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年末調整と確定申告の盲点 寡婦(夫)控除~死別・離婚にまつわる制度のお話(1)

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年末調整と確定申告の盲点 寡婦(夫)控除~死別・離婚にまつわる制度のお話(1)

年末調整や確定申告で利用できる所得控除で、使えるにも関わらず意外と使われていないのが、寡婦・寡夫控除です。

言葉が難しくて何のことやら…という意識がそうさせてしまうのでしょうが、

・ 生活に苦しむシングルマザー・シングルファザー
・ 年金暮らしで配偶者を亡くされた方

が使える可能性もある控除です。

次回以降になりますが、あわせて関連する社会保障制度の解説もしていきます。


寡婦控除・寡夫控除の要件

まず12月31日時点で下記のいずれかに当てはまれば、その年にはこれらの控除を使える可能性があります

1. 配偶者と死別した後、婚姻していない人
2. 配偶者と離婚した後、婚姻していない人
3. 配偶者の生死が明らかでない人

要は離婚した方、配偶者を亡くされた方、配偶者が行方不明の方(いくつかの要件がありますが、広範囲にあてはまる1つの基準としては3年以上)が当てはまる可能性があります。また、再婚したら対象外となります。

1. 寡婦控除

その先ですが、配偶者=夫であれば、下記のA.Bいずれかであれば寡婦に該当し寡婦控除が使えます。扶養している人がいるか、一定所得以下いずれかということです。

A. 上記1・2・3のいずれかで、扶養親族又は生計を一にする子のいる人

B. 上記1・3のいずれかで(2の離婚は対象外)で、本人の合計所得金額が500万円以下の人

(合計所得金額の説明は「確定申告によって自分の受ける社会保障はどう変わってくるのか(2)~基準となる所得~」参照)

A. の「生計を一にする子」

扶養親族や事業専従者(事業専従者の詳細は割愛します)ですので、独立して別生計の子などは(扶養の範囲外の場合)対象外になってしまいます。また他人の扶養になっていても対象外です。

16歳未満の子は扶養控除の対象ではありませんが、所得要件や同一生計要件を満たしていれば扶養親族に含まれます(通常はなります)。

B. の合計所得金額

医療費控除や社会保険料控除等を引いた後の課税所得(課税総所得など)でない点は注意が必要です。給与所得だけであれば年収690万円未満となります。

離婚の場合は、要件が厳し目で主に扶養親族がいるかが大きなポイントになります。

2. 寡夫控除


寡夫の要件は、性差別的な要素もありますが寡婦より限定されています。上記1・2・3のいずれかに加え、さらに下記2つの要件を両方とも満たす必要があります

ア. 生計を一にする子(扶養親族や事業専従者に該当)がいる

イ. 本人の合計所得金額が500万円以下

扶養範囲の子供がいない、所得が高いとなると対象外になってしまいます。

3. 特別の寡婦

寡婦であることに加えて、上記のア・イ両方満たしていれば(ただしア.の事業専従者は除かれます)、特別の寡婦となります。

控除の金額

寡婦控除・寡夫控除はいずれも所得税27万円、住民税26万円です。特別の寡婦に該当すれば、控除額が所得税35万円、住民税30万円とアップします。

配偶者控除や扶養控除よりは少し低いですが、所得控除額としては大きい額と言えます。

最後に

年末調整では、扶養控除等申告書のC欄に「2 寡婦」、「3 特別の寡婦」、「4 寡夫」とありますので、該当する方は〇をつけて提出しましょう(合計所得金額は来年の見積に基づきます)。

寡婦控除でいえば「夫と死別」と「合計所得金額500万円以下」(収入が公的年金だけであれば680万5,882円以下)で、高齢者でも十分使える可能性もあるものです。

該当するのであれば、確定申告書もしくは年金機構に提出する扶養親族等申告書で申告しないともったいないです。

なお年金制度等の社会保障でも寡婦・寡夫向け制度があります。これに関しては以下で解説します。(執筆者:石谷 彰彦)

寡婦(夫)の受けられる手当・年金~死別・離婚にまつわる制度のお話(2) 

《石谷 彰彦》
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石谷 彰彦

石谷 彰彦

1977年生まれ。システム開発会社・税理士事務所に勤務し、税務にとどまらず保険・年金など幅広くマネーの知識を持つ必要性を感じFPの資格を取得。行政非常勤職員や個人投資家としての経験もあり、社会保障・確定申告・個人所得税関係を中心にライティングやソフト開発を行う。近年は個人の金融証券税制に重点的に取り組み、上場株式等課税方式有利選択ツールを公開。お得情報の誤解や無知でかえって損をする、そんな状況を変えていきたいと考えている。 <保有資格>AFP・2級FP技能士・日商簿記2級 寄稿者にメッセージを送る

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