社に先行されるリスクが高まり、一気に売られました。
話題の株というのは人気が業績を先回りしているケースが目立ちますが、こういう株は買いたいと思っても、企業価値をしっかり分析してからのほうがいいです。
PERとか利益とか、簡単な内容だけでも十分です。将来のリターンばかり注目して、もしそれが実現しなかったというリスクを過小評価するのは、投資の心理をしらない証拠です。
一方で存在する「過小評価の株」
過大評価と過小評価の株がある場合、私は過小評価の株を買うようにしています。
過小評価の株は、ひとたびプラス材料が出れば、即リターンに直結しますし、出なかったとしても大きく損をすることもありません。すでに割安なので、大幅下落する余地も小さいです。(執筆者:坂本 彰)