※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

「自由化された都市ガス」と「プロパンガス」の切り替え料金を比較して解説します。

節約・ポイ活 節約・ポイ活
「自由化された都市ガス」と「プロパンガス」の切り替え料金を比較して解説します。

一般家庭用の都市ガス小売りが全面自由化

4月から一般家庭用の都市ガス小売りが全面自由化されました。

「現在の都市ガス会社を変更することでどれくらい料金を削減することができるか?」

「都市ガス料金とプロパンガス料金との比較はどうなのか?」

プロの眼から見た実態をわかりやすく解説します。


都市ガス会社を切り替えると3.6~13%安くなる

大手都市ガス小売り業者の家庭向け販売戦略プランは下表の通りです。

現在契約している都市ガス会社を変更せずに継続利用しても従来比1.5~7.5%安くりますが、他社に切り替えた場合は3.6~13%安くなります

しかし、最大13%安くなると言っても都市ガスだけで可能になる訳ではなく、電力会社も一緒に切り替えることでセット割がプラスされます


この表では具体的にどれくらい下がるのかイメージしにくいので、わかりやすいようにグラフ化してみました。

グラフ化に当たっては、色々なセット割引きサービスは考慮せず、単純に都市ガス会社を変更するとどうなるかだけで算出しました。


電気とのセット契約などを考慮しない単純比較では、平均的な世帯で月額314円ほどの節約になります。

また、季節指数を考慮した年間節約額は2,965円ですので、都市ガスだけを変更した場合、あまり魅力的ではないかもしれません。

大都市圏にお住まいの方にはチャンスだが…

上記の表を見ておわかりのように、今契約している都市ガス会社を他社に切り替えることでメリットが出るのは、関東・関西・中部地方にお住まいの方が中心です。

もっと端的に言うと、現在「東京ガス」、「大阪ガス」、「東邦ガス」を利用している方ですね。

それ以外のエリアに住んでいる方はどうなるのでしょうか


北海道や東北、九州や四国、北陸、中国地方などの方には都市ガス自由化の恩恵はないのでしょうか?

九州電力は1月に「電気とのセット売りで、西部ガスの料金よりも5~10%程度安くしたい」と発表しているので、いずれ魅力的なプランが出てくると思います。

しかし、それ以外のエリアでは政府が期待しているような状況にはないようです。資源エネルギー庁の資料では、2017年3月16日現在新規登録された「ガス小売り事業者」は26社に留まっています。

さらに、一般家庭への販売を予定している事業者は東京電力エナジーパートナー、関西電力、中部電力、九州電力などわずか10社です。

数が少ない背景には、以下のような新規参入に対するハードルの高さがあります。

(1) 電気の送電線とは違い、都市ガスには全国的なガス導管網がない

(2) 既存の導管網を利用させてもらうための託送費が高く、薄利になってしまうので新規参入のメリットが少ない

(3) 都市ガス供給の実績がないと参入できない(参入する会社は地方ガス会社を買収するなどして登録申請をしています)。

(4) 都市ガスの原料である天然ガスを輸入できるのは、LNG(液化天然ガス)基地を持っている電力会社などに限定されてしまい、参入したくてもできない

などの問題です。

結局、電気の自由化の時と同様に大都市圏の消費者だけが恩恵(それもわずかな)を受け、地方の都市ガス消費者は置きざりにされてしまう可能性が高いです。

プロパンガスは会社変更によって平均30%下がる!

都市ガスの場合、契約するガス会社を変更したところで月額300円ほどしか節約できないということがわかりました。

では、都市ガスと並んで家庭用ガスの代表であるプロパンガスについて確認していきたいと思います。 

一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会が2月に実施した料金削減実績調査では、当協会が推奨するプロパンガス会社を紹介した上で旧料金と新料金を比較した結果、平均で月額3,425円(30.7%)安くなりました


さらに、2月の数字をベースに季節指数を考慮した年間節約額を試算したところ3万2,469円にも達することがわかりました。これは、都市ガスを変更した場合の約10倍の節約効果があります

なぜそんなに差があるのか?

単純に都市ガス会社を変更した場合は約5%ほどしか下がりませんが、プロパンガスは約30%も下がります。なぜこれほど大きな差があるのか考えてみます。

前述したように都市ガス業界は、新規参入会社にとってハードルが高い割に利幅が小さいです。

既存都市ガス会社のガス導管使用料(託送料金)が高いことや、自社での保安を義務付けられていることなどが利益を圧迫しているからです。

誰でも利益が見込めなければ新規参入はできません。

早々に新規参入した電力会社としては、都市ガスで儲けるというより、2016年4月の電力自由化で都市ガス会社に顧客を奪われた分を取り返す意味のほうが重要なのかもしれません。

一方のプロパンガスは最初から自由料金ですが、昔から業者間の競争を避けてきただけに現在も高止まりしています

全国平均では都市ガス料金の1.5から2倍くらい高くなっているのが現状です。

それに対して、当協会が推奨する適正価格のガス会社を利用すれば、都道府県の平均価格と比較して30%ダウンが実現するのです。

まとめ


都市ガス

1. 都市ガスの料金は、電気とのセット割引きなどを併用しない単体でのガス会社変更では月額300円(5%)、年間でも3,000円程度の削減しかできない

2. 最も利用者が集中する関東地方では、東京電力エナジーパートナーが7月に参入予定でプランが未発表のため、それを待って変更するかどうか判断したほうが良さそう

3. 都市ガスで変更が可能なのは、今のところ「東京ガス」、「大阪ガス」、「東邦ガス」の利用者に限られる。

近い将来九州の西部ガスの利用者も対象になりそうだが、それ以外のエリアは当面対象にはなりそうもない

プロパンガス

1. プロパンガスの料金は、単体でのガス会社変更でも月額3,400円(30%)、年間では3万2,000円程度の削減が期待できる

2. 北海道から九州まで、一部のエリアを除いてほぼ全国的にガス会社変更が可能。(執筆者:鈴木 秀男)

《鈴木 秀男》
この記事は役に立ちましたか?
+0

関連タグ

鈴木 秀男

鈴木 秀男

一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会 代表理事 1980年東芝パソコンシステム入社。勤務の傍ら1990年より、世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」ニューヨーク本部公認トレーナーとして、セールスパーソンのトレーニングに従事。20年間で約3,000人を指導。2011年、一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会 代表理事に就任。高いプロパンガス料金に困っている消費者にアドバイスをする一方、希望者に適正価格の優良ガス会社を紹介している。現在12名のスタッフと、年間約8,000人の消費者からの料金相談に無料で対応している。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

特集