中小企業や個人事業主にとって、相続や事業承継は悩みの種
相続税の基礎控除の引き下げ、相続税の最高税率の引き上げが、税制改正大綱で決定され、2015年1月より相続税が大きく引き上げられます。中小企業オーナーにとっては、頭の痛い問題となりそうです。
相続税は、金銭一括納付が原則ですが、相続財産としての自社株や事業用不動産などの現金化は容易ではありません。また、事業用資産は親族間で分散してしまえば、後継者の事業継承にも支障がでます。特にオーナー経営者の場合、現金化が難しい自社株や不動産が相続財産として多くなるのが現実。
兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」も認められているため、相続人間の遺産分割は困難を極めます。
※遺留分:一定の相続人に最低限保証されている相続分
相続対策に意外と使えるのが生命保険
(1) 納税資金対策に使える
(2) 生命保険金は保険金受取人の固有財産(みなし相続財産)
(3) 相続税の節税対策になる
オーナー経営者から後継者への暦年贈与金=保険料とし、
被保険者:オーナー経営者
受取人:後継者
という契約形態の終身保険(あるいは長期定期保険)に加入。こうすることで、オーナー経営者に万が一があっても、後継者は受取る保険金で納税資金が確保でき、受取る保険金は相続税が課税されず、一時所得として所得税と住民税が課税されるため、税率が相続税よりも低く抑えられます。
さらに、生命保険金は受取人の固有の財産であるため、相続で一番の難所である遺産分割協議の対象とはなりません。このケースでは、オーナー経営者から後継者への暦年贈与に関して、年間110万円の贈与税基礎控除をうまく使えれば、非課税(あるいは少額の贈与税の納付)で生前贈与することが可能です。
中小企業経営者、個人事業主の方で、相続・事業承継でお悩みの場合、生命保険の活用も選択肢の一つです。(執筆者:釜口 博)