※本サイトは一部アフィリエイトプログラムを利用しています

注目記事

令和5年分から上場株式等の配当・譲渡所得の課税方式は一致させなければならない 影響を解説

税金 税金
令和5年分から上場株式等の配当・譲渡所得の課税方式は一致させなければならない 影響を解説

所得税と住民税には、所得区分ごとに計算方法が定められていますが、上場株式等の配当等および譲渡所得等に係る所得については、課税方式が複数用意されています。

ただ、令和5年分の所得税の確定申告および令和6年度の住民税からは、上場株式等の配当等および譲渡所得等に係る所得の課税方式は、統一化されますのでご注意ください。

課税方式の統一化で何が変わるのか解説します

上場株式等の配当等および譲渡所得等に係る所得の課税方式

上場株式等の配当等には

  1. 申告不要

  2. 分離課税

  3. 総合課税 の3種類、

また上場株式等の譲渡所得等には、

  1. 申告不要

  2. 分離課税

の課税方式があり、いずれかの方法を用いて税額計算を行います。

たとえば、特定口座(源泉徴収あり)で取引している上場株式を売却した場合、原則は申告不要が適用されるので確定申告をする必要はありませんが、譲渡損失が発生した場合などには、納税者が分離課税を選択して申告することも可能です。

従来、特定の配当所得や譲渡所得は所得税と住民税で異なる課税方式を選択できたため、所得税では分離課税、住民税では申告不要のように申告することも可能でした。

しかし、令和5年分の所得税の確定申告および令和6年度の住民税からは、課税方式を統一しなければならないため、所得税の申告で分離課税を選択した場合には、住民税でも分離課税で税額計算を行うことになります。

特定の配当所得や譲渡所得は所得税と住民税で課税方式を統一しなければならない

課税方式の統一で税負担が変わる可能性がある

課税方式を変更するメリットは、主に税負担の軽減です。

証券会社で上場株式の配当金を受け取った場合、所得税として15%が差し引かれますが、分離課税についても税率は同じ15%です。

一方、総合課税は納税者の課税所得金額によって税率が変動するため、課税所得金額が少ない方については、配当所得に対する所得税の税率が5%になるケースもあります。

また、配当所得を総合課税で計算する際には配当控除の対象となり、最大10%の税額控除を受けられることから、納税者の所得等の状況次第では申告不要や分離課税ではなく、総合課税で申告した方が節税になる場面も少なくありません。

住民税についても総合課税で計算することに問題はないですが、配当所得の住民税の税率は、申告分離や申告不要が5%なのに対し、総合課税の税率は10%です。

また、住民税の配当控除の税額控除は2.8%ですし、国民健康保険料や後期高齢者の窓口負担割合は住民税の所得をベースに計算しますので、総合課税を選択したことでトータルの税負担が重くなる可能性があります。

令和4年分の所得税(令和5年度の住民税)までは、所得税と住民税で異なる課税方式を選択することができたため、申告するメリットを受けつつ、デメリットを抑えることができました。

しかし、これからは課税方式を統一しなければならないため、各課税方式のデメリットも踏まえた上で、選択しなければなりません。

課税方式の統一にあたりデメリットを踏まえたうえでの選択がより必要となる

課税方式の統一による影響と対策

ほとんどの方は上場株式等の配当等および譲渡所得等に係る所得について、複数の課税方式が存在していることや、所得税と住民税で課税方式を変えられることを知らなかったと思います。

今まで所得税と住民税の課税方式を変えて節税できていた人は、課税方式の統一の影響を受けることになりますが、配当金や株式の売買を行っている方の多くは税金の種類ごとに課税方式を変えていませんでしたので、従来と同じ方法で手続きしても納税額は増えません。

また、所得税と住民税の課税方式は統一されますが、課税方式の変更は引き続き可能なので、より節税をしたい方は、ご自身に合った課税方式を見つけることが大切です。

《平井 拓》
この記事は役に立ちましたか?
+0
平井 拓

執筆者:元税務署職員 平井 拓 平井 拓

12年勤務した税務署を退職し、ライターとして活動してます。税務署時代は資産課税部門に所属しており、相続税・贈与税・所得税が専門でした。 脱税は嫌いですが、節税は好きです。少しでも税金を身近に感じていただける文章をお届けします。 寄稿者にメッセージを送る

今、あなたにおススメの記事

編集部おすすめの記事