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今井雅之氏のケースから「がんのリスクマネジメント」を考える(上:リスクマネジメントの考え方)

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今井雅之氏のケースから「がんのリスクマネジメント」を考える(上:リスクマネジメントの考え方)

四月に俳優の今井雅之氏が「大腸がんのステージⅣ」との公表があり、ご存じの方も多いと思います。

今井氏の大腸がんの原因について某TV番組で「医師」が単に食事の欧米化と「肉」としか発言しなかったことにあきれてしまったのと「がんに関する誤解」多いので記事にさせていただくことにいたしました。

単なるコメンテーターならともかく、仮にも「医師」の有資格者の発言としては政治問題の発言より問題です。政治問題発言で直接、人が亡くなることはありませんが、TVで医師が不明確な発言をすれば、亡くなる人が出てもおかしくない。

例えば、「欧米化」ということは「朝食にパンと牛乳」ががんの原因なのか、パスタでなく、うどん・そばを食べれば良いのか、視聴者には正しく伝わらない。医師以外の日常会話とTVで「医師」のコメントは、全く重みが違う。


予防できることを知りながら普及に力をいれていない現実

元々私は「がん」の報道については「視聴率優先の民放の番組」は、ほとんど信用していない。

一番、ひどかった番組は「大腸がん」を疑われた芸能人が「ステーキ」を食べて、某有名大学病院の医師が全く指摘しなかった番組がありました。

今のTV番組の視聴者はレイ・ブラッドベリーの「華氏451度」の世界の様に、与えられた番組内容を反芻している。

ハーバード大学が「がんの原因のレポート」を発表してから来年で20年になろうとしているが、平成15年のがん予防の調査結果(国立がん研究センター)を見てみると「がん予防」の実態がわかります。「テレビによる文化の破壊」とインタビューで答えている。

注:「華氏451度」は小説家レイ・ブラッドベリーによって書かれたSF小説。本の所持を禁止した世界が描かれて映画化されている。ブラッドベリー自身は「テレビによる文化の破壊を描いたとインタビューで述べている。

日本人のがん予防に対する意識調査(国立がん研究センター)
http://epi.ncc.go.jp/can_prev/94/178.html

この結果で一番ひどいのは「生活習慣の改善で70%以上改善できる」と回答したのはわずか7%だけです。予防できること自体を知らなければ、積極的に生活習慣を改善しようとする人が少ないのはある意味、当然でしょう。

国立がんセンター発表の「日本人のためのがん予防法」では たばこ30% 食事30% 運動不足5% 飲酒3% ここまでの累計は68%になります。その他にも肝炎ウィルス対策やピロリ菌対策や化学的な発がん物質を取り扱わないなどで科学的根拠のある予防法は何年も前から公表されています。2013年8月の私のブログに「がんは77%以上予防できる」と公表済です。

日本人のためのがん予防法(国立がん研究センター)
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/prevention/evidence_based.html

このページには「赤肉・加工肉」は大腸がんのリスクを確実に上げるとはっきり掲載されています

注:赤肉(赤身の肉)は牛肉・豚肉・羊肉など。鶏肉は赤身の肉は無い。まぐろの赤身など魚肉は赤身でない。

経営学者のピーター・F・ドラッカーの言葉を借りるなら「知りながら害をなすな」である。医師やがん対策の関係者はずっと前から、予防できることを知りながら普及に力をいれていない。宝くじのお金が年間約5,000万円「がん研究振興財団」に使われているが、「がん予防」の知識が一般に普及していないのは調査結果が示しています。

注:ピーター・ドラッカーは経営学者。マネジメントの発明者といわれている。「知りながら害をなすな」は、プロフェッショナルの倫理について「マネジメント」の第四章の中で述べている。

国の平成26年度の「がん対策基本法の予算」を見ても総額約230億円の内、「がん予防」については「早期発見」の予算を除くとわずか1.9億円しかない。単純な金額の過多では判断できないが、誤解が解かれていないのは現実です。

「予防」と「がんに罹患してからの対策」のどちらが効果的は専門医でなくとも判断できることです。毎年1兆円増えると言われる社会保障費が減るわけがない。

これは直接「がん対策」とは関係ないように見えるが、元はわれわれの税金です。消費税だけで賄うには10%でも足りないのは専門家でなくとも予想できるでしょう。「都合の悪いこと」は先送りするだけではリスクは増える一方です。

がん対策は国家の問題

他国と比較するならドイツは借金ゼロにして、国債の発行をなくしました。イギリスも「減塩政策」などの推進で医療費を3年間で2600億円減らした実績があります。減塩も「がんとがん以外の生活習慣病」の両方に効果があると予想されます。

平成27年度の日本の社会保障費の総額は約31兆円ですが、ほとんどの場合、年金、医療費、介護をどんぶり勘定で説明されますが、医療費と介護費は削減可能であり、実際に、長寿県の長野県は一人当たりの医療費が少ない、介護費用も改善できた自治体も実際にあります。

1人あたりの医療費総額(都道府県データランキング)
http://uub.jp/pdr/h/iryohi.html

「がん」のリスクマネジメントは個人の問題にとどまらず、日本がギリシャのようになるかどうかの問題です。実際に日本の国債の格付けは下がる一方で、上がることが無い。

「がん」のリスクマネジメント

個人のリスクマネジメントに話を戻します。

「がんのリスクマネジメント」を従業員100人の企業に例えると、毎年50%の人が事故を起こすとしたら、すぐにしなければならないのは「保険」を選ぶことではない。「保険」が効果的なのは発生確率が少ないが、発生した場合の損害額大きい場合というのがリスクマネジメントの基本的考え方です。

一生涯でがんに罹る確率  男性 62% 女性 46% 
(国立がん研究センターの資料より 2011年のデータからの推計)
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/statistics01.html

大至急しなければならないのは、「事故の原因分析・効果的な対策」である。これは小学生でもどちらを優先しなければならないか判断できることです。それができないのは他人事と考えているからである。

繰り返しますが、「がんの原因は1996年にハーバード大学のレポート」として、発表されています。日本人にそのまま当てはまるわけではないが、逆に日本人に多い「ピロリ菌感染者」は「胃がんリスクが約5倍」になると国立がん研究センターを始めとして公表されています(胃の状態によっては10倍になる結果もあります。)

ピロリ菌感染と胃がん罹患との関係(国立がん研究センター)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/287.html

ピロリ菌:正式にはヘリコバクター・ピロリ菌

感染経路は正確には不明とされているが、「経口感染」と予想されている。
先進工業国では衛生管理の徹底により感染者が減ってきている。
日本人ではおおむね50代以上の方の感染率が高いとされる。

尚、ピロリ菌除菌者には「統一見解が得られていないが食道がんのリスクが高まるという見解もある」ということに留意してください。私事ですが、私自身はピロリ菌の検査をして、除菌をしています。

衛生管理は日本が良いと思われるかもしれないが、「胃がん」に罹る率は近隣の「韓国・中国」の倍以上ですし、アメリカの約10倍です。アメリカで「胃がん」は「珍しいがん」なのです。


つまり、日本は「胃がん」自体を減らせる可能性は大きいということになります。アメリカのように元々の「胃がん患者」が少ない場合、減らせる幅は少なくなります。TVで視聴率を稼ぐならこういうことを放送してもらいたい。知らされてないから予防もできない状態です。

また、「対がん協会」なども「ピンクリボン運動」を推進すること自体に反対はしないが、女性の「がん死亡者数」は「大腸がん」の方がざっと2倍も多い。


今回の記事は今井雅之氏を引き合いに出させていただきましたが、医師でない私には残念ながら「励ます」こと以外にはほとんどできることはありません。せめて、これを機会に「がん」に罹る人が一人でも減ることを祈っております。

今回の記事の記事についての終わりに「まとめ」です。次回は「がん予防とがん保険の選び方」です。新がんを防ぐ12か条から(ここでは1~10は省略)
11. 身体の以上に気が付いたら、すぐに受診を
12. 正しいがん情報でがんを知ることから

以上(執筆者:金森 徹也)

《金森 徹也》
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金森 徹也

金森 徹也

アルカディアFP事務所 代表 住宅ローンアドバイザー 北海道立岩見沢東高校卒業。群馬大学工学部機械工学科卒業。1997年 東京海上火災保険 研修社員として入社。研修卒業後、保険代理店として独立。2007年12月 FP事務所を開業。現在、保険を販売しないFP事務所として公平中立なアドバイスをしています。 長期間の「抗がん剤治療」から「命」を守る保険選び、保険の見直し方などの「講演」「執筆」中心に活動。マネーの相談件数は数えた分だけで1200件以上。「教えて保険」の実質的に一人で回答、All About Japanスーパーおすすめサイト大賞2004受賞に貢献。「よみうりプラザ」に「保険の見直し講座500万円の無駄を減らそう」を1年間連載。 寄稿者にメッセージを送る

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