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空き家相続問題を税金面から対策 「相続空き家売却の特別控除」を受ける為の要件とメリット、デメリットを解説

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空き家相続問題を税金面から対策 「相続空き家売却の特別控除」を受ける為の要件とメリット、デメリットを解説

1. 空き家増加は社会問題


総務省統計局の平成25年住宅・土地統計調査によれば、2013年時点の空き家の総戸数は820万戸で、2008年調査の659万戸よりも大幅に増えていることが分かる。

また、2013年時点では日本に約6,000万戸の住宅があり、そのうち13.5%が空き家だ。

このままでは日本中に空き家があふれてしまうことになり、なんらかの空き家対策が必要であった。

空き家が増えている原因に1つとして、売却時に税金がかかるという問題がある。

不動産を売却すると譲渡所得として所得税・住民税が課税される。

譲渡所得税の計算

譲渡益 = 不動産売却代金 - 取得費 - 譲渡費用

所得税額 = 譲渡益 × 譲渡所得税率

譲渡所得税率は所有期間が5年以下の場合39.63%、5年超の場合は20.315%(それぞれ所得税・住民税の合計税率、復興特別税含む)が課税される。

空き家を相続で取得した場合

取得日は引き継がれ被相続人が取得した日が取得日となるので、ほとんどの場合、5年超の譲渡所得の税率である20.315%が課税されることになるが、やはり税負担の重さにより、処分を躊躇するケースが多く発生する。

2. 税金面からの空き家対策

空き家対策の一環として、平成28年度税制改正により「相続等により取得した空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除」が創設されることとなった。

特別控除を受けるための要件

(1) 一人暮らしの被相続人が亡くなった場合に限られる

この特例は空き家をなくすことが目的であるため、被相続人が亡くなった時点で一人暮らしであった場合にのみ適用される。

例えば、被相続人が老人ホームに入居していたようなケースでは適用外だ。
 



(2) 昭和56年 5月31日以前に建築された戸建てに限られる

対象は、被相続人の居住用にしていた「昭和56年5月31日以前に建築された建物とその敷地」に限られる。
   

(3) 相続から譲渡まで引き続き空き家でなければならない

相続した後、その家や家を取り壊した後の土地を事業に使ったり、貸付けたり、または居住用にした場合には、この特例は適用できない。

(4) 売却金額が1億円以下であること

2回以上に分けて売却した場合には通算して1億円超かどうかで判定される。また、共有者がいる場合には、その合計金額で判定される。

(5) 適用期間は、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの譲渡

(6) 譲渡期間は、相続の時から相続開始日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡

   

3. 相続空き家売却の特別控除のメリット・デメリット

メリット

この制度を利用する最大のメリットは、3000万円の特別控除により税金の負担を少なくして空き家を処分できることだ。

またケースによれば、空き家となっている家屋・土地を売却して、それを相続税の支払いに充てることもできる。

デメリット

この制度を利用するためには、リフォームが必要になるケースも出てくる。耐震基準等も満たす必要がある。
  
土地だけの売却に関してもこの特別控除を受けられるが、その場合でも空き家を解体しなければならないので、当然だが解体費用が発生する。

最大の難関

売却先を見つけなければいけないことだ。

もし買い手が見つからなければ、当然売値を下げる必要もでてくる。

この特別控除を利用する場合は、メリットとデメリットをしっかり見極めていただきたい。(執筆者:釜口 博)

《釜口 博》
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釜口 博

釜口 博

㈱ジョイント・プレジャー 代表取締役 保険実務に強いファイナンシャルプランナーとして、また自身の営業経験を活かした営業実務研修は、即実行できる内容との評価が高い。 <保有資格>:CFP  1級ファイナンシャルプランナー技能士 二種証券外務員 相続士 寄稿者にメッセージを送る

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