お勤めしている会社から、夏のボーナスが支給された方は、何に使おうかと悩んでいるかもしれません。
そういえばこの間、日経電子版を読んでいたら、日本経済新聞社が読者モニターに対して行った、2016年の夏のボーナスの使い道に関する調査の、調査結果が掲載されておりました。
その調査結果の第1位は、44.1%の方が選んだ「貯蓄」で、堅実な方が多いようです。
しかし2016年2月16日に日銀が、マイナス金利政策を導入してから、預貯金や債券などの金利が、以前よりも低下してしまい、どこにお金を預けても増えにくいという状態が、現在も続いております。

目次
マイナス金利時代は手数料と税制にも注目する
私は効率良く貯蓄を行うためには、次の3つの点に関する情報収集と比較が、大切だと考えております。
(1) 金利
情報収集や比較のうえ、もっとも金利の高い金融商品を購入します。
(2) 手数料
情報収集や比較のうえ、購入時、保有中、売却時に発生する手数料が、もっとも低い金融商品を購入します。
(3) 税制
情報収集や比較のうえ、税制上でもっとも優遇のある制度を選択する、つまり金融商品から発生する所得に対して、もっとも課税されない制度で貯蓄をします。
以上のようになりますが、マイナス金利政策により、(1)の低下が続いているため、例えば他よりも金利の高い定期預金はないだろうかと、情報収集や比較を行っていると思います。
しかし(2)や(3)に関しては、十分な情報収集や比較が、行われていないと感じるのです。
意外と大きなハンディキャップになる手数料

例えば先日新聞を読んでいたら、金融庁が保険の窓口販売を行う銀行に対して、為替相場や運用実績で受取額が変わる「外貨建て変額保険」などの、販売手数料の開示を求めたという記事が掲載されておりました。
この背景としては販売手数料が10%程度と、過度に高い商品があり、銀行がその販売手数料の獲得を目的に、不必要な保険を顧客に販売しているのではないかという懸念が、金融庁にあったからです。
もし銀行が顧客に対して、販売手数料が10%の外貨建て変額保険を販売し、その顧客が200万円を支払った場合、銀行は販売手数料として、20万円を得ることができます。
それに対して顧客はスタート時点で、10%のハンディキャップを負うことになり、その外貨建て変額保険から10%以上の収益が発生しないと、このハンディキャップは帳消しになりません。
こういったデメリットがあるにもかかわらず、貯蓄をしたい方に外貨建て変額保険が売れているというのは、金融商品の手数料に関して、十分な情報収集や比較が行われていないからだと思うのです。
目的に合わない制度の選択は休眠状態を生む
預貯金の利子、投資信託の分配金や譲渡益などの、金融商品から発生する所得に対しては現在、20.315%(所得税:15%、住民税:5%、復興特別所得税:0.315%)の、課税が行なわれております。
そのため税制上で優遇のある制度を選択して、金融商品から発生する所得に対して課税されないようにすれば、効率良く貯蓄ができると思うのです。
税制上で優遇のある制度とは例えば、「少額投資非課税制度(以下では「NISA」で記述)」があります。
通常であれば株式や投資信託の分配金や譲渡益に対しては、上記のように20.315%の課税が行われておりますが、NISA口座を活用すれば、1年間の投資額が120万円までなら、5年間に渡り非課税になるのです。
かなりお得な制度だと思うのですが、以前に新聞を読んでいたら、NISA口座の約半数が休眠状態、つまり口座を開設してみたけれども、全く使われていないという記事が、掲載されておりました。
NISAとは株式や投資信託などの、分配金や譲渡益が非課税になる制度であり、預貯金の利子などを、非課税にする制度ではありません。
そのため貯蓄ではなく、投資を目的にする方に向いているのですが、キャンペーンなどにより、こういった目的を持たない方も、NISA口座を開設してしまったことが、休眠状態になる理由の一つだと思うのです。
つまり税制上で優遇のある制度を活用するなら、次のように自分の目的に合った制度を選ぶことが、大切になってくるのです。

老後資金の準備を目的にするなら個人型の確定拠出年金
税制上で優遇のある制度としてはNISAの他に、2017年1月から専業主婦や公務員も加入できるようになる、「個人型の確定拠出年金」があります。
この制度はNISAと違って、投資信託などの分配金や譲渡益が非課税になるだけではなく、預貯金の利子も非課税になるのです。
ただその一方で障害状態になったり、死亡したりしない限り、最低でも60歳にならないと、年金資産を引き出すことができません。
そのため個人型の確定拠出年金は、老後資金を準備したいという目的を持った方に合った制度です。
教育資金の準備を目的にするならジュニアNISA
成人向けのNISAは上記のように、投資を目的にした方が、分配金や譲渡益に課税されないようにするために、利用する制度だと思います。
一方今年から始まったジュニアNISAは、投資を目的にするというよりも、子供の教育資金を準備したいという目的を持った方に合った制度です。
ただジュニアNISAの欠点として、子供が原則18歳になるまで出金することができませんので、それより前の教育費は、学資保険や預貯金で準備する必要があります。

マイホームの購入資金の準備を目的にするなら財形
お勤めしている会社が、次のような3つの「勤労者財産形成貯蓄制度(以下では「財形」で記述)」を導入している場合、それぞれの目的のために、給料からの天引きで預貯金ができます。
・ 財形住宅貯蓄(マイホームの購入資金やリフォーム資金の準備)
・ 財形年金貯蓄(老後資金の準備)
このうちの財形住宅貯蓄と財形年金貯蓄制度は、定められた目的で預貯金を引き出す場合には、両者の元本を合計して550万円まで、預貯金の利子に対して課税されません。
また3種類のいずれかの財形を行っている方は、住宅の購入の際などに融資を受けられますので、財形はマイホームの購入資金を貯めたいという目的を持った方が、特に利用したい制度です。
条件に合う方は利用したいマル優と特別マル優
これらの他にも国内に住所のある、次のような方を対象にして、元本350万円までなら、預貯金の利子に対して課税されない、「マル優」という制度があります。
・ 遺族年金(遺族基礎年金、遺族厚生年金など)を受給できる妻
・ 障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金など)を受給できる方
・ 寡婦年金を受給できる方
・ 母子年金を受給できる方
またこのマル優の他に、同様の方を対象にして、国債と地方債の額面350万円までなら、利子に対して課税されない、「特別マル優」という制度もあります。
両者を合計して700万円まで、利子が非課税になりますので、貯蓄の目的にかかわらず、条件に合う方は利用したいところです。(執筆者:木村 公司)