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亡き夫の預金が引き出せない…子供のいないご夫婦に起きた相続の実話

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亡き夫の預金が引き出せない…子供のいないご夫婦に起きた相続の実話

 夫が亡くなり、葬儀代金を支払うため奥さんが銀行に行きました。亡くなった夫の預金を引き出そうとしたところ行員さんにストップをかけられました。

「いつも夫の代わりに私が引き出していたじゃない。この預金は夫と私が一生懸命苦労して貯めてきた預金です。しかも私は夫の相続人ですよ」

とその行員さんに訴えたところ

「その通りなんですがご主人さんに子供がいない場合、相続人は奥さん一人ではないのですよ。申し訳ありませんが相続人全員の署名をいただかないとお金は引き出せないのです」

 と言われ、奥さんは途方に暮れてしまいました。奥さんは夫の預金のことで夫の姉と話し合いをしなければいけない事実を知り、愕然としてしまいました。

 民法では法定相続人について下記のように定めています。

(1順位) 配偶者と子
(2順位) 配偶者と直系尊属
(3順位) 配偶者と兄弟姉妹(亡くなっていればその子、つまり甥姪)

 そのため何が大変かというと、まず夫の父母の生死の確認。場合により父方母方の祖父母の生死の確認も必要です。直系尊属がいなければ兄弟姉妹の確認、そして甥姪の戸籍も必要です。

 実際にあったのは、夫の姉はすでに亡くなっていましたが、その姉に子供(姪)がいたんですね。姪は事情があり生まれてすぐに養子に出されていてその事実を夫も知らなかったのです…。こういった場合、たいてい手続きが難航します。

 一番の問題は、奥さんにとって夫の姉や姪に財産を教え銀行の書類に実印を押していただくよう依頼することへの「精神的な負担は計り知れない」ことです。子供がいない奥さんにとって夫の両親とか、夫の兄弟姉妹とはうまくいっていないのが普通なんですね。

 ある子供のいない夫婦の相談者からこんな話を聞きました。

子供のいない夫(A)の母親がこんなことを言いました。
「Aの姉には男の子が二人いるから、一人、養子にもらおうか」と。
Aさんは正直「それもありかな」と思ったそうです。
ところが、その夜Aさんの奥さんに、「お姉の子だけは絶対嫌」と泣かれ、
奥さんの気持ちが、はじめて分かった、と話していました。

 こんな経験をして初めてお互いの気持ちが分かった話していました。

 では、どうしたら良いか。公正証書遺言を作成することでこの問題は解決します。兄弟姉妹には遺留分もありませんので後日のトラブルもありません。できれば遺言執行者(名義変更をする人)を決めておくといいでしょう。ケースにより一部、兄弟姉妹に相続させる遺言も考えられます。専門家に相談の上、是非実行をお勧めいたします。こんな大切なこと何故、学校でもっと教えないんでしょうか。(執筆者:橋本 玄也)

《橋本 玄也》
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橋本 玄也

執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也 橋本 玄也

父の死をきっかけに相続に関心を持つ。その後、祖母、母の相続と3回相続を経験。自身の体験から相続人の気持ちがわかるFPです。愛知県の会計事務所にて20年近く相続専門の実務担当として様々な体験をし、遺産分割はこれまで500件以上関わりました。まとまる相続、相続人全員の方から喜んでいただくのを生きがいに、おかげさまで在職中担当したお客さますべて、全員の合意による遺産分割を行うことができました。現在は経験を活し、老人会、市役所、商工会議所、ハウスメーカー、金融機関、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会等、講師を行っています。 <保有資格>:一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、宅地建物取引士、相続診断士 寄稿者にメッセージを送る

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