マイホームを売却するなら、「社会保険に加入している時」にしよう!»マネーの達人

マイホームを売却するなら、「社会保険に加入している時」にしよう!

マイホームを売却した知人は確定申告をする必要があるのか

2016年に居住用の住宅と敷地、いわゆるマイホームを売却した知人から、「確定申告について教えてほしい」と、久しぶりに電話がありました。

そのマイホームは古いため、それほど高い値段で売れたわけではなかったので、確定申告をする必要はないと思っていたら、住所地の税務署から手紙が届いたそうです。

またその手紙を読んでみたら、確定申告が必要な気がしてきて、どうすれば良いのか悩んでいるようでした

マイホームの売却は一生に何度もあることではないため、この知人のように悩んでしまう方は、多いのではないでしょうか?




税務署は登記情報を活用して不動産の売買を把握する

この話を聞いてまず驚いたのは、税務署はマイホームを売却したという事実を、把握している点です。

知人は売買を仲介した業者から税務署に、情報が漏れたのではないかと、その業者を疑っておりましたが、どうもそれは間違いのようです。

マイホームなどの不動産の所有権が、自分から他者に変わった場合は原則として、住所地にある法務局に行って、「所有権移転登記」を行う必要があります。

税務署はこの法務局の登記情報を活用して、知人がマイホームを売却したという事実を把握したのであり、業者から情報が漏れたわけではないようです。


どうすれば良いかわからない方は無料相談を利用する

税務署は上記のように、法務局の登記という確かな情報を元に、手紙を送っているので、何もしないで放置しておくというのは、危険だと思うのです。

どうすれば良いかわからない方は、確定申告の時期になると市区町村の役場内などに特設会場が作られ、税務署から出張してきた職員などが無料相談を受け付けているので、そういったところに行ってみるべきだと思います。

また確定申告の時期以外については、日本税理士会連合会や全国各地にある税理士会が実施している、電話や面談での無料相談や、住所地の市区町村が実施している、無料の市民(区民、町民、村民)相談を利用してみましょう。


マイホームの売却は3,000万円の特別控除が受けられる

マイホームの売却については、譲渡所得が発生した場合と、譲渡損失が発生した場合のいずれについても、さまざまな税制上の特例があります

しかしすべてを正確に記憶しているわけではないし、またすべてを説明すると時間がかかってしまうので、電話をかけてきた知人に対しては、「居住用財産の3,000万円の特別控除」だけを説明しました。

マイホームの売却によって発生する譲渡所得は、次のような計算式で算出します。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)

この中の取得費とは、マイホームを購入した時の値段から、「減価償却費相当額」を控除したものであり、減価償却費相当額とは住宅が老朽化して、価値が減った分を金額にしたものです。

もし住宅や敷地の取得費が不明だったり、実際の取得費が譲渡価額の5%より少なかったりした時は、譲渡価額の5%を取得費にできます。

また譲渡費用とは、仲介手数料、登記に要した費用、住宅の取り壊し費用など、マイホームの売却のために直接要した費用の合計額です

そうなると譲渡所得とは、マイホームの売却で得たお金から、現在のマイホームの値段と、その売却に要した費用を、控除したものになります

この譲渡所得に所得税の税率を掛け、所得税を算出するのですが、それをする前の段階で次のように、居住用財産の特別控除である3,000万円を、譲渡所得から控除できるのです。

譲渡所得-特別控除(3,000万円)

ですからマイホームの売却で得たお金が、特別控除の3,000万円以内であれば、所得税は課税されないのです


3,000万円の特別控除を受けるには確定申告が必要になる

居住用財産の3,000万円の特別控除を受けるには、確定申告をする必要があり、また次のような要件を満たす必要があります。

・ 所有者が現に居住している住宅(または住宅及び敷地)であること

・ 所有者が現に居住していない場合、居住しなくなってから3年が経過する日の年末までに、住宅(または住宅及び敷地)を譲渡すること

・ 住宅を取り壊して、敷地だけの譲渡となる時は、取り壊してから1年以内に譲渡契約を締結し、かつその間に敷地を、駐車場などのために賃貸していないこと

・ 譲渡の相手が配偶者や子供などの、特殊関係者でないこと

この他にも適用を受けるための、いくつかの要件があるので、詳しくは国税庁のサイトの中にある、「マイホームを売ったときの特例」というページを参照にして下さい。


マイホームの売却で負担増の国民健康保険と後期高齢者医療

このようにマイホームを売却しても、居住用財産の3,000万円の特別控除があるため、売却額が大きくなければ、所得税の負担が増えることはありません

しかしマイホームを売却した翌年については、自営業者や年金受給者などが加入する「国民健康保険」や、原則75歳以上の方が加入する「後期高齢者医療」は、保険料の負担が増える可能性があります

その理由として、これらの保険料の「所得割額」の部分については、前年の所得を元に算出するので、譲渡所得が発生して所得が増えると、保険料も増えるからです。

また国民健康保険や後期高齢者医療は、3,000万円の特別控除を適用する前の譲渡所得を元に、保険料を算出するからです

なお国民年金の保険料は全員一律なので、負担が増えることはありませんが、マイホームを売却した翌年については、所得の要件を満たすことができず、保険料の納付の免除を受けられない可能性があります



マイホームを売却しても負担が変わらない社会保険

社会保険(健康保険、厚生年金保険)の保険料は、お勤め先から支給される給与の金額を元に算出され、給与以外の収入は保険料の金額に、影響を与えません

そのため社会保険は国民健康保険や後期高齢者医療と違って、マイホームの売却により譲渡所得が発生しても、その翌年に保険料の負担が増えることはないのです。

ですから社会保険に加入している時にマイホームを売却すれば、その翌年の国民健康保険の納付書などを見て、腰を抜かすことはないと思うのです。

なお老齢厚生年金を受給している方が、厚生年金保険に加入すると、在職老齢年金の仕組みにより、その全部または一部が支給停止になる場合があります

ただパートやアルバイトとして、正社員より短い時間だけ働くなら、支給停止になる基準を満たすほど、給与の支給額は多くならないはずなので、老齢厚生年金の支給停止を心配する必要はないと思います。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

木村 公司 木村 公司»筆者の記事一覧 http://manetatsu.com/author/kkimura/

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種

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