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休日出勤の「振替休日」と「代休」は全く違う 労働基準法からみた違いとは?

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休日出勤の「振替休日」と「代休」は全く違う 労働基準法からみた違いとは?

休日出勤をして代わりに違う日に休んだ場合、皆さんは何気なく「休日を振替えたよ」や「代休を取ったよ」と言っていませんか?

実は、この「休日の振替」と「代休」とでは、労働基準法での考え方は全く意味が異なってきます

その違いについて解説をしたいと思います。


「休日の振替」とは

「休日の振替」とは、もともとの休日(例えば、日曜日)を労働日に変更し、もともとの労働日(例えば、月曜日)を休日とするように、もともとの休日と労働日をあらかじめ振り替えることをいいます

ポイントは「あらかじめ」という部分ですが、これは事前に振り替える休日を特定しておく必要があります

また、就業規則等により「休日を振り替えることがある。」などの規定をしておかなければすることはできません。

この場合、振り替えた休日は労働日となるため、休日労働とはなりません。(休日労働などの割増賃金は発生しないことになります。)

「休日の振替」の例


ただし、これは同一週内の場合であり休日を翌週に振り替えたこと等により週の労働時間で法定労働時間を超えてしまった場合は、超えた部分が時間外労働になります。

翌週に「休日の振替」をした例


上記の例では、「休日である土曜日」と労働日である翌週の月曜日」を振替えると、

1週目:労働時間は48時間となり8時間分の時間外割増賃金(125%割増)が発生

2週目:労働時間は32時間となり8時間分の通常支払われる賃金(100%)を控除

この結果より、時間外割増賃金の割増部分(125%-100% = 25%部分)の支払いが必要となります。

「代休」とは

「代休」とは、休日労働を行わせた後で、事後的に休日を取らせることをいいます

この場合は、休日を与えていますが、既に行われた休日労働の事実は変わらないので時間外割増賃金や休日労働割増賃金などの支払いは必要となります

「代休」の例


上記の例では、「法定休日である日曜日」に労働し、その後に労働日である金曜日に代休を取得すると、

日曜日:法定休日で休日労働となり休日労働割増賃金(135%割増)が発生

金曜日:通常の労働日に休日を取得したため、通常支払われる賃金(100%)を控除

この結果より、「休日の振替」とは違い、「代休」は同一週内に休日を取得しても、休日労働割増賃金の割増部分(135%-100% = 35%部分)の支払いが必要となります

また、行政解釈の通達にも「休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働の義務を免除するいわゆる「代休」の場合は「休日の振替」には当たらない。」とされています。

まとめ

このように、何気なく使っていた「休日の振替」と「代休」では異なる性質を持っていますので、そのあたりを理解しておく必要があるでしょう。(執筆者:社会保険労務士 高橋 豊)

《高橋 豊》
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高橋 豊

ゆたか社会保険労務士事務所 代表 大学卒業後、中堅企業にて労働関係法規や社会保険関係法規等に絡む業務、社内研修などの企画立案・実施、新卒採用などの人材採用・人事を経験。社会保険労務士事務所開業後は、企業に対して「人材がやめない企業づくり」をモットーに各種制度提案、就業規則等の作成、退職金制度設計、助成金申請などを行い、個人に対しては、遺族年金・障害年金等の複雑な年金請求のサポートを行っている。また、大学や短大でキャリア教育講座の講師を務めており、学生の就職活動支援なども行っている。 <保有資格> 社会保険労務士、宅地建物取引士、管理業務主任者 ・愛知県雇用労働相談センター 相談員 寄稿者にメッセージを送る

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