iDeCoの掛金を拠出するのが負担になった場合は「3段階」の対処法があります»マネーの達人

iDeCoの掛金を拠出するのが負担になった場合は「3段階」の対処法があります

個人型の確定拠出年金もはじまりました

2017年1月1日から、国民年金の第3号被保険者となり、自分で保険料を納付する必要のない「専業主婦」、または「公務員」についても、個人型の確定拠出年金(以下では愛称に決まった「iDeCo」で記述)に加入できるようになりました。

日本経済新聞が主要金融機関の8社に対して、聞き取り調査を行ったところ、この加入資格の拡大から1か月間の申込件数は、約4万6,000件だったそうです。

また新規加入者の内訳を見てみると、20代が6%、30代が29%、40代が42%となり、40代以下の世代で約8割に達するそうです。

iDeCoに加入できる年齢の上限は、現在は60歳になっているので、このように若いうちから始めた方が、掛金の拠出段階やその運用段階での税制優遇を、長期に渡って受けられます。

しかしその反面で、若いうちから始めると、iDeCoに加入する期間が長期になるため、病気や失業などによる収入減で、掛金を拠出するのが負担になる期間が生じる可能性があります

もしこのような事態になった場合には、次のような3段階の対処法が考えられると思うのです。




国民年金の被保険者の種別で、拠出できる掛金の上限額が変わる

iDeCoの掛金は月額5,000円以上なら、1,000円単位で自由に設定できます

ただし国民年金の被保険者の種別(第1号~第3号)によって、次のような月あたりの上限額が定められているので、これらを超える金額は設定できません。

第1号被保険者(自営業者やフリーランスなど)


→ 月額6万8,000円

第2号被保険者(厚生年金保険に加入する会社員や公務員など)


企業年金等や企業型の確定拠出年金に加入していない会社員

→ 月額2万3,000円

注:「企業年金等」とは、確定給付企業年金、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金などを示しており、以下でも同じです。

企業年金等には加入していないが、企業型の確定拠出年金には加入している会社員

→ 月額2万円

企業年金等に加入している会社員、または公務員

→ 月額1万2,000円

第3号被保険者(専業主婦)


→ 月額2万3,000円


第1段階の対処法「掛金額を引き下げる」

このように国民年金の被保険者の種別によって、掛金の上限額は変わってきますが、掛金の下限額は共通して、月額5,000円になっております

ですから病気や失業などによる収入減で、iDeCoの掛金を拠出するのが負担になった場合には、第1段階の対処法として、掛金額を月額5,000円まで、または自分が払えそうな金額まで、引き下げるのです。

ただ掛金額は年度(4月から翌年の3月)の間に、1回しか変更できないので、病気が治ったり、新しい仕事が見つかったりしても、すぐには元の金額に戻せません。

また掛金額を変更したい場合は「加入者掛金額変更届」を、運営管理機関(加入手続きをした金融機関)から取り寄せ、必要事項を記入したうえで返送します。


第2段階の対処法 「掛金の拠出を停止する」

病気や失業などによる収入減が大きい場合には、月額5,000円の掛金を拠出するのでさえ、負担になってしまう可能性があります。

そこで第2段階の対処法として、「加入者資格喪失届」を運営管理機関から取り寄せ、必要事項を記入したうえで返送します

これによりiDeCoの「加入者」から、すでに積み立てた掛金の運用のみを行う「運用指図者」に変わるので、預金口座からの掛金の引き落としは停止されるのです。

なお掛金の拠出を再開するには改めて、加入者となるための手続きが必要になるので、掛金額の引き下げと比較すると、こちらの方が元の状態に戻す時の手間がかかります


第3段階の対処法 「脱退一時金を請求する」

病気や失業などによる収入減が長引く場合には、掛金の拠出を停止するだけでなく、拠出した掛金とその運用益を引き出して、収入の穴埋めに活用したくなるかもしれません。

しかし拠出した掛金とその運用益は、原則として障害状態になったり、死亡したりしないかぎり、最低でも60歳にならないと、引き出せないルールになっております。

ただ国民年金基金連合会のウェブサイトの中にある、「脱退一時金について」というページを見ると、次の要件をすべて満たした場合は例外的に、脱退一時金として引き出せると記載されております。

そのためこの要件を満たす方については、第3段階の対処法として、運営管理機関に脱退一時金を請求するのです。

1. 国民年金保険料の納付を免除されていること(障害基礎年金裁定通知を受けた者および国民年金法第89条第1項第3号の施設に入所している者は除きます)

2. 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと

3. 通算拠出期間が3年以下(注)、又は個人別管理資産が25万円以下であること

4. 企業型又は個人型確定拠出年金の資格を最後に喪失した日から2年以内であること

5. 企業型確定拠出年金の加入者資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと
(注)掛金を拠出されなかった期間は含みません。企業型確定拠出年金や企業年金制度から個人型確定拠出年金へ年金資産を移換している場合、それらの加入期間も含みます。

※企業型又は個人型確定拠出年金の資格を最後に喪失した日が平成28年12月31日以前の方は、脱退一時金の受給に経過措置が認められています。詳しくは運営管理機関にお問い合わせください。
≪引用元:脱退一時金について 国民年金連合会


第2段階以降の対処法を実施すると、税制優遇が少なくなってしまう



第2段階の対処法として、掛金の拠出を停止すると、掛金の拠出段階での税制優遇を受けられなくなります

また第3段階の対処法として、脱退一時金を請求すると、それが「一時所得」になって、所得税や住民税が課税される場合があります

ですから税制優遇というiDeCoのメリットを活かすには、第1段階の対処法だけを実施して、第2段階以降の対処法は、なるべく実施しない方が良いと思うのです。(執筆者:木村 公司)

この記事を書いた人

木村 公司 木村 公司»筆者の記事一覧 http://manetatsu.com/author/kkimura/

1975年生まれ。大学卒業後地元のドラッグストアーのチェーン店に就職。その時に薬剤師や社会福祉士の同僚から、資格を活用して働くことの意義を学び、一念発起して社会保険労務士の資格を取得。その後は社会保険労務士事務所や一般企業の人事総務部に転職して、給与計算や社会保険事務の実務を学ぶ。現在は自分年金評論家の「FPきむ」として、年金や保険などをテーマした執筆活動を行なう。
【保有資格】社会保険労務士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、年金アドバイザー2級、証券外務員二種、ビジネス実務法務検定2級、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ種

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